第138話 土浦のTRPGサークルでの想い出 その3

 寄り道したが、そろそろサークルでのTRPG話に入ろう。

 90年代初頭、巷で大人気だったのは文庫本でルールブックが入手しやすかった『ソード・ワールドRPG』で、土浦のサークルでも時々プレイしていた。

 しかし、サークルでの主流はメンバーがオリジナルのシステムを作ったTRPGだった。このシステムを使ってファンタジー世界の冒険や現代社会での退魔物といった連続シナリオ(キャンペーン) を繰り広げるのだ。サークルメンバーはトータルで10人ほどいたが、キャンペーンを張れるだけの力量を持つマスターは数人しかいなかった。

 私も一度だけマスターにチャレンジしたことがある。シナリオは作ったもののプレイヤーの相手は大変気を遣い、一度で音を上げた。


 ブレイヤーとしても自分は決してうまくなかった。シナリオによっては自キャラの選択を迫られるシビアなものもあったが、ビターな展開になってしまい、悔しくて落ち込むこともあった。


 退魔物のキャンペーンをしていたマスターとは、自分のキャラクターのロールプレイについて何度か話し合った。自キャラがパワーアップするシナリオの準備として、キャラクターを掘り下げるために裏話を小説にして渡したことがあった。メイルゲーム時代に自キャラの小説を書いていたようなものだが、資料の整理中に発見するまですっかり忘れていた。二次創作のような物なのでこのまま発表はできないが、何らかの形で今後の創作のヒントになるかもしれない。


 長時間のTRPGプレイに欠かせないのがBGMだった。会場宅の主の部屋にはステレオデッキがあり、キャンペーンの雰囲気に合ったCDをループ再生していたのだ。ファンタジーの定番は『ファイナルファンタジー』シリーズや『ラングリッサー』などのファンタジーゲームのBGM集、退魔物の定番は『サイレントメビウス』のイメージアルバムや劇場映画『サイレントメビウス』のBGM集だった。曲が気に入った私は『サイレントメビウス』のアルバムを自分でも購入して楽しんでいた。


 残念ながらメンバーが多忙になり、90年代後半にTRPGサークルは自然消滅してしまった。現在全く縁は切れてしまったが、遅れてきた学生時代のサークルのような時間は、私にとって懐かしい思い出として残っている。

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