第129話 番外編 増山江威子さんを偲んで
2024年6月3日、声優の増山江威子さんが2024年5月20日に逝去されたことが発表された。『ルパン三世』の峰不二子をはじめ、数々の当たり役を持ち、歌手としてアニメソングも歌ってきた増山さんだが、私にとってはなにより1983年のシンエイ動画版『パーマン』から二代目パーマン3号・星野スミレを演じた声優という印象が強い。
モノクロ版『パーマン』の初代声優、栗葉子(『昆虫物語みなしごハッチ』のハッチ等)も名優だったが、増山さんは見事に役を引き継ぎ、皆が憧れるアイドル俳優である星野スミレと、おてんばで男性パーマン陣に負けない行動力の持ち主であるパー子ことパーマン3号を演じ分けた。
何故増山さんが二代目に選ばれたかは分からないが、直前まで放送していた藤子アニメ『怪物くん』で怪子ちゃんを演じていたからだろうか。なお、『パーマン』終了後始まった『オバケのQ太郎』ではU子を演じており、藤子作品を三連続演じたことになる。
増山さんの歌唱力を生かし、「星野スミレ」としてのオリジナル曲もレコード発売された。「御機嫌伺いLOVE」「雨のSweet Magic」のカップリングだ。「御機嫌伺いLOVE」はアニメでもスミレの持ち歌としてコンサートシーンなどでよく使われた。
シンエイ動画版『パーマン』ではパー子とパーマン1号こと須羽ミツ夫のラブコメという要素もクローズアップされ、スミレのファンであるミツ夫に正体を明かせないパー子が嫉妬するという複雑な三角関係が展開された。この設定は当時の視聴者に大いに受け、アニメ雑誌の読者投稿でも取り上げられた。アニメスタッフや原作者の藤子・F・不二雄もこの波に乗り、パー子の恋に絡む名エピソードが多数制作された。
アニメの最終回もパー子が間接的にパーマンに愛の告白をするエピソードで、パー子がしおらしく告白するのをパーマンは照れながらも受け入れ、二人で言い合いながら空の彼方へ飛んで行くという終わり方だった。
その18年後、昭和から平成に変わった時代に『パーマン』は映画ドラえもんの併映作として復活する。1983年版キャストのほとんどが続投し、増山さんも年齢の影響は感じられるが、当時の雰囲気が十分感じられる演技だった。とくに二作目の『Pa-Pa-Paザ☆ムービー パーマン タコDEポン! アシHAポン! 』は誘拐されたスミレとみつ夫が互いに正体を明かせぬま協力するというスミレメインの物語だった。
平成版パーマンの公開からも20年経ち、1983年版のパーマン4人で存命なのは1号の三輪勝恵のみとなってしまった。今年公開された藤子・F・不二雄ミュージアム用の新作で声を披露していらっしゃるが、これからもお元気で過ごしていただきたい。
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