第128話 PBMプレイヤーのサロン的交流の想い出

 今回は第107話で触れた、『ネットゲーム91 那由他の果てに』から始まったプレイヤーグループの交流について語りたい。


 私のメインキャラクターは、以前触れたプレイヤーキャラで共同体を作るというシステムに加わっていた。とはいえ、縛りは同じ名字にするというだけで、他のリアクションで同じ名字のキャラクターが活躍しているのを見るのは嬉しかった。名字から仮に「N家」と呼ばせてもらう。N家の家長役にあたるプレイヤーは年長者で顔も広く、『那由他の果てに』が終わってもプレイヤーが定期的に家長の住む都内のアパートでお泊まり会をするという交流が続いていた。


 N家の活動としては毎月の情報誌制作というのもあった。家族プレイヤーの動向や趣味の話、イラストなどを載せ、メンバーに配るのだ。わざわざ小型のコピー機を購入した家長の部屋に近場のメンバーが集まり、製本と発送作業を行っていた。


 発送作業が終わると、皆でアナログゲームをするのが恒例だった。家長はアナログゲームコレクターでもあり、ルール解説をしながらゲームをプレイするのだ。海外のカードゲームが多かったが、残念ながら内容はあまり覚えていない。


 この発送作業の延長上に、年に数回行われたお泊まり会があった。コミケや連休など、遠方者も上京しやすいタイミングで行われ、1DKの部屋に10人ほどが雑魚寝するのだ。女性も数人いたが、台所に避難して寝ていた。ちなみに私は押し入れに入って寝ていた。


 当時は『セーラームーンR』が大ブームになっており、家長も他のプレイヤーと一緒に映画を見に行ってはまってしまった。映画の主題歌である『Moon Revenge』のCDを購入し、部屋でエンドレスで流していた。


 お泊まり会で私が覚えているのは、日曜朝、当時はまっていた特撮『うたう!大龍宮城』を見てもらおうとTVを付けたが、全く受けなかったことだ。


 お泊まり会では買い出した食材で食事を作るが、翌日は皆で家長の家近くにあるパスタ屋に行くのが恒例だった。名物は挽き割り納豆が入ったミートソースパスタで、私はここで初めてミートソースと納豆の相性の良さを知った。


 N家の活動は95年頃に終わったが、そのきっかけは家長が当時輸入が始まった『マジック:ザ・ギャザリング』にはまったことだった。私がゲームショップで買ったシングルパックを差し入れたところ、レアカードが入っていたらしく喜ばれたことがあった。家長はその後、『マジック:ザ・ギャザリング』の日本語解説書を書く等、初期のマジック界隈で大きな役割を果たすことになる。

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