第112話 『ネットワークRPG クレギオン#2 イスフェルの地にて』開始

 成功裏に終わったホビー・データ社のネットワークRPG『クレギオン』の第2作『クレギオン#2 イスフェルの地にて』が1992年1月から始まった。惑星イスフェルに不時着した植民調査用移民船と先住民の出逢いから始まる物語である。

 メイルゲームには作品を統括する監督役が欠かせない。一般的には「グランドマスター」と呼ばれる役職だ。本作でグランドマスターになったのは後にSF作家となる野尻のじり抱介ほうすけ。クレギオン#1でもマスターを務め、多くのファンが付いたカリスマ的存在だった。

 本作のイメージイラストは当時スタジオジブリで活躍していた二木ふたき真希子まきこに依頼され、緑の広がる惑星を見る人々のイラストが広告として掲載された。この時掲載された媒体の一つに、確かアニメ雑誌『ニュータイプ』があり、これまでメイルゲームに縁のなかった顧客を呼び込むきっかけとなった。

 1月からの開始ということで、ボーナスの余裕もあった私は2人のキャラクターをエントリーさせた。2人とも男性キャラクターで、1人は移民船側の探査員エサウ・フォントルロイ、2人目は先住民の海賊、ジオベール・フォグマーだった。

 ジオベールは前作のチームF(仮称)つながりのチームプレイのために作ったキャラクターで、別マスターのGブランチからスタートした。しかし物語の進展と共に別の大陸に渡ることになり、結局前作でお世話になったFブランチに戻った。後半はチームとしての縛りもほぼなくなり、目立った活躍もできなかった。その原因の一つに、もう一人のキャラクター、エサウのプレイがあった。


 エサウは野尻マスターの担当するCブランチに入った。各ブランチでは複数の物語が展開されていたが、私が所属したのは食料班で、先住民の村に住み込んで農業をするというシナリオだった。

 私は本作で初めて野尻マスターのシナリオを読み込むことになるが、さすがカリスママスターと言われるだけのことはあり、科学的な設定を織り込みながらも、価値観の違う二つの世界の住民が協力して農業に取り組むという物語に私はのめり込んでいった。

 そして物語の途中でエサウは、病に倒れたNPCの部長の後任として立候補し、なんと当選してしまう。私のメイルゲーム歴の中でも一番成り上がったキャラクターとなった。もちろん私だけの手柄ではなく、交流していた数多くのキャラクターのお陰でもある。

 次回は私がエサウと過ごした日々について語りたい。

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