第113話 『クレギオン#2 イスフェルの地にて』その2

 前回記したとおり、今回は私が『クレギオン#2』で登録したキャラクター、エサウ・フォントルロイとの日々について語りたい。ちなみに「エサウ」は聖書、「フォントルロイ」は『小公子』の人物から持ってきている。

 エサウの所属したCブランチの村には、先住民のプレイヤーと移住してきた探査員のプレイヤーがいたため、現地のしきたりに従った素朴な農耕と、植民船の科学的なブラントシステムをどうなじませていくかというのがテーマになっていた。NPCの反応も様々で、私たちは上司である部長や村長、ひいては国王(イスフェルは王制だった)の許可を取りつつ、プラント用の種子を村の土地に作った水耕田にまいて育てていく、という地道なアクションを毎回行っていった。

 もちろんマスターは様々な障害を考えており、それに対抗するため我々プレイヤーは、プライベ会場や手紙で連絡を取り合い、予想できそうな障害への対策を練ってパスポートに記入していた。


 東京のプライベで私は、先住民の男性キャラクターを登録していた男性プレイヤーと親しくなり、エサウを彼の家に同居させてもらった。背景設定としてパスポートにも記入し、マスターも了承済みの設定となった。同様の事例は他のキャラクターでも同時多発的に発生し、生真面目なNPC部長は現地民の服を着て畑や水耕田で働く探査員たちに頭を抱えることになる。

 その結果、NPC部長はメンタルバランスを崩して入院し、新部長は立候補したプレイヤーキャラクターから選ぶことになった。アクションとして私が提出したのはボトムアップ、もう一人のキャラクターがトップダウンな提案をし、マスターがリアクションで採用したのはエサウだった。しかし、その後の私のアクションはマスターを満足させる出来ではなかったようで、エサウの台詞が私のアクションではなくマスターの代弁者としてのものだったこともあった。


 プレイヤー交流としてはクレギオン#1に続き、情報誌風の手紙を毎月作成してミニレターで送っていた。タイトルは『明るい農村』。昔のNHK総合にあった番組が元ネタである。部長になってからの数通のコピーが残っているが、交流していた他プレイヤーの声などを「お便りコーナー」として載せる等、なんとかメンバーの意図疎通を図ろうとしていた形跡が見える。


 そして、懲りずに総集編本を作ろうと決意した私は、最終回後に原稿を募集し、二冊のコピー本として完成させた。しかし、原稿募集から完成まで数年塩漬けにしてしまったため、プレイヤーが転居して継ぎ戻ってしまったものもあった。誠に申し訳ないことで、これ以降総集編本は作成していない。


 次回はプライベやオフイベでの交流を中心に語りたい。

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