第30話 『自分、みいつけた』『せ・ん・ぱ・い !』『ガザン星人の挑戦』の話

 私が中学3年生の1985年4月に執筆開始したのがカクヨムにリライト版を発表した『自分、みいつけた』だ。1985年7月に完成させた記録がノートに残っている。

 高校生の少女、定子さだこと友人のやちよが河原で見つけた記憶喪失の青年の正体を探る。実は青年は15年前行方不明になった幼児だった。彼は無事家族の元に帰ることが出来るのか、そして青年に恋をした定子は報われるのか、という内容である。

 私が本作の執筆に至るきっかけは記録にないが、当時、第二次世界大戦終戦時に中国に取り残され、もしくは中国人に預けられ養育された日本人孤児が成人後に真実を知り、集団来日して実の親を探すという活動が頻繁に行われていた。TVでは来日した孤児の身体的特徴や当時の記憶、保護された、もしくは預けられたときの服装、持物などを紹介する番組が放送され、私に強烈な印象を残した。血液鑑定や対面調査で家族や血縁者と判明すると記者会見で血縁者との喜びの姿が放送された。もちろん影の面もたくさんあったのだが、それはこの項の主題ではないので語らないでおく。とにかく、死んだと思っていた子供が大人になって帰ってきたら、という発想が元ネタにあったのは確かだろう。

 なお、この中国在留日本人孤児の親探しがモチーフになった特撮作品がある。1986年に放送されたスーパー戦隊シリーズ『超新星フラッシュマン』だ。悪の宇宙帝国に拉致された5人の幼児がフラッシュ星人に助けられ、成長して地球に戻る。悪の宇宙帝国の侵略阻止と自分たちの親探しがメインテーマだった。

 幼児の時に拉致され、宇宙から戻った地球人が親を探す。ここまで内容がダブってしまった作品がTVで放送されたのにショックを受けたのか、私は『自分、みいつけた』を高校の文芸部時代にも発表せずお蔵入りにした(後日改めて確認したところ、中学校時代の『読書・文芸クラブ』会誌に発表した物が出てきたので、前言撤回する)。


 『自分、みいつけた』を「カクヨム」でリライトするにあたり、登場人物やガジェットの追加などを行ったが、ラストも完全に書き直しとなった。オリジナルでは定子たちに迷惑をかけたくないと逃げ出したまもるが、テレビのワイドショーで家族が自分を捜索していることを知り、交番に名乗り出るというものだった。


 『自分、みいつけた』に続けて1985年7月からおそらく9月にかけて執筆したのがSF短編『せ・ん・ぱ・い !』である。太陽系警備隊の先輩後輩コンビが反乱軍と戦うという内容で、主人公コンビのモデルはバードマンとパーマン1号である。本作はラストをまとめきれずに終わらせたこともあり、お蔵入りとなった。もし「カクヨム」にリライト発表することになったら、このタイトルには絶対しないだろう(後に『俺たち「連星コンビ」』に改題してリライト発表した)。  

 この後1985年9月から11月にかけて『ひな祭りは記念写真で』を執筆している。オリジナルには「-Sさん(仮名)の夢物語から-」という副題がついていた。


 同時進行でパーマン二次創作も進めていたが、二作目の『パーマンと朝鮮戦争』は資料集め等で難航し、完成したのは高校時代になってからだった。しびれをきらして書き始めてしまったのが三作目の『ガザン星人の挑戦』だ。本作は雪山が舞台ということで、冬季登山の危険性やビバークについて調べたが、その種本は応接室の本棚に一冊だけ入っていた雑誌『山と渓谷』だった。父親が昔買ったらしいが、登山に縁がなさそうな父がなぜ買ったのかは疑問だ。


 このままだと中学時代が終わってしまうので、次回は時間を戻して試験勉強や深夜ラジオ等の話をしたい。


カクヨム版『自分、みいつけた』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054898625757


カクヨム版『俺たち「連星コンビ」』

https://kakuyomu.jp/works/16817330647748308534


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る