第13話 友達とのこと、日記のこと

 小学校時代、クラスメイトの女子何人かとは家に遊びに行くくらいのつきあいをしていた。住まいも一軒家や団地、アパートなど様々だった。しかし自宅に友人を招くのは苦手だった。子ども部屋も狭いし本ばかりの室内では遊ぶネタもない。

 小学校高学年の時、私が小説を書いていることを親しい女子数人に話したところ、一人が非常に興味を持ってくれ、「私の親戚に漫画家がいるんだけど、話してあげようか」と申し出た。確かに彼女の名字は当時の大人気漫画家と同じだったが、親戚だという話は初めて聞いたので驚いた。結局その場限りの話で終わったので、真実は分からずじまいである。


 学校では班活動もあったので、男子と行動することもあった。給食時に当時流行っていた『ガッチャマンの歌』の替え歌を披露していた男子や、「大田さんはクラスの男子で誰が好きなの」と女子に尋ねられて名前を挙げた長身で色黒の男子、自宅のあった寮の遊び仲間だった男子などは記憶に残っている。


 小学校時代の友人が創作に関わった最大のケースは、カクヨムに掲載した小説『ひな祭りは記念写真で』の元となった作品である。詳しくは小説の後書きに書いたが、私が小学6年生の時、女子の友人から面白い夢を見た話を聞かされた。それがあまりに面白く、私はその夢を話にすると口約束した。友人にノートを渡し、夢の内容を書き留めてくれるよう頼んだが、ノートはなかなか帰ってこなかった。そしてそのまま私たちは中学生になった。

 中学1年生の途中で私が急遽転校することが決まり、友人は夢の内容にお別れのメッセージを添えて、ノートを返してくれたのだった。その後小説は完成したが、友人に見せる機会は結局なかった。

 ちなみにこの作品には「愛利」という女の子が出てくるが、これは彼女の夢のままである。当時はかなりしゃれた名前だと思っていたが、今ではありふれた名前になってしまった。


 中学校時代に転校したことで小学校時代の友人とは縁が切れてしまったが、唯一続いているのが海外に転校し、そのまま現地の日本人と結婚した女子だ。現在でもクリスマスカードのやりとりをしているが、海外在住ならではの視点や近況は興味深い。

 引っ越し前に私は書きかけの小説ノートを寮の同い年の女子に餞別代わりに渡してきた。未だに会う機会はないが、中学入学時に制服姿で並んで撮った写真は今も実家に残っている。一方寮の別の女子とは大学生時代に意外な場所で再会した。地方駅の向かいのホームから声をかけられたのだ。本当にびっくりした。


 話は変わるが、私は小学校の中学年まで日記をつけていた。ジャポニカ学習帳の縦書きの日記帳だ。数年分はあっただろうか。10冊くらいたまったところで親が廃品回収に出すと言いだし、泣く泣く処分した。日記には毎日の出来事などを書いていたが、鍵のない日記は誰かの目に触れてしまうのが恐くて、何でも好きなことを書いていたわけではなかった。

 私がそれほどまでに恐れていたのは、宗教にかかわる問題だった。次からはしばらくその話をしたい。


カクヨム版『ひな祭りは記念写真で』https://kakuyomu.jp/works/16816452218858087637/episodes/16816452218858174012

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