第123話 番外編 『大正パンデミック〜喜劇 猛威を振るう〜』観劇感想
先日、恵比寿にあるエコー劇場で、安原義人さんの所属するテアトル・エコーの新作舞台『大正パンデミック〜喜劇 猛威を振るう〜』を観劇してきた。今回の舞台は一部ダブルキャストで、「パン組」「デミ組」と別れている。安原さんは通しで出演のため、「パン」組のアフタートークがある回を選んで予約した。
ここからは内容のネタバレがあるのでご了承いただきたい。
本作は大正時代、スペイン風邪のパンデミックから逃れて雪深い別荘の洋館に立てこもった一家の物語である。ここに家出して喜劇団の座付き作家になった長男が婚約者を伴い戻ってくる、安原義人演じる妻の兄が借金取りに追われて逃げ込む、記憶喪失の謎の男が現れる等、予想外の出来事が次々と起こる。
元連隊長の父親は息子の書く駄洒落混じりの喜劇が理解できないといきり立つが、吹雪に閉じ込められた人々は、退屈から逃れるため息子の書いた喜劇の稽古に次第にはまっていく。果たして喜劇は成功するのか?
私がコロナ禍で自宅待機を余儀なくされたときに、カクヨムで昔の作品の公開を始めたことから一次創作に復帰したように、創作の力を信じたいという思いに溢れた作品だった。
安原義人演じる義兄は、初登場時にチョッキの色が変わるほど汗をかいていた。もともと汗かきの安原さんなので、追われている役作りなのか素なのか判断に迷った。
その後スーツに着替えてガラスに姿を映し「完璧だ、頭以外は」と薄くなってきた頭髪を自虐ネタに使うところで観客をつかむ安原さん。この辺りはアドリブだろうか。
今回は喜劇で兵隊役を演じるので、軍服姿の安原さんも見ることができた。もちろん他の俳優陣も熱演だった。
テアトル・エコーの舞台では俳優への差し入れも受け付けてもらえる。その際に俳優を呼んでもらえるので、今回久々に安原さんとお話しする機会があった。去年年末の朗読劇『VOICARION~スプーンの盾~』の感想を述べると、「ずっと舞台上にいるから大変だった」とのこと。
今後のお仕事についても少しお話を伺うことができた。発表が楽しみである。
舞台終了後のアフタートーク、安原さんは残念ながら欠席だったが、本作の脚本家と俳優たちが観客の質問に答え、登場人物のモデルや義兄の設定なども聞くことができた。
帰宅してから劇中の演出で疑問点が浮かんで、アフタートークで聞きたかったと後悔することしきりだった。
今回の公演はチケット完売という盛況だったが、幸いスマートフォン・タブレットのアプリでのアーカイブ配信が決定している。詳しくはテアトル・エコー公式サイトでご確認いただきたい。
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