第90話 ドラマ『スターマン』、私の好きな文体の話
出演していた刑事ドラマ『NEWジャングル』(第55話参照)が1989年に終了した後も、安原義人は吹き替えを中心に声優・舞台俳優としての仕事を続けていた。
氏の所属する劇団『テアトル・エコー』は現在も恵比寿にある新劇場を1992年に完成させた。こけら落としの演目は井上ひさし『表裏源内蛙合戦』。テアトル・エコー初期のヒット作だ。安原義人は初演の山田康雄を引き継いで主人公の平賀源内を演じることになり、私もチケットを取ろうとしたが売り切れで諦めた。
内容だけでも知りたかった私は、文庫本になっていた井上ひさしの脚本を購入した。この時の舞台録画は後にNHKで放送され、見ることが出来た。
バイト代もあり、ビデオテープの値段もかなり安くなっていたので、私は当時再放送していた『特攻野郎Aチーム』の録画を熱心に行っていた。ある回で、非武装主義の村でAチームが戦うという話があり、見たことがなかった回だったので熱心に見ていたところ、ちょうど降り出した雷雨で停電し、ビデオの電源が切れたことがあった。今なら配信等で見直せるだろうが、結局今に至るまで続きは見ていない。
安原義人が演じるフェイスマンがチームを抜けるかもという回もハラハラしながら見ていた。結局戻ってきてホッとした。
確か1990年にテレビ朝日で始まった洋ドラ『スターマン』は、映画『スターマン』の続編となるドラマで、内容も私好みだったので熱心に見ていた。
宇宙人で、亡くなった地球人「ポール・フォレスター」の姿を借りている主人公を安原義人、地球で結ばれた女性との息子を草尾毅が演じるロードムービーだ。自分が宇宙人の血を引いていることを知らず、突然現れた父親との関係に戸惑う息子との物語は、私のパーマン二次創作でのバードマンとパーマンたちの疑似親子ものを彷彿とさせた。
スターマンが超能力を使うときに媒介とするのがビー玉状の玉で、私の作品『自分、みいつけた』の緑色の玉のイメージ元となっている。
『特攻野郎Aチーム』『スターマン』のようなファミリー向けの作品ばかりではない。安原義人が当時吹き替えで得意としていたのがミッキー・ロークで、彼の主演した映画『ナイン・ハーフ』が『日曜映画劇場』で放送されたときはあまりの色っぽさに家族と一緒には見ていられず、応接室のテレビで見ていた。現在では地上波では放送できないかもしれない。
○
私がこれまでに好きになった作家は北杜夫と横田順彌だが、短大時代に藤森照信『建築探偵の冒険・東京篇』を読み、初めて自分が書きたいと思える文体に出会った。とにかく分かりやすく読みやすかったのだ。現在の私の文体にも影響を与えていると思われる。
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