第9話 災害・事件の想い出

 災害と言っても、幸い私は直接大きな被害を被っていない。だが子ども時代に起こったいくつかの出来事は記憶に残っている。

 私はあまり覚えていないが、家の周りに大雪が積もり、寮の子どもたちと雪遊びをしている写真がある。東京の大雪の記録を調べると、1978年1月3日に21センチの積雪があるので、この時の写真らしい。車に乗った雪をなめてお腹を壊した記憶があるのもこの時かもしれない。

 用水路を挟んだ左右にある小学校に通ったことは以前話したが、この用水路が台風の大雨で溢れたことがあった。家には用水路を渡らないと帰れないので、仕方なく泥水の中を歩いて帰った。水の量は足首くらいだっただろうか。もともとこの辺りの土地は低地で、かつては洪水で浸水したこともあったようだ。


 しかし一番記憶に残っているのは1978年に起こった宮城県沖地震である。東京でも震度4を記録したこの地震が起こった時間は17時14分。その時私は、クラスメイトの住むアパートで遊んでおり、帰ろうと玄関を出たところで大きな揺れが襲ってきたのだ。慌てた私はアパートの渡り廊下を支える柱にしがみついた。

 地震が収まった後、私は銭湯に行くというクラスメイト一家と一緒に帰ることにした。銭湯は私の家の裏手にあり、一度は入ってみたいと思っていたが、残念ながら引っ越すまでその機会は訪れなかった。一度自宅の風呂が壊れたときに入れると思って喜んだが、同じ寮の隣人宅の風呂を借りたので結局入れなかった。現在私が銭湯巡りを趣味にしているのは、もう廃業したこの銭湯の記憶が原型にある。


 それとは別に、個人的に降りかかった災難もある。幼児の頃に交通事故に遭ったことは以前話したが、その時の記憶は断片的に残っている。自宅近くの道の向こうの母親の所に行きたくて道を渡ったところ、左の大通りから入ってきた車にぶつかったのだ。倒れた私は救急車が来るまで道の前のアパートにあった大きな木の台に寝かされたのまでは覚えている。私は結局額を数針縫っただけで回復した。

 不快な想い出としては、通学路沿いにあった大きな木の下に変質者が立っていて驚かされたことがあった。トラウマになった私は通学路を遠回りし、変質者のいた場所を避けることにした。仕方なく通らなければいけない時は誰もいないか遠くから確認してから通るようにしていた。

 次回は幼稚園時代の話を予定している。

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