第92話 藤子不二雄ファンサークル『ネオ・ユートピア』入会の話

 私は高校時代に古本市で購入した藤子不二雄ファンクラブ『UTOPIA』会誌を読んで以来、『UTOPIA』に入会したいと思っていたが、1987年、藤子不二雄のコンビ解消により『UTOPIA』もなくなってしまった。

 その後、有志が非公認ファンサークルとして発足させたのが『藤子不二雄ファンサークル ネオ・ユートピア』、略称NUである。私は高校生の時に『アニメージュ』の紹介記事でNUを知り入会したいと思ったが、会費を払うのは高校生にはハードルが高かった。


 短大生になりアルバイトで余裕が出来た私は、満を持してNUへ入会希望の手紙を送った。入会後バックナンバーも数冊購入したので正確な時期は曖昧だ。NUは会期制ファンサークルで、二年間に会誌数冊が送られてくるシステムだった。藤子不二雄両氏はあえて公認しないというスタンスで、サークル活動の自主性を尊重していた。とはいえ未単行本作品の再録など、会誌は両氏の多大な協力で充実したものになっていた。

 NUは会期ごとに藤子作品の上映会などのイベントを行っており、私も上京して参加した。この時に知り合った同年代の女性会員とは、現在に至るまで交流が続いている。


 もちろんこの時期も藤子不二雄両氏は精力的に活動を続けていた。

 藤子・F・不二雄は『藤子不二雄ランド』に連載していた『チンプイ』がアニメ化され、ヒロインのエリを当時売り出し中だった林原めぐみが演じた。チンプイ役は堀絢子じゅんこで、藤子不二雄A作品の『忍者ハットリくん』、両者の合作がルーツの『新オバケのQ太郎』と3作品で両藤子作品の主役を演じるという偉業を打ち立てた。

 原作も不定期ではあるが連載され、ある回ではバードマンがゲスト出演した。台詞はなかったものの私は大興奮した。


 藤子不二雄Aは実写映画『少年時代』の制作に乗り出していた。自身の1970年代に連載したマンガが原作だ。戦時中の学童疎開を舞台にした原作本を元にしたコミカライズだが、『ギミア・ぶれいく』等で培われた豊富な人脈が功を奏し、映画も賞をとるなど成功した。井上陽水の主題歌『少年時代』は後にカメラのCMで使われたことから大ヒットし、スタンダートナンバーとなった。


 次回は読者参加RPGの話をしたい。

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