第六部 社会人時代 その2 TRPG&コンピュータゲーム編
第132話 TRPGについて
私がテープルトークRPG(TRPG)を知ったのは第67話で触れたとおり、雑誌『ウォーロック』だ。『ウォーロック』はもともとゲームブックの紹介をしていたが、刊行元の社会思想社が翻訳して文庫本化した『トンネルズ&トロールズ(T&T)』の販促のため、プレイの紹介(リプレイ)や、ゲームブックのように一人で冒険するソロプレイ用のシナリオを掲載していた。
TRPGを知らない人向けに軽く紹介すると、様々な設定の世界を舞台にプレイヤーが「パーティー」と呼ばれるチームを組み、シナリオの説明やプレイヤーの行動をジャッジする「ゲームマスター」のもとで物語を楽しむゲームだ。
ファンタジー世界がメジャーだが、SFやホラー、歴史やヒーロー、レースや推理物等、様々な設定の世界が作られた。
ゲームで戦闘結果など、ランダム要素が発生するとプレイヤーがサイコロを振る。プレイヤーがマスターに作戦行動やNPCへの交渉等を働きかけると、マスターがサイコロや会話で臨機応変に対応し、先が読めない展開になる。このライブ感がTRPGの醍醐味である。
1990年代初頭にはTRPGの世界設定やルール、パーティー用のキャラクターを作るためのシステム、マスター向けのサンプルシナリオなどが入った作品が多数翻訳された。
もちろん日本人が企画した作品も発売され、「ソード・ワールドRPG」等が有名である。
こういったTRPG作品はゲームショップの棚にA4版の箱形ケースに入って並べられていた。他にもゲームショップではプレイに使う多面体サイコロや、海外でキャラクター駒代わりによく使われていたメタルフィギュア、マスターがプレイヤーから見られたくない物を隠すマスタースクリーン(衝立)も売られていた。
ゲームショップは地方等への通販もあったがハードルは高く、どこにでもある6面体サイコロでプレイでき、ルールが文庫本で発売された『T&T』は画期的だった。
しかし、ルールブックがあってもプレイヤーが集まらなければゲームはできない。このため公民館等で人を集めてプレイする「コンペンション」が各地で行われていた。コンペンション情報は『ウォーロック』等のTRPG雑誌に掲載されたり、ゲームショップの伝言板に貼り出されたりした。
社会人になり一人暮らしを始めた私は、意を決して近場のコンベンションに参加した。次回はその話をしたい。
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