第133話 番外編 三輪勝恵さんを偲んで
2024年7月1日、声優の
昭和時代を中心に数々の作品で活躍された氏だが、代表作はなんといっても藤子・F・不二雄原作のアニメ『パーマン』の主人公、パーマン1号だろう。
『パーマン』という作品は、普通の少年ミツ夫が宇宙人バードマンに渡された「パーマンセット」を身につけ、正体を隠してヒーローになるという作品だ。三輪勝恵は溌剌としたリーダーであるパーマン1号、ちょっとお調子者で怠け癖のある少年ミツ夫、そしてパーマン活動時の身代わりロボットで、気弱で優しいコピーロボット、という三タイプのキャラクターを演じ分けるという難易度の高い演技を披露していた。どのキャラクターにも共通するのが、困っている人を放っておけないという性格で、それこそがミツ夫をヒーローたらしめている本質だと伝わる演技だった。
三輪さんはキャラクターの声のまま歌えるという才能を生かし、『パーマン』の主題歌など、数々のアニメソングも歌っている。
三輪さんはアニメ声優デビュー直後からモノクロアニメの『パーマン』、1983年にリメイクされたカラーアニメ『パーマン』、そして平成に復活した劇場版、さらには川崎市「藤子・F・不二雄ミュージアム」内のオリジナルアニメでも一貫してパーマン1号を演じ続けてきた。今年も新作アニメ『ドラえもん&Fキャラオールスターズ ゆめの町、Fランド』に出演したばかりだった。本作は2024年7月現在上演中である。
また、三輪さんはNHK人形劇『ブー・フー・ウー』で共演した黒柳徹子氏とも長年交流があり、氏からの頼みで『窓ぎわのトットちゃん』朗読公演を引き継いだ経緯がある。『徹子の部屋』にも出演されている。
私が三輪勝恵さんを初めて直に見たのは、平成劇場版第一作『Pa-Pa-Pa ザ★ムービー パーマン』上映時の映画館でのイベントだった。2003年のことである。この時に「今年還暦なの」と話していたことを覚えている。
2008年、藤子不二雄ファンサークル『ネオ・ユートピア』様のご厚意で、46号に掲載された三輪勝恵インタビューに同席させていただき、貴重なエピソードを直に伺うことができた。
折角の対面ということで、私は手持ちの『パーマン』セル画から、パーマンやミツ夫が描かれたものを三輪さんにプレゼントした。三輪さんは「セル画をいただいても人にあげてしまって手元に残っていません」と言われ、喜んで受け取ってくださった。
三輪さんが演じられた作品が私の創作に影響を与えたケースがある。
東京大空襲を経験する主人公の少女を三輪さんが演じられた映画、『うしろの正面だあれ』で、終戦後の主人公が戦災孤児のきょうだいに出会うシーンがある。かつての友人が戦災孤児になっていても会話することしかできないという内容だったと記憶している。このエピソードにインスパイアされたのが『一蓮托生~蓮華の下で結ばれて~』にある
残念ながら、私が長年応援してきたカラーアニメ版『パーマン』のパーマン4人の声優はこれで全員鬼籍に入られた。ある意味一つの区切りであるが、これからもソフトや配信で新たにファンになる方がいるだろう。そして、もし新たにパーマンたちを引き継ぐ声優ができたときにはぜひ応援したいと思っている。既に『ドラえもん&Fキャラオールスターズ ゆめの町、Fランド』では、パーマン2号を亡くなられた
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