第85話 ワープロ検定試験の話、『サザコーヒー』の話

 私は短大でワープロ検定試験にチャレンジした。もともと自宅でワープロを使っていたこともあり、短大のパソコン室で行われていた検定講座に通って受験したのだ。

 パソコン室で使われていたのは富士通の親指シフトキーポードで、私たちはかな漢字変換システムでブラインドタッチの練習をした。テキストを見ながら制限時間内に何文字打てるか挑むのだ。

 「親指シフトキーポード」というのは現在一般的に使われているJIS規格とは違い、中央にあるシフトキーが左シフトと右シフトに別れており、一つのキーボードにかなが二つ割り当てられているという独自の形式だ。富士通では2021年まで販売していた。慣れればローマ字入力より早く打てるというのが売りだった。


 ワープロ検定は4級からある。私は4級と3級を受験し、合格したと思うが、詳細は覚えていない。


 ワープロ時代からずっとかな漢字入力だった私は、パソコン購入後もJIS規格キーボードでかな漢字入力を続けている。さすがに職場ではローマ字入力だが、どうしても変換に思考がとられていまい、入力が遅くなってしまうのだ。小説を書くにあたり、思考とキーボードが連動するかな漢字入力は私にとって必須の入力である。


 私の自宅ではパナソニックのワープロを使っていたが、高校からの友人のSちゃんはデスクトップ型のワープロを持っていた。シャープの「書院」だっただろうか。液晶画面も広く、フロッピーディスクのスロットも二つある。私はノートに手書きで書いていたパーマン二次創作の清書をSちゃんに頼み、Sちゃんも快く引き受けてくれた。Sちゃんの入力したデータは自サイトのパーマン二次創作の原稿としても使われており、感謝することしきりである。


              ○


 それぞれ別の学校に進学した私とSちゃん、Hちゃんだが、Sちゃんが帰省した時には免許を取ったHちゃんの車で出かけることが多かった。その時、いい喫茶店があるとHちゃんに連れられて入ったのがひたちなか市にある『サザコーヒー本店』である。1989年開店の『サザコーヒー本店』は、ギャラリーが併設されており、陶芸家の作った様々な形のコーヒーカップでコーヒーが運ばれてくる。ホットドックプレートやケーキを頼み、夏は緑の庭を臨むテラス席、冬は薪ストーブとアフリカの仮面が飾られた部屋で談笑するのは楽しかった。

 当時は本店のみだった『サザコーヒー』も、現在は各地に支店を出すなど繁盛している。

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