第88話 バラエティ『ギミア・ぶれいく』の話

 「第12話 番外編 藤子不二雄A先生ご逝去に寄せて」でも触れたが、私が短大当時熱心に見ていた番組が1989年10月10日から1992年9月29日までTBSで放送していたバラエティ『ギミア・ぶれいく』である。

 藤子不二雄A(正しくは丸の中にA)先生がレギュラーとして出演し、『笑ゥせぇるすまん』などの大人向けマンガをアニメ化して毎週放送するというのが視聴のきっかけだった。ただし、2時間バラエティの1コーナーという位置づけだったため、時間帯は決まっていたものの、ずっとTVを見ていないといつ始まるか分からない。例によって他の家族は興味を示さなかったので、応接室の2台目のTVで視聴していた。


 アニメ『笑ゥせぇるすまん』は主役の喪黒福造を演じた大平透の怪演及び、田中公平作曲のOP、「ブラックユーモア」と呼ばれる小市民の悲哀とファンタジーを描く内容が大ヒットした。大平透逝去後は玄田哲章が喪黒福造を引き継ぎ、現在でも続編が作られている。


 『ギミア・ぶれいく』はレギュラー陣がホストとして持ち回り企画をする枠があり、藤子不二雄Aホストの回では自作の『夢魔子』アニメや『オカルト勘平』の実写ドラマの放送、ゴルフ場で『プロゴルファー猿』の「旗つつみ」は本当に出来るかチャレンジしたり、藤子たちマンガ家が設立したアニメスタジオ『スタジオ・ゼロ』が制作したモノクロ藤子アニメの放送をしたりした。貴重な回はビデオテープに録画して残してある。

 『笑ゥせぇるすまん』もこの枠で実写化されたが、喪黒は着ぐるみだった。後に私が『ネオ・ユートピア』のA先生を祝うイベントで被ったのはこの時の着ぐるみの頭だと思われる。


 他のホストの回で印象に残っているものをいくつか挙げると、

・重機を使って山を掘り返す『糸井重里・徳川埋蔵金発掘プロジェクト』。複数回行われたが結局埋蔵金は発見されなかった。

・石坂浩二の『史上最強のクイズ王決定戦』。クイズバラエティではなくガチンコのクイズ対戦番組が流行るきっかけを作った番組ではないだろうか。

・佐野史郎主演のドラマ『インスマスを覆う影』。タイトル通り原作はラヴクラフトのクトゥルフ神話の代表作だが、本作では舞台を日本の漁村に翻案し、村の名前等も日本風にするなど凝った作品だった。ちょうどラヴクラフトの文庫本を読んだ後だったので興味深かった。


 当時は『とんねるずのみなさんのおかげでした』等、他のバラエティ番組も見ていたが、深夜のバラエティ番組が活発になっていた時期でもあり、私も色々見ていた。次回はその話をしたい。

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