第115話 『ネットゲーム93 夜桜忍法帖』その1
本作の舞台は8つの忍軍が陰で覇権を争っている現代日本。プレイヤーはある夜流れた赤い流星を見て忍者に覚醒した人間という設定だ。
参加費を払うと送られてくるスタートセットには、バラエティ豊かな各忍軍の設定と共に、イメージソングやドラマが入ったCD、プレイヤーへの謎解きアイテムとしてランダムに配られた百人一首札が入っていた。当時はバブル時代の残り香がまだ漂っており、ホビー・データ社への対抗意識もあったのかもしれない。
当時の私は.『クレギオン#2 イスフェルの地にて』の終了直後でもあり、前作の『
名前は当時構想していた自作小説のキャラクターから流用して「
ストーリーが進むと、本編中で行われていたマネーゲームで資金を蓄えたプレイヤーが新忍軍を組織するというアクションも行われ、アクションの希望先にも表示されるようになった。
本作の最大の特徴は、次回のアクション希望場所に行くためには、五つの漢字で「合言葉」を揃えて書かなくてはいけないという点だった。「合言葉」はリアクションのキャラクターシートに各地のものがランダムに印字され、自分の希望の場所が入るかは完全に運だった。
合言葉入手には、手紙で各地のプレイヤーとの交流を行うのが正統派だったが、都市のブライベ会場に行くと、有志による次回の合言葉が揃ったコピー紙が配布されていたので、プライベに行くのが早道だった。情報集めにはパソコン通信や草の根BBS等が活躍していたという。
もし「合言葉」に失敗したり、締め切りに間に合わなかったプレイヤーがいた場合、「修行の旅」というシステムで一月修行をしてレベルアップしたという結果が帰ってきた。私も一度「修行の旅」に出たと記憶している。
次回からは私のキャラクター視点で『夜桜忍法帖』を語っていきたい。
参考資料 同人誌『94年版 商業PBM白書』Postal Tale 刊
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