第50話 古書店巡りとアニメ雑誌の話

 1980年代後半の水戸市では、水戸駅から伸びる『銀杏坂いちょうざか』という通り沿いに古書店が建ち並んでいた。学校からの帰宅時にバスに乗り、駅前で降りて古書店を見て回るのが私の放課後の時間つぶしになっていた。当時通っていた店舗は、現在1店舗を残してほぼなくなってしまったようだ。

 古書店では前回紹介した横田よこた順彌じゅんやの本や後にはまることになるゲームブック、アニメ雑誌のバックナンバーなどを時々購入していた。


 当時はアニメ雑誌の最盛期で、発売日には書店で立ち読みし、気になる記事があれば購入するという流れだった。『パーマン』の放送予定表や読者の投稿記事、安原やすはら義人よしとの出演作品や藤子アニメの紹介コラムなどを切り取り、スクラップブックを作るのが楽しみだった。現在ではアニメ雑誌の古書もそれなりの値段になっているが、当時はほぼ投げ売り状態で、100円で売られていたこともあった。


 私が毎月チェックしていたのは徳間書店の『アニメージュ』、学研の『アニメディア』、近代映画社の『ジ・アニメ』、秋田書店の『マイアニメ』、ラポートの『アニメック』『ファンロード』、みのり書房の『OUT』『アニパロコミックス』。後に遅れて創刊した角川書店の『ニュータイプ』が加わる。

 当時私が一番好きだったのは『アニメージュ』。放送予定表に連載されていた文芸担当兼脚本家の桶谷おけやあきら氏のコラムが楽しみだった。池田いけだ憲章けんしょう氏も連載コラムでよく藤子アニメを取り上げており、読者投稿でもアニメパーマンの魅力を語ったものや、カラーイラストなどが掲載されていた。

 『アニメディア』は私の好きな作品をあまり取り上げてなかったが、放送予定表は『アニメージュ』の補完としてチェックしていた。

 『ジ・アニメ』は読者の質問に各アニメスタッフが答えるコーナーがあり、時々重要な設定が明かされることがあった。例えば『パーマン』でバードマンの年齢設定が「地球年では30歳前後」というのはここで明かされた設定である。

 『マイアニメ』は放送予定表に設定資料集が付いているのが売りだった。別冊付録扱いだった時代が長く、後年コンプリートした時には嬉しかった。こちらでも桶谷顕氏がコラムを連載していたが、アニメージュよりは内容紹介寄りだった。

 『アニメック』は過去の特撮作品を毎回一作取り上げて紹介する連載記事があり、現在のように気軽に見られない作品を知る貴重な機会だった。

 『ファンロード』は読者投稿がメインの雑誌で、後にネット時代になって廃刊するまで毎号買っていた。毎回特集で取り上げる作品で作る「大辞典」で、知らない作品も知った気分になれた。

 『OUT』も読者投稿がメインだが、アニメ紹介ページもあった。パロディに力を入れており、別冊として発売されたのが『アニパロコミックス』だ。様々な作品のパロディマンガが連載されており、私は『エスパー魔美』のパロディマンガが好きだった。

 『ニュータイプ』は後年になるが、アニメ『パーマン』監修等で携わった鈴木すずき伸一しんいち氏が書いている連載コラムがあり、パーマンを取り上げた回はスクラップしてある。


 次回はファミコンネタをメインに取り上げたい。

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