第49話 高校の図書室の話、横田順彌ファンへの道

 中学時代と同様に、私は高校の図書室にも足繁く通った。

 高校の図書室が中学校と大きく違っていたのは、文庫本が大量に置いてあったことだ。最初は馴染みのあるほし新一しんいち筒井つつい康隆やすたかなどのSFを中心に読んでいたが、読み尽くすとコバルト文庫の『なんて素敵にジャパネスク』シリーズやミステリー物にも手を広げた。


 高校時代に本格的にはまりだしたのがSF作家の横田よこた順彌じゅんやだ。出会いは中学校時代に入手した文庫本『銀河パトロール報告』。「ハチャハチャ」と呼ばれる駄洒落がメインの話は笹川ささがわひろしの『タイムボカンシリーズ』に雰囲気が似ていてなじみやすかった。

 その後、高校時代に書店で文庫本『SF事典』に出会い、購入する。パーマン二次創作のストーリーに使うSF知識を深めるのに非常に役立った。

 横田順彌の作品で私が一番影響を受けたのが『日本SFこてん古典』シリーズ。オリジナルはハードカバーだが、三部作が文庫本で相次いで発売され、奇想天外な本の紹介と横田順彌の自虐ネタを交えた語り口に大いに魅せられた。本作で日本の古典SF作品にも興味を持ったことから、図書室にあった日本作家の全集本もつまみ読みしたりした。

 また、横田氏が主人公のモデルとして登場する平井ひらい和正かずまさ『超革命的中学生集団』も古書店で表紙の違う2バージョン分購入した。

 ハチャハチャSFとは違うファンタジーな雰囲気の『ポエム君とミラクルタウンの怪事件』、SF任侠物『銀河残侠伝』もお気に入りの作品である。

 その後横田氏は明治時代の研究がメインとなっていくが、『火星人類の逆襲』などは『日本SFこてん古典』シリーズで馴染みの作家たちが登場し楽しめた。


 図書室の他の本では、ハードカバーだが和田わだ慎二しんじが挿絵を描いたファンタジー『ドーム郡ものがたり』も印象に残っている。

 なぜか大陸書房のオカルト系書籍も大量にあり、私は片っ端から読破していった。私のオカルト知識はこれらの本によるところが大きい。


 図書室には日本の歴史や世界の歴史、偉人伝のコミックスシリーズも置いてあった。大判の本は家に持って帰るのが大変なこともあり、主に放課後に図書室で読んでいた。

 当時刊行が始まっていた荒俣あらまたひろしの『世界大博物図鑑』も図書室に通って読んでいた。この図鑑は大きすぎ、厚すぎて借りるには無理がありすぎたためだ。


 私立学校らしく、学校の歴史をまとめた記念誌も蔵書としてあった。大正時代から続く歴史の中でも第二次世界大戦の影響が残っており、校歌の一番が現在と違っていたり、学徒動員された先輩たちが米軍の機銃掃射で亡くなっているなど、知られざる歴史を知ることが出来た。


 記憶があまりないが、私は図書委員会にも入っていた。三年生の時だったか、司書の引率で「川又かわまた書店」本店へ図書の購入に行ったことを覚えている。リストアップされた物から購入していくため、私たち生徒が自由に選べるわけではなかったが、初めての体験で楽しかった。


 次回は水戸の古書店巡りの話をしたい。

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