第106話 『クレギオン1』後半の出来事、ファイナル本の制作など

 さて、1話飛んだが『ネットワークRPG クレギオン1 遙かなるアーケイディア』の後半部分について語ろう。

 話も終盤になり、敵ボスの本拠地に攻撃をかけたり、地球人が異星人の遺した超生命体と接触したりといった大イベントが各ブランチで起こっていた。Fブランチでは本作のタイトルにもなっているアーケイディア星に行くことになり、私の所属するチームF(仮称)も作戦に参加した。

 なお、最終回のアクションは、心残りのないように各メンバーのしたいことをするということでチームとしてのアクションはしなかった。チームリーダーがアーケイディア星で「小さな神」という存在と出会い、ラスボスと戦う者達のサポートをするため「覚醒者」になるという命の保証ができない選択をしたためである。幸い作戦は成功し、リーダーも無事帰還した。


 プライベートでは就職1年目ということもあり、新人研修等で忙しい日々を送っていたが、仕事中にもリアクションのことを考えたり、通勤時には個人的にイメージソングとして考えていた光GENJIの歌を流したりして作品世界に浸っていた。自分で聞いて満足するだけにとどまらず、光GENJIの歌を集めてイメージソングテープを作り、ホビー・データ社に送った記憶がある。この「イメージソングテープ」というものも、他のプレイヤーがそういった物を作っていたということを交流の手紙に書いていたので知ったはずである。


 また、毎月の交流の手紙に、リアクションのコピーと共に自分のアクションの背景を綴るプライベート・リアクション(略してプラリア)を付けているプレイヤーもいた。今風に言うならSS(ショートストーリー)だろうか。


 本編終了後、私はチームFのメンバーや交流者にアンケート用紙を送り、ファイナル本(打ち上げ本)を作ろうと考えた。リアクションのコピーやプレイヤーの毎回の作戦案、プライベート・リアクションなどをまとめ、合間にそれぞれの時期の自キャラとチームメンバーの状況をプライベート・リアクションの形式で私が書き下ろした。結果としてコピー誌で4分冊という大部になった。


 『クレギオン1』終了を祝うオフィシャルイベント(オフイベ)は、遊園地「よみうりランド」に当時隣接していた宿泊所「よみうりランド会館」にて行われた。泊まり込みで各部屋にマスター達が分散し、分科会形式でイベントが進行するというものだ。私はFブランチのマスターのいる分科会などに参加した。宿泊は男女別で数人が一部屋に泊まるというものだった。大人数のプレイヤーが一カ所に集まるイベントは、修学旅行を思い出すような雰囲気だった。


 翌日のイベント終了後は、よみうりランドでジェットコースターに乗ったりした。この「よみうりランド会館」でのファイナルイベントが後のホビー・データのネットワークRPGでも定番となる。


 次回は同時期に始まった遊演体の『ネットゲーム91 那由他の果てに』について語りたい。

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