第61話 従魔無双とアイテム回収班


クマ五郎と11階層に降りてきた。


二度目の11階層だが初めて魔物がいる状態を目の当たりにしている。


「狐魔物だったんだ…この階層…」


と呟く俺にクマ五郎が、


〈すばしっこそうなんだなぁ〉


と、不安そうだ。


俺は、


「クマ五郎は、この階層は俺の補佐役になってくれるか?

ここまで殆ど何も狩らずに来たから、俺もレベル上げがしたんだ」


と言うとクマ五郎は、


〈了解なんだよぅ〉


と言って俺の背中に周り、辺りを警戒して着いてくる。


俺は、索敵で辺りを確認しながら隠密系スキルをフル活用で狐魔物の背後をとり、雷鳴剣で不意打ちスキルの乗った一撃を打ち込む。


するとパッシュンとドロップアイテムを残して消える狐。


「ヨシ、行ける」


と手応えを感じながら狩りを続ける。


たまに、クマ五郎自体が狐に察知されて後ろでバトルが始まるが、


すばしっこくて苦手なだけで、炎魔法を放つ狐にクマビンタが決まれば一撃で沈めている。


俺は側まで行くのが面倒になり、魔鉱鉄の弓に持ち替えてサーチ&デストロイしていく。


魔鉱鉄の弓は特に何も付与されていない元のままだ。


下手に耐久力を上げたら固くなって扱い難くなったり、攻撃力や防御力を上昇させても、矢にはスキルは乗らないのでスキルは付与していないのだが、


ターゲットと隠密プラス気配消しからの不意打ちスキルが乗った矢が次々と狐を射抜いて行く…


もう、こうなるとクマ五郎はドロップアイテム回収班になり倒した位置を覚えて、俺の弓攻撃が一通り終わると、


〈拾ってくるんだなぁ~〉


とトテトテ歩いて行き、魔石や狐の毛皮、それに、


〈宝箱ぉあったんだなぁ~〉


とドロップアイテムを抱えてルンルンで帰ってくる。


宝箱を確認すると、定番のマジックポーションだった。


辺りを見回し、


「ヨシ、粗方倒したから下に行こうか?」


と、俺がいうと、


〈了解なんだなぁ~〉


と、後ろをついてくるクマ五郎、


『クマなのに猟犬みたいだな…』


などと感じる。


そして、クマ五郎と一緒に降りてきた12階層は森のエリアで、原付サイズのカタツムリがゆっくりと動いているのが見えた。


『固そうだから弓は効かないかも…』


と、硬い殻と、ヌメヌメの体に弓での攻撃を諦めるが、このダンジョンは魔法を使う魔物がメインのはず、何を飛ばしてくるか解らない…


注意しながら近づいて倒そうとすると、


クマ五郎が、


〈アイツはノロいんだなぁ〉


とカタツムリに駆け寄り唐にクマパンチをお見舞いする。


殻には拳サイズの穴が開くが、次の瞬間カタツムリが光り殻の穴がゆっくりと塞がる。


『回復魔法もあるのか!』


と、俺は驚くが同時に、


『なら、何にも撃って来ない、ノロい魔物なだけかも?』


と判断し、ツルハシを装備してカタツムリとの我慢比べが始まる。


ツルハシでシバくと、回復…シバくと、回復…


何度が切り替えすと、魔力切れで回復出来なくなって、シバかれて、消える。


かなり疲れるが、ある意味安全な狩り場だ。


クマ五郎は、


〈クマ連撃なんだなぁ!〉


と、回復を上回る勢いで殴り続けて、直ぐ様パッシュンさせている。


『おっ、新技を閃いたな…クマ五郎のやつ…』


と、ツルハシで、我慢比べの様な泥臭い戦いの横で、速すぎて腕が増えて見える訳ではなく、実際に腕が四本のクマが、華麗にカタツムリを倒していく。


『あんな重そうな連打…反則級だよ…』


と、後半はクマ五郎無双を眺めるだけになっていた。


この様な感じで15階層まで来て、この階層の水魔法を飛ばすカニも雷鳴剣のビリビリとクマ連撃でほぼ倒してから、中間のセーフティーエリアに降りる。


ここで、お昼ご飯にしてからクマ五郎を送喚して、


続いてガタ郞とミヤ子を召喚して後半戦を始める。


しかし、前半お預けを食らった二人が張り切り過ぎて無双状態に入る。


『…俺のレベル上げが目的なのに…』


決めた、二十階層のボスはソロで殺る!!


と、心に決めて、俺はもうドロップアイテム回収班に徹する。


ドロップアイテムの中にスキルスクロールが混じり、少し気分が上がった俺だがレベルは上がって無さそうだ…


多分レベルが上がったのはガタ郎とミヤ子だけの様であった…


20階層のボス部屋前のセーフティーエリアに到着したが、手応えの無いままボスに挑むのは嫌だったのでガタ郎達に、


「えー、明日から数日ここを拠点にレベル上げを、します。

明日からは1日交代で、お供は一人ずつでドロップアイテム回収業務を頼みます。」


と発表すると、暴れてスッキリした二人は快諾してくれた。


ガタ郎に今晩の見張りを依頼して、


「明日の朝から、マリー、クマ五郎、ミヤ子、ガタ郞の順番ですので連絡よろしく。」


とミヤ子を送喚した。



ヨシ、明日からが本番だぞ!


「ガタ郎いつも通りコックローチの一族と、あと追加であの入り口横のゲジゲジ君もお引き取りリストに追加で…」


と指示をだすと、


〈了解でやんす。〉


と答えるガタ郎だった。


これで、寝られるな…しかし、やるな…ゲジゲジ君…ここまでついて来てたんだ…


と少しだけゲジゲジ君のガッツを称える俺だったが、あの長くでワサワサした足がウナウナと動くと思うとゾッとするから仲間にはしないと思うので、


残念…遠くから仲間になりたそうに見ないで下さい…

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