第94話 万全の構え
現在、人間と虫チームで会議をしている。
話によると魔の森にいる5匹のヌシの一匹である蟲の主のアトラスっぽいオオカブトの話では、
「最近、住み処にしている大樹の近くで人間が嫌な匂いや嫌な音が出る道具を設置して住み処から我々を追い出そうとしております…どうか、お力をおかし下さい。」
と言っている。
ザックさんに聞くと、
「魔の森を進軍する為の魔物避けの魔道具だな…たぶん…」
と答えてくれた。
前回の戦争からその魔道具が使われていたらしくワルド王国軍は魔の森を自由に突っ切り攻めてくる為にかなりの大変な戦争だったそうだ。
人間達にも迷惑な国だが、森の魔物にすれば、戦争をしていた二年近く自宅の隣にゴミ屋敷と騒音おばさんが住んでいるみたいなストレスを感じているらしい。
魔物達は絶えず、嫌な音と嫌な匂いがするので仲間と引っ越したいが、魔の森の決まりでヌシの住み処は変えれないらしく、住み分けが決まった森でヌシが引っ越せば要らぬ軋轢を生んでしまうと我慢をして暮らしていたらしいのだが困りに困って、俺を頼って来たらしい。
「う~ん…」
と考えこむドノバン様は、
「森の中で引っ越せないなら、ヨルドの町引っ越して来たらどうです?
我々を襲わない、我々も虫魔物を害さない盟約を結んでワルド王国さえ徹底的にやっつければ魔道具も高価な物だもって帰るだろう。蟲のヌシさんは根城はそのままにしてヨルドの街に外城を作ればいい」
と、提案してくれた。
すると、城蟻のアリスが、
「我々城蟻は〈穴堀り〉・〈接着〉のスキルの他にに〈硬化〉というスキルも御座います。
地下に蟲のヌシ様とその仲間の城を築きそこで出た土や石を使い、地上に壁のや町を作れます。
土で作った壁でも、〈接着〉と〈硬化〉のスキルで普通の岩にも負けない壁が出来ますわ」
と、意見をだしてくれた。
では、作戦開始となりアリスはチームを3つに分けて地下帝国班と、壁補修班に、農業班で作業を始めた。
蟲のヌシのグループのお仕事は、森からの敵や魔物の警戒と警備。
ドノバン様はアリス達と協力して農業をして食糧の生産。
ザックさんは壊れた建物の片付けと使えるものや、使える素材を分別する作業をしてもらう。
ー 約一ヶ月 ー
町が息を吹き替えしてきた。
壁は以前よりも厚く、硬く、高くなりアリス達が張り切り要塞まで作られていて下手な砦より堅牢だ。
町は無骨な土の建物が建ち並び以前よりも快適な避難所が完成した。
住人からは、
「このままで構わないからもっと建てて欲しい!夏なのに涼しい…」
と好評だ。
そして、地上の建築材料は全て地下から出た物なので、この土を掘り出した地下の出入り口は町周りの空堀の奥から入れて、マイクロバスも停めれる大駐車場の様な大空間に虫達の楽園が完成していた。
アトラスっぽいオオカブトの蟲のヌシの住まいを中心に壁際に丸太が並びキノコが栽培されている。
隣にはアリスの新しい王国も併設されたので、下手をすれば地上よりもデカい虫の世界が広がっている。
地上では、アリスの一族が耕した畑にジャガイモを目一杯植えてもしもの籠城戦にそなえている。
そして、思いの外早く壁が完成したアリスとドノバン様とザックさんと、そして、新たに俺の従魔になった〈将軍ムカデ〉の〈タンバ〉が何やら悪巧みをしている。
「魔の森にも出城をつくりませんか?」
とアリスが提案して、ドノバン様も、
「城からバリスタを運ばせておるので設置しよう!」
とノリノリだ。
ザックさんは、
「アリス殿、出城の空堀を二枚底にして、梯子をかけて乗り越えようとした奴らごと落とす罠とか出来ますかな?」
と聞いて、アリスは楽しそうに、
「出来ますわよ」
と答えている。
タンバは、
「では、出城の防衛と罠への追い込みは我ら蟲衆におまかせ下さい」
と言っている。
ちなみに、将軍ムカデのタンバ君は、
〈統率〉というスキルと、〈号令〉というスキルがある甲冑の様な質感の体に真っ赤な足のデカいムカデだ、大きさはお猿のSLのままだが、スピードは三倍ほど早くなった。
『やはり赤いと三倍速くなるのか?』
と要らぬ事を考えて俺だったが、そんな事よりタンバ君の〈統率〉は配下に身体強化と連携率上昇の効果を一時的に与え、〈号令〉は配下に念話で指示をだせるスキルだ。
ちなみにタンバの名前は、昔やったゲームの平家の侍が、魔界の源氏を討魔するヤツの〈丹波〉のマップのボスを思い出したからだ。
『子供ながらに気持ち悪い敵を見たくないが、見ないとゲームが進める事が出来ずに苦悩した事を思い出す…』
そして、現在、タンバは蟲の主の部下300を配下として置いている。
普段は300人将だが、有事の際はアリスの一族も一時的に配下にして、2000を超える大軍勢の将軍となる。
城攻めは三倍の兵士がいるらしいが…この要塞の様な町を落とすには一万居ても怪しいかもしれない。
罠だらけの出城に統率された強化昆虫兵士…それと手を組む王国騎士団…最悪ミヤ子に敵の本陣に粉を撒いてもらったら敵国に大ダメージは与えれる。
四人の悪巧みの様な作戦会議と、罠の増築は繰り返されて、開戦までに迷路の罠や竹槍の仕込まれた落とし穴など…
いきなり攻めてくるワルド王国が悪いのだが、少し気の毒になってきたよ…
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます