第113話 ヨルドで、やるど!!


さて、ヨルドの町と周辺の領主になったのだが、ヨルドの街は先のワルド王国との戦争の時にだいぶ復興出来ているが、周辺に有った3つの村はほぼ放棄されたままらしいのだ。


村人は、戦争に巻き込まれ死んでしまったり、農地を踏み荒らされ他の地に移住や避難したりとダメージを受けたままである。


現在、ヨルドの防衛砦で宰相のドノバン様からの引き継ぎを受けているが、やることが山積みだ…


まず、ヨルドの町も仮設住宅を気に入ってしまい暮らしている住人が多数いる状態で住人も数百人と、村程度しか残っていないのだ。


もう、やりたい放題やるにしても一緒に街作りをしてくれる人間がまずは欲しい…


俺は、


「貴族の世界もよく知らないし、領主の仕事もよく分からないので、ドノバン様が助っ人に残ってくれませんか?」


と無理を承知でお願いをしてみたらドノバン様は、


「安心してくれ、私によりは少し劣るが、我が息子〈サントス〉をポルタ君に付ける様に手続きしておるし、執事やメイドもフェルドナの城で編成して既に領主の館に配置しておる。

領主の仕事は息子に丸投げでもソコソコこなすだろうし、ポルタ君のヨルド家に配属された執事は王家の執事長の次男坊〈テムズ〉だ。

かなり出来る男と評判の人材だし貴族社会のことは彼から聞けば大丈夫ろう。

あと、騎士団数名をフェルドナの城からヨルドに移動させようと希望者を募れば、あの戦争でポルタ君と戦った者が何人も移動願いを出してきて大変だったよ。

戦上手の君主の下でならば手柄も立てやすいし、何より無駄に死ぬ事が少なくなる…ポルタ君は優良領主と判断されたのだろう。

二十人ほど連れてきてヨルドの兵士と合わせて騎士と兵士で50名程いるので、一つの町にしてはまずまずの人員がいるから上手く使ってやってくれ…」


と説明してくれた。


味方が居ると解り俺はホッとすると同時に、


『さて、この戦争の傷痕が残る町をどうしてくれよう…他の町と同じでは駄目だ…どうせなら最先端の町にしなければ…』


改めてヨルドを回り、色々と考えるが、


『もう、一から壁も道も建物も配置し直してしまおう!!』


と決めた。



数日後に新たにヨルドの町の今後を決める重要な会議が開かれた。


ウチの町の主要メンバーは


俺を頂点に、

参謀の〈サントス〉さんと、文官職三名

執事の〈テムズ〉さんと、使用人七名

騎士団長〈アベル〉さんと、騎士団二十名

兵士長〈エドガー〉さんと、兵士三十名の領主の館チームと、


ファミリー商会ヨルド支店の〈ヘンリー〉さんに、

俺の私的な配下としてオーガ組の〈ルル〉さん、〈ドド〉さん、〈ドテ〉くんの拠点チーム、


〈ゴング〉さん、〈マット〉さん、〈ベルト〉さんと、弟子の方々のガイナッツ王国職人チームに、


住人代表の〈マック〉さん

冒険者ギルドマスター、元〈Aクラス〉冒険者の〈ゼル〉さんと職員さん数名と、

商業ギルドマスター〈パンチョ〉さんと職員さん数名に、ギルド関係者の家族も含めた住人300名あまりの町チーム、


それと、〈アリス〉率いる〈城蟻〉建設部隊が2500程と、〈タンバ〉率いる虫の軍勢数千…なんかジワジワ増えているっぽいけど、確認に行くのが怖い…


というのがヨルドの町の全てだ。


そして、これから数年がかりで、魔の森の開拓と護衛にアリスの部下1000と、タンバの部隊の一部を貸し出すとして、残りのメンバーと街作りにとりかかる。


会議で俺の構想を話して皆の協力をお願いした。


先ず、領都を新たに整備し直す予定でサントスさんを中心とした区画整理チームに、壁や大型の建物は前世の記憶を参考にして、鉄筋を骨組みにした新工法、〈鉄筋蟻固め工法〉を提案しアリス達と職人チームで実験をした後に強度の強い鉄筋の太さや壁の厚さを決めて、道や壁、水路を整備した後に建物を建て始める事にした。


鉄筋同士も接着のスキルで固定して、土を岩の様に固めるのもアリス達の接着や硬化スキル任せになる。


『 これはご褒美の砂糖水を沢山用意せねば…』


屋敷の運営はテムズさんに全て任せるとして、騎士団と兵士団は何か特別な強みをいずれ作りたいと考えているのだが、騎士団も兵士団も当面はヨルドの町の警備業務を主に働いて貰う様にお願いしている。


そして、ここからのアイデアがだいぶ無茶なのだが、住人を丸ごと商会の一員として、俺の指定した物の生産や加工に従事してもらい、町の店も商会の一員として、初期投資や人件費を俺の帝国からのお給料や個人的な特許使用料から捻出する。


大人は安定した仕事と収入が入り、子供には俺の知識の中からこの世界でも使えそうな知識を教える学校を領主館で開く予定だ。


文官職のメンバーを鍛えれば先生も出来るだろう…


もう、好き勝手して新たな特許使用料だけで領地運営が出来るぐらいにしてやる!


それと、帝都より賢い子供を量産して未来も安泰な、技術と知識の都を目指してやるっ!!


やると決めたからヤってやるんだ!!!


まぁ、旨い飯が食えたら俺としては満足ではあるが…いったい俺は何処へ向かっているのだろうか?…と不安になる瞬間があるのも確かである…不安だ…

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