第83話 商会の設立
春の終わりに出発したが拠点に戻ったのは秋本番と、かなり留守にしてしまった。
俺達は装備が新しくなったり冒険者のランクが上がったりといろいろ有ったが拠点でも変化が有ったようだ。
蜂蜜事業に大口の注文が入り大騒ぎだったらしい。
パーシーさんの弟さんもクレストの街から呼び寄せて、ウチ家族もアルバイトとして雇い納期迄に間に合わせたようだ。
お届け先はなんと帝都マルス…姫様のご婚礼の引き出物にロイヤルハニーとパーティーの食材としてビックハニービーの蜂蜜を大量購入されたらしい…
『マリアーナ姫様とサムさんが結婚するのね…はいはい、良かった良かった…』
それと、ウチの子供組のリーダーであるシェラが10歳となり、教会で〈祝福の儀式〉を受けた。
まぁ、大層な名前だが、
『一生に一度、無料でスキル鑑定をしてあげるから教会を宜しくね』
みたいな行事である。
そこで、シェラはテイマースキルと身体強化のスキルがあると鑑定されて、いまでは、シェラはライラさんのお手伝いをしたり、ノーラさんの家事の手伝いを頑張っている。
『おっ、また我が家のテイマー人口が増えたし…本当に卵鳥を探しに行くか?』
と計画する俺は、卵鳥自体はそんなに強い魔物ではないから、シェラ自体にフィジカルとかのスキルを取得させて少しレベル上げがてらクイーン卵鳥をスカウトに出掛けても良いかもしれないと考えている。
アゼルとメリザは暫くワイバーンと拠点で過ごすらしいし、シェラには、
『卵農家兼冒険者にならないか?って聞いてみよう。』
と決めてシェラに、
「冒険者登録してレベルを上げて、クイーン卵鳥と契約して、拠点の中で卵農家として頑張ってみないか?」
と相談すると妹のシェラは、
「ポルタ兄ぃの手伝いが出来るし、ノーラ母さんの手伝いもしたいからここで暮らしたい」
と言ってくれたので、
「よし、シェラを鍛えて一流の卵農家にするぞ!」
という事になった。
秋の蜂蜜の出荷をこなしたパーシーさんと、ポプラさんに「お疲れ様」を言いに行ったら、パーシーさんの弟の〈ヘンリー〉さんを紹介してもらった。
ヘンリーさんは、街の商会で働いていたけどパーシーさんが蜂蜜事業の助っ人として呼び寄せた好青年だった。
お客様対応などが上手なセールスマン的な人材で、今回の帝都からの依頼も上手にこなして、各地の貴族の方々と仲良くなっており、これから蜂蜜の販路を広げてくれそうな敏腕セールスマンである。
『有難い人材だ…』
ポプラさんが、
「ポルタ君、一度一緒に商業ギルドに行って商会として登録しませんか?牧場を正式に登録するのもですが、また新たな工房を開くにしても登録や報告資料の作成が楽になるので…」
と提案された。
俺は、
「木工工房や鍛治工房なんかも作れる?」
と聞けば、パーシーさんが、
「勿論、個別でギルドに登録は必要ですが商会の傘下として簡単な手続きで工房が開けます」
と教えてくれた。
という事で暫く遠征の予定もないので、パーシーさんとポプラさんと一緒に商業ギルドにきて手続きをしているのだが、
しかし、商会の名前をなど全く決めておらず、悩んだ末に俺達のパーティー名の〈ウチの大家族〉に、ちなんで、〈ファミリー商会〉に決めた。
会長は俺、
副会長はパーシーさん、
経理はポプラさん、
営業はヘンリーさん、
蜂蜜工房長はマリーと仲が良いのでノーラさん、
牧場長はライラさんで登録した。
〈ファミリー養蜂場〉に〈ファミリー牧場〉…
何とも休日に家族で遊びに行く農業テーマパークみたいな名前になってしまった。
そして折角商業ギルドに来たのだから、残高照会をして見ると特許使用料と遠征で稼いだ物を合わせた貯金額が大金貨230枚以上有ったが山を買うにはほんの少し足りない…
ポプラさんに、
「残念でしたね…裏山を丸ごと買うには少し足りませんでした」
と、言って残念がるとポプラさんは、
「ローンを組んだらどうですか?」
と提案してくれた。
パーシーさんとも相談すると、
「裏山を買って、ハニーちゃん達の住み処を作れる様に整備したら蜂蜜の生産量も上がりますし、
今回の帝都からの引き出物の件で販路は拡大しましたから十分支払いが出来るかと…」
との意見だった。
『よし、山を買って、蜂蜜用の花畑と温泉を整備するぞ!』
と決心して頭金を払いローンを組むことにしたのだった。
ついでとばかりに俺は蜂蜜の生産量アップを狙い農機具の購入や花の種や色々な苗木仕入れの予約をしてから拠点に帰る事にした。
当面は冒険者はお休みしてクマ五郎やクマ美と裏山に温泉までの道を整備して道の周辺を開墾して花や木を植えて蜂蜜の生産量向上と温泉を整備しよう!
さて、あとはシェラの追加スキルをダンジョンショップで買って、装備は…メリザのお下がりで良いかな?
これから何かと忙しくなりそうだ…
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