第47話 帝都での生活


帝都にあるガイナッツ王国の館で寝起きさせてもらっている。


ゴング爺さん達が技術指導を約1ヶ月の予定でする間、王様達も含めて帝都に残る事になっているのだ。


ゴング爺さんの息子さんのタッグさんに、奥さんで付与師のペアさん、そして金細工職人の娘ビューティーさんの三名も合流して、皆でガイナッツの館の鍛治工房で俺の剣などの制作をしてくれる予定だ。


『楽しみ!』


タッグさんに、


「ポルタ君、ミスリルがあと少し有れば総ミスリルの剣でも作れるし魔物素材で良さそうなモノが有れば混ぜる事も出来るけどどうする?」


と聞かれたので、


アイテムボックスからトレントで荒稼ぎした大金貨な中から十枚を取り出して、


「タッグさん、俺はアイテム鑑定とか出来ないので、偽のミスリルとか掴まされそうだし、魔物素材の知識も有りませんのでコレで何とかなりませんか?」


と言ってタッグさんに渡すとじっと手のひらの大金貨を眺めて、


「親父の可愛がっている子供冒険者からの依頼だと舐めていた訳ではないがこの予算だと付与までやってもお釣りが出るぞ…母ちゃん!ビューティー!作戦会議だ」


と、何やら相談を始めた。


会議の途中でペアさんが、


「ポルタ君、予算内なら何しても良いの?」


と聞いていたので、


「大丈夫です。何でもお願いします」


と答えておいた。


…会議の結果、剣は総ミスリルで作り、ドラゴンの牙等の素材を加えて強度を上げる事になり余った素材やミスリルでミスリルコーティングなどのサブウエポンや装飾品の制作をするらしい。


そして、付与するスキルを探しにペアさんとお買い物に向かう事になったのだ。


タッグさん達は、


「予算ギリギリまで使って最高の装備を作るゾ~!」


「おー!!」

「おー!!」


と円陣をくんでいる。


『仲良いね家族だな…』


と眺めているとペアさんが、


「ポルタくん、付与するスキルを一緒に買いに行くんだけど、凄く強力なスキルとかは予算からはみ出ちゃうから、その時は購入は実費にるなかも…いい?」


と申し訳無さそうに聞いてくる。


俺は、


「全く問題無いです。

むしろ、付与するスキルは全部俺が購入しますから、目一杯素材購入に宛てて下さい」


と答えた。


『なんたってトレントで儲けましたからね』


と余裕の俺にビューティーさんが、


「やった。ミスリルの腕輪も作れる!」


と喜んでいる。


ペアさんが、


「総ミスリルの剣だとスキルが5つ程度付与できるけど、どんなのが良いとかある?」


と聞いてくれたので、アイテムボックスからダンジョン産の魔鉱鉄の片手剣を取り出して、


「コイツの飛爪ってスキルが良いんですが…」


と答えるとペアさんは、


「イケる、イケる。

でも、ポルタ君は、渋いセンスしてるわね。

玄人好みのスキルよ…子供ならもっとドカーンと派手なスキルとか好きなんじゃないの?」


と言っているが、


ペアさんは「うーん…」と考えたあと、


「耐久力上昇に切れ味上昇、修繕も付けて…

あと1つ、ポルタ君はどんな感じが良い?」


と聞いてくるので俺が、


「そうですね、余り傷つけずに相手を制圧出来れば嬉しいですね…今回で懲りましたから…」


と遠い目をしているとペアさんは俺に構わずに、


「アンタぁ、片刃の剣に出来るかい?

雷魔法を付与して、傷つけないで制圧出来るようにしたいのと、奥の手は飛爪だって」


とタッグさんに確認をとっていた。


タッグさんは、


「出来るよ。

本当に実用的な良いスキルを選んだねイメージが湧いてきたよ!

さっそくミスリルインゴットと魔物の素材を買いに行くよビューティー手伝って。」


と言って買い出しに向かった。


ペアさんも


「アタシらも買い物に向かおうか、まずはスキルショップだね」


と言って俺に声をかける…


スキルショップに行けるのは嬉しい…嬉しいのだが…ガタ郎から既に報告が入っている。


〈あの姫様が館の前で侍女を連れて待機してるでやんす〉


と…


『も~面倒臭いよぉ~!』


でも、マルス帝国の姫だから雑には扱えないし…

皇帝陛下も


「もう、縁談も一巡りやって駄目だった娘だ…自由に人生を楽しませてやりたい…」


と放置宣言をされたあとだし…


『誰が止めるのよ?』


マリアーナ嬢の属性に〈ストーカー〉が付与されてますよ、皇帝陛下…。


とまぁ、少し悩んだ俺だが、腹をくくりペアさんと二人で館の門をくぐるとマリアーナ様が、


「あら、愛しのポルタ様、偶然ですわ。

たまたま街に行く途中で、会えるだなんて、私たちはやはり運命の赤い糸で結ばれているのですわ!」


と…


『朝から居たの知ってるよ…

俺としては、運命の粘着テープに巻き付かれた気分ですが…』


と思いながらも営業スマイルで、


「本当に、偶然ですね。

買い物に出掛けて初めに会えたのが姫様とは…今日は何か良い商品とも出会えそうですハハハ」


と、感情少なめに俺がいうと、姫は真っ赤になってモジモジしだして、


「では、ポルタ様ごきげんよう…」


と、去って行くマリアーナ様…


『強引について来るとかでは無いのよね…あのお姫様は…抗議しづらい絶妙なラインを攻めてくる…』


ペアさんが、


「あれ、アタシお邪魔だった?」


と気を遣うので、


「鑑定が出来るペアさんがお邪魔な訳ありませんよ。むしろ、頼りにしまくってますので宜しく」


と俺は頭をさげてスキルショップに向かったのだった。

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