第121話 パーティー延長戦
あの後スイーツをごっそり並べたら皇帝陛下の奥様方に滅茶苦茶叱られた…
「こんなに食べた後で、そんなの出して来るのは反則です!食べたいのに食べられないじゃないの!!」
と…
『反則て…どこのルールです?…ホントに知らんがなって気分ですよ…』
と呆れる俺だが、結局我が家主宰街の完成御披露目パーティーは、お腹を減らす時間を設ける為に二日目へと突入し、朝から女性陣主体のスイーツバイキング状態で、一種類ずつキャッキャと談笑しながら召し上がっている。
アイテムボックス持ちが多いので何時でもフレッシュな状態で提供出来るとは言え昨夜に続き朝からケーキに、クレープ、ドーナッツと…見ているだけで胃がキュンキュンする。
しかも、男性陣は居酒屋みたいな状態で朝から飲んでいる…
キンキンに冷えたエールを片手に〈焼きたロウ〉から買って来た焼き鳥や〈揚げたロウ〉のコロッケやメンチカツで朝からご機嫌だ。
皇帝陛下が、
「ところで、ヨルド子爵殿?」
という…俺は、
「何ですか陛下…気持ち悪い…ポルタで良いですよ」
と少し警戒しながら答えると皇帝陛下が、
「では、ポルタよ、余は驚いておるのだ…
旨い料理も知らない酒よりも…
余は、そなたのあの事を知っているが、そんな事と関係なくそなたが関わると全てが良い方向に向かう気がする…娘の事もそうだが魔族との関係がここ数年で一変した…
三百年前の遺恨や三百年間の苦悩が全く無くなった訳では無いが、そんな事など気にならない程の衝撃とだれかれ構わずに等しく笑顔にする話題性が、そなたにはある…
まぁ、時には酷い目に合うが…
しかし、余はそなたにも幸せになって欲しいと考えておるのだ…」
とベロベロに酔っぱらった皇帝陛下がいう。
すると、カーベイル国王様まで、
「アルフよ、その通りだ!
お主はポルタに迷惑ばかりかけておる!
せめて、ポルタとシシリー嬢の為にひと肌脱ぐべきだ!」
と、よく分からない事を言い出している。
『あぁ~あ、これだから酔っぱらいは…』
と、俺が呆れながら、
「はいはい、皇帝陛下も国王陛下も、飲み過ぎですよ…
シシリーさんとは魔王城が完成したらお隣同士になりますから、ゆっくりとデートでもして仲良くなりますからお構い無く…」
と、シシリーさんの事に介入されまいと、はぐらかすのだが、カーベイル様に、
「ポルタよ、帝国と魔王国の平和の為にも全力で魔王城の建設を手伝うのだ!予算も付けるし…頼む!!」
と懇願され皇帝陛下には、
「魔王城の完成に尽力し、魔王国との友好のために働いた功績をもって、伯爵にしても良い!
魔王陛下との格が気になるのなら、自由の利く辺境伯に陞爵させても良いと思っておる…
魔王陛下は良い娘だ…幸せになって欲しいのだ!
そもそも、そなたはもうすぐ19だろう?
余は19の歳には、妃を三人ベッドに並べて…」
と、酔っぱらいがトンデモない話しを始めたので俺は、
「皇帝陛下!お酒が過ぎてますので、ねっ…一旦お水でも飲みますか?」
というと皇帝陛下が、
「えぇーい!ポルタよ、余は酔っぱらってなどおらん!!」
と騒いでいる。
困り果てた俺は駄々っ子の耳元で、
「皇帝陛下、カサカサします?」
と囁くと、陛下は真っ青な顔でガタッと立ち上がり、
「いささか飲み過ぎたかもしれん…
余は、トイレに行くぞ!イルも…ソコの騎士団もついて参れ!」
と、お供をゾロゾロ連れてトイレへ向かった…
『あれは、顔でも洗って酔いを覚ます気だな…一緒に連れて行った護衛は…カサカサしないか周囲の警戒をさせる目的だろう…やはりトラウマを植え付けてしまったらしい…ちょっぴり反省…』
と…心にも余り無い反省をした俺は酔っぱらいの相手も疲れたので、スイーツバイキング会場へと移動すると、食べ過ぎてお腹の膨れたご婦人方が、恋バナに花を咲かせていて、結局奥方様達にもシシリーさんの件を「何とかするのです」と言われた。
当のシシリーさんは何故かメイド姿の〈ルル〉と仲良しになっており、俺の話題で盛り上がっている…
『うーん、嫁取り問題かぁ~…』
前世から考えてもトンと女性とは縁の無い生活を続けて居たからなぁ…
魔王城建設現場にアリス一家をフル投入してお引っ越しを早める様にするかな…?
そしたら、お隣になるからデートもしやすい…
正直、あれ以来交流がなかったシシリーさんに俺が軽い人見知りを発動させており、変に意識したり緊張しなくなる為にも回数が必要だ…
『うん、自分なりに頑張りますので…』
だから奥様方…グイグイ話しを進めようとしないで下さいませ…頼みます…
などと予定より長くなってしまったヨルドの街完成披露パーティーも無事に終わり皆さんが領地にお戻りになられた。
最後まで残ったシシリーさんとルキフグスさんに、
「城蟻のアリスの一家を全員を一旦魔王城の築城と住民の住宅の建設に魔王国にお貸しします」
と告げると宰相さまは、
「有難い、来年の冬には魔王国民全員魔の森で過ごせる様になりそうですな…」
と喜び、シシリーさんは、
「ようやくポルタのもとに行けるのだな…嬉しい!!」
と抱きついてきた。
ルキフグス宰相様は、
「元々シシリー様は普通の少女…魔王の知識に目覚めた為に魔王に即位されたが、我々の長年の夢を叶える偉業を成し遂げたあかつきには好きな男性のもとに嫁ぎ幸せに成って頂きたい…
それがポルタ様なら、これ以上ない話しなのですが…いやはや、私も飲み過ぎたようですな…
魔王陛下、魔王国に戻るのは明日以降にして一旦魔の森の屋敷に帰って休みましょう」
と笑いながら帰っていった。
シシリーさんは泣きながら渋々だったのを見て少し心がチクリとした…
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