第52話 人の噂と人間不信
現在、帝国で一番大きな中央図書館で朝から晩まで過ごして、館で眠りまた中央図書館で過ごす…
完全に人間不信になった俺はもう、誰とも話したくなかった。
ペアさんに相談した結果、
〈記録〉という、目で見たモノや事柄を鮮明に思い出せるスキルを買って、並列思考と合わせ技で、もう二冊同時に速読のようにパラパラとページを記録している。
あとは、〈検索〉というキーワードで記憶を呼び起こすスキルで、ページを呼び出して読めば脳内ウィキの出来上がりとなる。
スキル、素材、魔物に地図…
もう、手当たり次第に本をペラペラする作業をする日々…
そして、誰にも会いたくないからと、
〈隠密〉という気付かれ難くなるスキルと、
〈忍び足〉という音で察知され難くするスキルに、
〈気配消し〉という感知系のスキル等から、感知され難くなるスキルと、暗殺者の基本スキルの様なスキルも買った。
おかげで館から誰にも気付かれずに出かけられる…
ついでに、
〈不意打ち〉という、不意打ちの際の攻撃が上昇するスキルに、
中級炎魔法の〈フレアランス〉という炎の槍を射ち出すスキルと、
中級土魔法の〈ピットホール〉という穴堀りスキルを取得した。
全てまとめて大金貨二十五枚…ヤケクソ気味に手に入れたスキルのお値段だが後悔はしていない!
むしろ、鑑定系のスキルを後々手に入れれば、鑑定と知識とアイテムボックスで貿易でもすればお金儲けが出来そうだからだ。
だから今は、一心不乱に知識を吸収することに集中している。
そう、全てを忘れる様に…
行き帰りの街中で、
「マリアーナ姫が婚約したらしいぜ!」
との噂を耳にする。
『はい、はい、良かった、良かった』
と、もう、暇な貴族の遊びに付き合うのはまっぴらごめんなので関わりたくない。
俺は一刻も早く装備が仕上がるのが待ち遠しい。
帝都に来て一番の後悔は皇帝陛下に謁見など平民に似合わないイベントに参加したことだ。
とっとと帝都から出て行かないと益々ダークサイドに落ちて行き、黒い鎧でシュコー、シュコーと言いながら息子と斬り合う未来に進みそうだ…
そんなある日、館に帰ると部屋の中に
『明日には装備が出来るぞ』
とタッグさんからのメモが有った。
『やったー!もう、帝都に用は無くなったぞ!!』
と、久しぶりに心からの笑顔になり、
〈少し安心したでやんす…〉
とガタ郎が呟いていた。
…心配させていたようだ…反省…
ー 翌日 ー
なんか気色の悪いくらい笑顔のガイナッツの王様達が見守る中で装備の御披露目が始まった。
タッグさんが、
「ウォッホン。
まずは私の作品から、ミスリルとサンダードラゴンの爪を使った片刃の剣
〈耐久力〉と、〈切れ味〉に、〈修繕〉スキルと、固有スキル〈飛爪〉、それと固有魔法〈サンダー〉に、気合いを入れて作ったので追加で〈武器速度上昇〉も付与された逸品…〈雷鳴剣〉と名付けました」
と紹介すると、
「わー」っと拍手と歓声が起こった…
『何か王様が必死だ…』
続いてビューティーさんが、
「私は、ミスリルと宝珠を使い、腕輪を2つ作りました。
1つは、ミスリルと宝珠の〈魔力の腕輪〉で、
3つの宝珠は魔力タンクとして使えて、しかも、〈魔力上昇〉と〈魔法防御力上昇〉が付いています。
もう1つは、ミスリルの〈守りの腕輪〉です。
魔力を流せば約3分〈防御力上昇の加護〉が発動し、クールタイム30分です。
その他、〈即死無効〉と〈状態異常軽減〉の高性能な腕輪です」
と、発表するとまた拍手が起こるが、もう、ガヤは無視でいく…
『しかし、全部想像以上だ…すばらしい』
と俺が感心していると最後にペアさんが、
「アタシも付与をがんばりました。
魔鉱鉄の鎧シリーズには、全て〈耐久力〉と〈防御力上昇〉が付与してあります。
魔鉱鉄の盾には夫にミスリルコートを施してもらい、〈重さ軽減〉と〈耐久力〉〈防御力上昇〉に〈衝撃軽減〉が付与してあります。
そして、
魔鉱鉄のスコップとツルハシには〈作業効率上昇〉と〈耐久力〉を付与して、
魔鉱鉄の斧には〈耐久力〉と固有スキル〈大木斬〉という草や木の魔物に大ダメージを与えるスキルと
魔鉱鉄の槍には〈耐久力〉と〈貫通力上昇〉が付与されています。
ポルタ君、これで冒険に、打ち込んで…失恋を忘れて下さい…」
と、涙ながらに抱きしめてくれた。
何故かゴング爺さん達も、
「ワシらの知らない間に…辛かったろう…」
と、俺を慰める…王様もうん、うんと頷き、
「よーし、今夜はパーティーにしよう!」
と…
『なんで、俺が、フラレた事になってんだよぉぉぉぉぉぉ!!!』
そして皆の目が可哀想な子を見る目だよ…
もう、穴が有ったら入りたい…なんなら、今この場でピットホールの魔法で穴を空けて入りたいよ…
…最悪だ…
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