第53話 冒険者に戻れた
帝都のすぐ近くの川の側に来ている。
「わーい、新装備がすっごぉぉぉい!」
と、ご機嫌な俺、
「ふふふっ、あははっ…」
と、笑いが込み上げる。
〈旦那様が、ぶっ壊れたでやんす〉
とガタ郎が心配しているが、俺は至って普通である、
「ふりぃぃぃぃだぁぁぁぁむ!」
と、心からの喜びの叫びを上げる。
〈王様、獲物が逃げますわよ…〉
とミヤ子まで心配しているが、もう一度言う、俺は普通である…普通のCランク冒険者に戻れたのだ。
『バンザァァァァイ!』
と喜びを爆発させる俺にクマ五郎が、
〈王さまぁ~、ジャイアントフロッグ捕まえたよぉ~。〉
と、でっかい蛙を四本の腕でがっちりホールドしてトテトテ歩いてくる。
「でかしたよ、クマ五郎」
と、クマ五郎を労い、俺はアイテムボックスから魔鉱鉄の槍を取り出して、クマ五郎が地面に押さえ込む蛙の脳天をザクっと刺すと、一撃で倒す事が出来た。
『うん、魔鉱鉄の槍の貫通力も上がってる…』
と、全ての武器を使ってみたが問題なしだった。
昨日の新装備発表会のあとで、
「次は良いこと有るから…元気だして…」
とタッグさん親子から渡された幸運のミスリルペンダント運気上昇(中) という週刊誌の通販コーナーの商品の様な名前のアイテムだが、
あちらと違い、ペアさんの付与で効果が保証されたアイテムで俺の装備の全てが揃ったのだ。
現在は肩慣らしの、ジャイアントフロッグという大型の蛙十匹の討伐依頼をこなしている。
何故か、ガタ郎とミヤ子は少し離れて見学しているが、クマ五郎は元気に狩の手伝いをしてくれている。
『あれかな?純粋な虫魔物さんはぁ~蛙ぅ嫌いなのかなぁ~?
嫌だよね、キライな奴に近づくの…解るよ。
俺も虫と皇帝陛下は苦手だから…』
と思いながら蛙を遠巻きに見ている樹液~ズの二匹を眺めていた。
もう、装備も出来たから一旦クレストの街に戻り山を購入して、マリー達と合流して本拠地の整備を初めても良いのだが、
「もう帝都から離れる」
と言ったら、ガイナッツの王様に、
「ゴング達の技術指導があと二週間で終わるから、せめて最終日のパーティーには出てからでも良いではないか…」
と言われて渋々了解したが、街に居たくないので、簡単な依頼を受けて街の外に出ているだ。
ついでに、ちょっとでもお金を貯めて山を買う!
俺の拠点とミヤ子やクマ五郎の住み処を作り、皆を〈従魔召喚〉で出し入れできる様にするのだ!!
簡単な依頼で、試し切りのつもりで受けた依頼だが、装備の性能とスキルの効果が以前とは桁違いで驚いている。
これならば、少し難易度がある〈Cクラス〉推奨クエストにチャレンジしても良いかも知れない…
蛙をアイテムボックスにしまい、クマ五郎の引く荷馬車に揺られて冒険者ギルドに向かうのだが、
『本当に快適だ…』
と、装備が良くなって移動もクマ五郎の荷馬車で楽チンである。
ギルドで蛙の討伐報告と、買い取り依頼を出して小金貨二枚の報酬を得る。
クエストボードで次の依頼を探していると、
『銀鉱山に出たゴーレムの討伐』
という依頼が有った。
図書館で調べて、記録スキルで手に入れた知識に検索スキルをかけると、
鉱山の場所も片道三日と、時間を潰すにはもってこいだし、報酬も中々でゴーレムならば、魔鉱鉄のツルハシや新たに取得した水魔法の〈アクアショット〉が効くと解った。
「ヨシ!これにしよう」
と決めて、カウンターで依頼を受ける。
そして俺達は帝都の西に移動すること約三日…山岳地帯の銀鉱山に着いた。
鉱山の現場監督に、敵の位置を聞くと鉱山の最深部の採掘現場で、たまたまゴーレム1体を掘り起こしてしまったらしい。
働いていた人間は退避済みだが、鉱山のが稼働しないと、大きな損益になるらしいのでなるべく早い討伐をよろしくお願いしたいと言われた。
まぁ、現場までは坑道に灯りも配置されているので、見張らしは良いし迷う事も少ないそうだ。
現場監督が鉱山の坑道図も見せてくれて、記録スキルで道順も覚えることが出来たので、道の心配は完全に無くなり、早速俺はお供を連れて鉱山に入っていく。
メイン坑道に沿って進み、片道二時間の緩やかな下り坂を歩き俺達は坑道の最深部に到着した…
そう、到着したのだが、話が違う…ゴーレムが複数居るのだ。
二メートル程の奴が3体と、少し大きめの奴が1体がたたずんでいる。
頭の中でゴーレムの資料を探すと、
近づくと活動を開始して、敵を排除するか破壊される迄活動を続ける鉱物魔物であり、
魔石かゴーレムコアの破壊、またはアイテムボックスや、マジックバッグに魔石かゴーレムコアの又はその両方の収納にて活動が停止する。
ちなみにコアと魔石を不用意に近づけると周りの鉱物を取り込み動き出す事があるらしい。
倒せば魔石とゴーレムコアや希に鉱物資源も手に入ると記録スキルの情報が確認できた。
便利だな脳内ウィキは…でも、参った…数が多すぎるよ…一体と聞いていたのに、計4体…
勝てるかな?…コレ…
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