第140話 結婚式のパーティーで
俺は今ヨルドの街の教会で皆に祝福されながら、無事にシシリーとの結婚式を挙げている。
しかし、新郎が魔力タンクの宝珠装備を複数と、マジックポーションをがぶ飲みして、拠点の仲間やお客様を連れて来るって…
まぁ、馬車での移動に1ヶ月くらいかかるし、生き物の世話とか有る人もあるから仕方ないけど…
そして、式が終わりむしろ皆様の本当のお待ちかね…結婚披露パーティーが始まる。
館にて立食パーティーと、街の広場では炊き出しと振る舞い酒に屋台が建ち並び、ヨルドの街はどこもかしこもお祭り騒ぎである。
解らないのは…現在ただの伯爵なのに各国の王様や要人達がこのパーティーにもれなく参加しているのかだが…サントスさん?…何が、
「招待状を出したという事実が大事なんです。全員は来ませんので…」
だよ、確かにフェルド国王は勿論、アルトワ国王やガイナッツ国王も呼ぶからと他の国の王様にも招待状は出したけど…
皇帝陛下が俺の横で、
「ぷぷっ!見てみろポルタよ、奴らヨーグモスの一派だった国の連中だ、そなたに睨まれるのを恐れて南の果てからやってきたのだな…
ポルタよ、挨拶してやれ一人一人丁寧に顔を見ながらな…」
と、ご機嫌だ…
試しに挨拶をしてまわったが全員変な汗をかきながら祝いの言葉を述べている。
グループの最後の一人などは、
以前の会議の席でヨーグモス王と並んで、何やら魔族の事をかなりきつく罵倒していた国の王様だったのだが、
「命ばかりはご容赦を…」
と小柄な体を更に小さく小さくして謝りだした。
『マジで止めて欲しい…お祝いムードが一瞬凍り付いたよ…』
と呆れてしまう。
『ムカついたからヨーグモスを滅ぼしたとでも思っているのだろうか?…失礼な…』
周りの他の国王も、国王で、
「ヨーグモス王の腰巾着のそなたのせいで!」
とか追撃をかけ始める…
『いい加減怒るよ?!』
と、俺はイライラしはじめるが、そこをグッと堪えて、
「皆様その辺りで…本日は、私の門出の祝いの席ですので、この顔に免じて一旦宴を楽しんで下さいませ」
と微笑むと、
「私は、許されたのですか?…神よ感謝いたします」
と小柄な王様は膝をつき俺に祈りを捧げだした…
『だから止めろよ…俺が苛めてるみたいじゃねーか?!』
と、コイツは更に俺をイライラさせる…それに遠巻きに何だかヒソヒソされている気がして、俺は気まずくなりその場を退散したのだが皇帝陛下が、まぁ、ご機嫌で、
「プークスクスクスっ。
命乞いに感謝の祈り…よほどポルタが怖かったのであろうな…」
と…俺は、少しイラッとして、
「皇帝陛下、今後は皇帝陛下がキッチリ先頭に立って魔族と人間、それに人間同士も仲良くするようにしてくださいよ…怠けたり、放置していたら…」
と言いかけると、サッと青い顔になった皇帝陛下が、
「わかった、わかった!
ポルタよ…あれ以来、自分の影にも居るのでは?と、余要らぬ想像が頭を過る…
そなたの不興は余も買いたく無いのでのぅ…」
と言ったあと陛下は
「イルよ、ポルタが苛める…」
とカーベイル様のもとへ逃げて行った…
アレで十五の国を纏め上げる帝国の長なのだから参ってしまう。
各国の王様に挨拶まわりをしていると、アルトワ国王の所で、ロックウェル伯爵様夫婦と現在はアルトワ王国の他の街のダンジョンショップの店長に昇進したニールさんも俺の結婚に駆けつけてくれていた。
ニールさんは、
「ポルタさん…いや、ポルタ伯爵様、この度は誠におめでとうございます」
と祝いの言葉をくれたので、俺は、
「止めて下さい、ニールさんのおかげで俺は冒険者として何とかなったんだから…今まで通り、ポルタとして付き合って下さいよぉ」
とお願いすると、ニコリと笑ったニールさんが、
「新婚さんにオススメの逸品をお持ちしましたよぉ~!」
と始めた。
『なんだか懐かしいな…』
と感じつつ、俺はこの茶番劇に参加する事にした。
「えぇ~、なんですかぁ~?」
と俺が聞くと、ニール店長は、
「若いのに…まだまだ若いはず…
なのに、日頃の激務で元気が出ない夜…有りすよねぇ…」
と、語りはじめる。
『おいおいマジか…ナイトグッズとか止めてくれよ…』
と願う俺だが、
『乗り掛かった船は降りれない』
と変な信念で俺は、
「そうなんですよねぇ~」
と、困った顔をしてみる。
するとニールさんがマジックバッグから箱に入った指輪をとりだして、
「そこで、アルトワ王国にありますイルデダンジョンの下層にて手に入る精力の指輪です。
本人が魔力を流せばあら不思議…」
と、怪しげな商品の説明を始めた。
『って、やっばり際どい商品じゃねぇ~かよ!』
と呆れる俺だったが、しかし、来ていた各国の要人の方々男女問わずにバカ売れだった…
『なんだかなぁ…』
と思いながらも、会場の多くの購入者を眺めていたら、お妃様達と指輪を片手にキャッキャと話している皇帝陛下御一行がいた…
『おい皇帝陛下…陛下は要らんだろ!?』
と思って見ていたら、
「ポルタの子が生まれたら、何がなんでも婚姻を結ぶぞぉ~!…そのために…」
と…円陣を組み「ファイ、おー!」している皇帝一家に呆れながらも、会場をよくみると他の国王達も指輪を片手に俺を見つめている…
『婚姻狙いか!!』
怖い…しかし、予定も何もない未だ見ぬ俺の子よ…この世界は厳しいが嫌がらず生まれて来て欲しい!
君を狙っている〈嫁・婿〉ハンターが居るが、パパが守ってやるからね…
と、未来に生まれ来るであろう子供の将来が少し不安になる俺だったのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます