第24話 強制参加のレイドバトル


強制的に冒険者複数参加のゴブリン掃討作戦に参加させられた俺は現在、荷馬車に詰め込まれてまるで出荷される気分だ…

出荷先がゴブリン王国となると尚更嫌になってしまう。


まぁ、夢の狩人の皆さんとも一緒なのが俺としては唯一の救いなぐらいで、沢山のオッサンを満載した荷馬車に揺られてながら昨夜からゴブリン村を探してくれている偵察組とやらの冒険者チームと合流する為にクレストの街の北の山伝いを馬車で移動中なのだ。


そんなオッサン出荷用の馬車の中で夢の狩人のメンバーに、


「ポルタ、水くさいぞ!Cランクに上がったんなら言えや!!」


と言われながら、俺は背中をバシバシされている。


俺が、


「いやいや、俺はまだDランクのままですよ。

どこぞのマントおやじに無理やり参加させられました」


と話すと、


「へっ、ギルマスにか?」


と驚かれたが、俺が流れでゴブリンジェネラルのいる集落を潰したことを話したら、夢の狩人のメンバー達に、


「なら、仕方ねぇな…」


と納得されてしまった。


夢の狩人のリーダーさんに、


「そんなノリにノッてるポルタが、キングを倒しちまうんじゃねぇか?…」


などと冷やかされたので俺は、


「嫌ですよ…臭いゴブリンの巣穴に入るのは…

弱っちい俺は、外で溢れた雑魚を弓でプチプチ倒すために弓矢を沢山買って来ましたので…」


と断固拒否したのだった…のだったが…


『何故だ!』


いざ現場に着いたら出入り口が複数あるゴブリンひしめく廃鉱山の一番遠くの出入り口からのアタックチームに配備されていた。


あの糞ダサマント糞おじさん糞ギルマスに断固抗議したが、


「ソロでジェネラルを倒せる奴は最前線に決まっている…サブのサブぐらいの坑道で多分ゴブリンの数も少ないから我慢しろ」


と言われたのだった。


『理不尽だ!』


まぁ確かに、メイン坑道は双方が戦争するくらいの人数が居る…あの組にならなくて良かっとは思う…とは思うのだが、サブ坑道も見えてるゴブリンの数だけでも相当数いるし、サブのサブなら…まぁ…


『いやいや、後方支援が良かったよ!

一瞬大丈夫かな?って思った自分が恥ずかしい!!』


とまぁ、渋々ではあるが魔法使いのオッサンの率いる魔法主体パーティーと、斧使いの髭面のオッサンのゴリゴリ肉弾戦パーティーと一緒に空気穴程度に掘られた非常口の様なサブのサブ程度の通路に突入する事にした。


隊列としては前衛は斧使いパーティーが固め、後衛は魔法使いパーティーで間に挟まれた俺は索敵スキルを使って偵察要員である。


正直メインの坑道の方はもう戦闘が始まっているが、俺の索敵には100メートル先に敵の反応があるがその反応も10程度である。


余りの数の少なさにちょっぴり悪い気がする。


皆に、


「100メートル程先に敵の反応10程度です。」


と報告すると、


〈旦那様、ちょいと見てきやしょうか?〉


と影の中のガタ郎が提案してくれたので、


皆に、


「従魔を偵察に行かせます。」


というと、


魔法使いパーティーのリーダーが、


「えっ、少年はテイマーだったのですか?

魔物は見当たりませんが?」


と質問されたので俺が、


「ここに居ますよ、じゃあ偵察お願い」


と指示をだすと、ガタ郎が影からチャポンと現れて坑道の奥を目指して移動していく。


斧使いのパーティーが、


「おい、影アギトだよな…あれ…恐ろしいもん、テイムしてるんだな…」


と怖がられた。


俺は、


「ガタ郎は樹液大好きな良い子なのでご心配無く」


と言っておいた。


すぐにガタ郎がカサカサと帰って、そして俺の足元の影にチャプンと潜る。


『何で影を渡って帰って来なかったの?』


と心の中で聞くと、


〈旦那様の後ろの魔法使いの杖の明かりのせいでやんすよ…〉


と愚痴った後でガタ郎は、


〈それより旦那様、ヤバいでやんすよ…この先は大当たりで大はずれでやんす〉


と報告してくれた。


『はて?大当たりで、大はずれ?』


と首を傾げる俺は、詳細を聞きたい様な聞きたくない様な複雑な気持ちで、ガタ郎さんに恐る恐る報告をお願いすると、

どうやらこの穴の出口はこの鉱山の奥の広場の上部に繋がっており、そこではデカいゴブリンが、


「女どもを端に固めろ、」


とか、指示を出していたらしい…


『いや…喋ったら、もう、それはキングなのよ…』


と、真実を聞いた俺が頭を抱えてため息をつくと、周りの冒険者たちが、『何事か?』と聞いて来たので、俺は、


「相棒が偵察した結果、この先は鉱山の大空間の上部に繋がっていて、広場に喋るゴブリンが、女どもを端に固めろと指示を出していたそうです…」


と正直に伝えると、周りの冒険者も頭を抱えてた。


「じゃあ、何かい?この先は敵陣の本部で、苗床にされた女性とゴブリンキングが、側近といると…」


と、斧使いの冒険者がボヤく…そして、暫く考えた後に彼は、


「よう、この先はキングのいる部屋の上部…つまり、キングの頭上を取れるんだな?!」


と聞く、影の中からガタ郎が俺に、


〈ギルド宿の旦那様の部屋くらいの高さでやんす。〉


と、追加で報告してくれた。


俺が、


「ギルド宿の二階くらいの高さの位置に出るらしいです」


と伝えると肉弾戦チームは、


「飛び降りれない高さではないな…」


と言い出し魔法チームは、


「高さのアドバンテージは大きいな…」


と言っている。


『嫌だよう…皆がヤル気だよう…

えっ、キングとやるの?側近も多分上位種だよ…止めとかない…って言っても無理だよね…』


と俺は一人で諦めにも似た決心をしたのだった。

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