第59話 クレストの街でお仕事再開


冒険者ギルド経営の宿をまた仮拠点にして依頼こなそうとクエストボードを確認する。


従魔はすべて牧場予定地周辺で自由行動をしてもらっている。


一つ残念なのは芋虫君がサナギになって荷馬車にくっついているので、アイテムボックスにしまえなくなり、おかげでクマ五郎を召喚したとて馬車が無い状態だ。


現在は馬車は、果樹園の端に停めておいて、芋虫君の羽化待ちと、クマ五郎たちの小屋として使っている。


ミヤ子先生の見立てではあと二週間程度で羽化するらしいので遠出するのは羽化後になる。


「近場で何かないかなぁ~」


とクエストボードを眺めていると、


「ポルタ、早いお帰りだったな。

クレストの街が恋しく成って戻ってきたのか?」


と、夢の狩人の皆さんに声をかけられた。


俺は、


「えへへ、一発当ててお金が入ったから土地を買って拠点を作っています。」


と言ったらリーダーが、


「装備も立派になってるし、腰の剣はミスリルか?どんだけ稼いだんだよ、ポルタ…」


と驚いていた。


俺が、


「皇帝陛下にも謁見したし、皇帝陛下専用の馬車の木材は俺が倒したトレントが使われてるよ。」


と、自慢すると。


リーダーが、


「そりゃ、大仕事をこなしたんだな…で、ポルタはどれくらい強くなったんだ?」


と、聞く…


「ん?どれくらい…とは?」


と俺が首を傾げると、


リーダーは、


「レベルだけど?」


と、改めて聞かれた。


そして、俺は気がついた。


「お金が勿体ないから、教会で鑑定してもらったことないや…」


と呟くと、


「ミスリルの武器を持ってる奴の台詞かよ?!」


と、メンバー全員にツッコまれた。


『確か小銀貨五枚だったな…一度鑑定してもらおう…』


と、初めてやってきたクレストの街の教会で、お布施という名の鑑定料を払い祭壇の水晶に手をかざすと、水晶の下に設置してある羊用紙にレベルやスキルなどが転写される。


『なんか、難しそうな魔道具だな…』


と感心していると神父さんが、


「汝の次のレベル迄に必要な経験値は…」


と、装置を眺めながら読み上げている。


『あっ、そんなの解るのね』


と、感心していると、


神父さんが、


「ん?あれ??」


と戸惑いだした。


俺は心配になり、


「どうしました?」


と聞くと神父さんは、


「いやね、なんかジワジワと微妙に経験値が加算されているので…ホントに1とか2づつ増えて…」


と困惑している。


俺が、


「従魔が自由行動中ですから何か倒したかもしれません」


と答えると。


「あっ、なるほど」と納得した後に、


神父さんは、


「あと、3026…3000ぐらいでレベル36になります。」


と、言って、


「スキル表のお渡しをして…はい、以上です。」


と威厳も何もない有難い鑑定が終了した。



ギルドに戻り、


渡された羊用紙を、宿でゆっくりと確認をする。


『ポルタ 14歳 (男) レベル35


スキル


〈インセクトテイマー 〉★★☆☆☆

〈虫の王 〉★★★☆☆

〈アイテムボックス〉 ★★☆☆☆


〈フィジカル 〉ー

身体強化

頑強

豪腕

スタミナ


〈平常心〉ー

〈ブレイブハート〉ー

〈ターゲット〉★★☆☆☆

〈索敵 〉 ★★★☆☆

〈鉱物資源感知〉★★☆☆☆

〈跳躍〉ー

〈高速移動〉ー

〈隠密〉★★☆☆☆

〈忍び足〉 ★★☆☆☆

〈気配消し〉 ★★☆☆☆

〈不意打ち〉ー

〈並列思考〉ー

〈従魔召喚〉ー

〈記録〉ー

〈検索〉ー


〈初級魔法〉

エアカッター

アクアショット


〈中級魔法〉

フレアランス

ピットホール


〈生活魔法〉

クリーン

着火

水生成

ライト 』


と、描いてあった。


…俺…14歳なんだ…


まぁ、孤児だから正確な誕生日も解らないのは仕方ないけど…孤児院の爺さんかなり適当な性格だったからな…


それと、レベル35…


一般的なCランク冒険者のレベルが、よく分からないが、装備とスキル頼りでレベルが低い気がする…


Aランク冒険者はレベル100超えがゴロゴロらしいからな…先は長い…


それに、このスキルの名前の隣の☆印はレベルかな?


★印がスキルレベルで、最大5だけど…育ち易いスキルや、時間がかかるスキルやら色々あるらしいが、


虫の王のスキルがレベル3なのが納得いかない…


…あれか、初級ダンジョンの玉の効果で虫の王が、レベル2からの本格的冒険者人生だったからか?


アイテムボックスはレベルが上がれば収納量がふえる、レベルマックスなら無限収納らしいが、スキルレベルマックスは使用者のレベルが一定以上無いと幾ら使い込んでもスキルレベル4で止まるらしい。


尚更先の長い話だ…


…で、虫の王のスキルレベルが上がると何が出来るんだ?


と、俺は帝都の図書館でスキル関係の本を目に焼き付ける作業に夢中で、全く読んでなかったので、改めて検索と記録のスキルで虫の王のスキルの記述を思い出す。


『虫の王 レジェンド級スキル』


…嘘だろ!?

いらない所で、いらない運を使いきりやがって!!

聞いたこともないよ、レジェンド級スキルなんて…


何々?


『レベル1、虫から好かれて、虫の気持ちを感じる事ができる。


レベル2、虫に愛され、虫と会話ができる。


レベル3、虫に尊敬され、テイム無しである一定の指示が出せる。


レベル4、レベルが格上の虫からも慕われ、ある程度の命令が出せる。


レベルマックス、望めば全ての虫を使役できる』


…凄い…のか…?


レベル3だからテイムなしでカサカサ祭りまでは可能で、非正規従魔が言うこと聞いてくれるのも虫の王レベル3のおかげだな。


テイマースキルはレベル毎に従魔の枠が5ずつ増えるから、現在俺の正規の従魔枠は10となる。


〈インセクトテイマー〉と〈虫の王〉のスキルが、科学反応を起こして、従魔の進化を促すのは帝都の図書館にも無い新事実みたいだな…


はぁー、虫関係がレジェンドスキルとは…

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