第85話 拠点の開発と妹の登録
拠点で、商会の全体会議を開く事にして、
〈拠点の区画整理〉と〈拠点の新施設案〉とを話し合う。
職員は勿論、蜂蜜生産チームの〈マリー〉と、
工事担当の〈アンリ〉も含めて色々決めた。
まず、道を舗装して母屋までの道の左側はパーシーさんの家が有るので、そのまま居住区画として整備し、その道の右側には蜂蜜工房と事務所があるので右手奥の山の敷地迄を職人町にする予定にした。
その職人町に沿って山の温泉までの道を整備して山道の右手には段々畑の様にして、花畑、栗畑、花畑、葡萄畑といった具合に蜂蜜用の花畑と果物や木の実の畑を交代で植えて日当たりが少しでも良くなる様にする計画で花や木の管理もアンリ達のチームにお願いする事にする。
山道左側は下の一帯は花畑として、上の温泉までの林の一帯はそのままの状態にして、ハニーとマリーの居住地にしてもらい、蜂蜜の生産と山の野良魔物への警戒や討伐を頼むことになった。
母屋の有る丘の左手奥までは今まで通り牧場区画としてライラさんにおまかせして、右手奥までを新たに整理して、手前を家庭菜園として、中程に鳥小屋と、奥を柵で囲み小さめの厩舎を作り従魔の広場としてワイバーンやクマ五郎とクマ美達の住み処にする事にした。
これで、我が家の従魔達がくつろぐ家と庭が完成してワイバーン達も飛ぶ練習が出来様になるだろう。
母屋の奥側の広い森は、基本的にはそのままで、薪や建材用に残して、非正規組の住み処兼ガタ郎達樹液ーズの食堂とする。
将来的には拠点の左手の草原も買って農地にするのが目標だ。
道の舗装などの工事の監督は留守がちになる俺では無くてノーラさんに任せた。
暫くワイバーンの世話をメインしたアゼルとメリザにアンリ達が木材用に引っこ抜いた木を取得したアイテムボックススキルを使い移動させて建材として乾かす様に一ヶ所にまとめておいて貰うアルバイトをお願いし、あとは、大工さんに温泉小屋や厩舎を建てて貰うだけだが将来的には木工職人を商会に招きたい…
まぁ、今はすぐに温泉を仕上げたいので、ポプラさんに大工の親方との交渉をお任せした。
段々畑の様にした湯船は一番上は熱々なので、左右に三段ずつの湯船を作り、徐々に冷ます方式をとった。
源泉から左右の一段目にお湯を流して、二段目、三段目辺りでようやく入りごろになる湯船は現在、野ざらしのままで、脱衣場すらない…多少お金が掛かっても早く整備したい…
アンリ達も大工の皆さんが温泉まで行ける様に、急ピッチで山道を舗装してくれているので予定外では冬場も寒くなく温泉に浸かれる様になるだろう。
あと俺の方は、冬までに妹のシェラを鍛えて、春に鳥小屋が出来た頃にはクイーン卵鳥をテイム出来るようにするのが目標とした。
シェラに、
「明日から暫く冒険者をして貰い、目標はクイーン卵鳥のテイムだけど頑張れるかい?」
と聞くとシェラは、
「ポルタ兄ぃ、私頑張る!」
とやる気十分に答えてくれた。
ー 翌日 ー
メリザのお下がりの装備を身に纏ったシェラと召喚したクマ五郎のキャンピング馬車でクレストの街を目指す。
クマ五郎を拠点に返す為に最初に召喚しないと駄目なのが一手間だが、コレをしないと行く先々でクマ五郎の厩舎代金がかかってしまう。
クレストの冒険者ギルドでシェラの登録をして、窓口の職員さんに、
「スライムとかの初心者向けの魔物はどこら辺がお薦めですか?」
と聞くと三ヶ所ほど初心者向けの狩り場を教えてもらったのだが、どこかで話を聞いていたのかギルドマスターのダサいマントおやじのエイムズさんが、
「ドラゴン狩りがスライムかよ!」
と冷やかしてきた。
俺が、
「妹がテイマーのスキルを授かったので、少し鍛えようと思いまして…」
と答えると、
エイムズさんは首を傾げながら、
「ポルタの妹ってあの無鉄砲そうな弓使いじゃないのか?」
と、聞いてくる。
〈メリザは周囲から無鉄砲と思われてるのか…当たってるかも…〉
と考えていると妹は、
「シェラと申します。ポルタ兄さんをはじめアゼル兄さんとメリザ姉さんもお世話になっております」
と、挨拶をする。
エイムズさんは驚きながら、
「本当にお前の妹かい?えらいシッカリしてるけど…」
と聞くので俺が、
「血は一滴も繋がってませんが…俺達孤児なので」
と答えるとエイムズさんは、
「弓使いの妹とは血を分けた兄妹みたいに、見えたけどな…」
と、しみじみ考えているが急にシェラの方を向いてエイムズさんが、
「シェラちゃんだな。
兄貴のハチャメチャに付き合わされて困ったら俺に相談しろよ」
と言っていた。
『何で俺がハチャメチャなのか?こんなに堅実で慎重だろうが!!』
と、なんだか釈然としない気分のまま初心者向けの狩り場に向かった。
本当にあのダサマントったら失礼な…
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