第146話 色々なお祝いパーティー
三人同時プロポーズから半年後の春、
列車のヨルドから新しい街迄の一部分区間の試験的な運行に合わせて結婚式と披露宴を行った。
ただ、俺の三股感を薄める為に、
ヘンリーさん・ライラさんペアと、
ノーラさん・コルトさんペアと、
ついでに、
アゼルと女性ワイバーン騎士メルさんペア…
『知らなかった…アゼルの彼女が一緒にワイバーン狩りに行ったメルさんだったとは…』
と驚いた事もあったが、ヨーグモス戦の時に確かにアゼルと一緒にワイバーン騎士団として行動してたし…と納得の方が大きかった。
とまぁ、合同結婚式にすれば目が散るだろうと考えて挙げた式ではあるが…
一対一の中に一対三が混じり、
余計に、俺の3股感を粒立てた感じになってしまった。
『…悲しい…』
披露宴では、皇帝陛下が、
「ポルタよ、子供はまだか?
余の所はもう、二人生まれたぞ。
しかも王子と姫だ…ポルタよ、どちらでも準備万端だぞ早くせぬか?!」
と…ご機嫌に話す。
俺は、
「陛下からの命で、国を立て直す為に色々としておりますのでなかなか…」
と、遠回しに文句を言ったのだが皇帝陛下は、
「何を、子供などは毎日三分ほど致せばすぐだろう?」
と…
『どうやら皇帝陛下の夜はウルトラマンの様だ…
他所で言わないほうが良いですよ…陛下…』
と、俺は心配するが、カッカッカと笑っている皇帝陛下に
「夜の所要時間、早くね?」
と、ツッコめる訳もなく愛想笑いをするのがやっとだった…
しかし、もう既に我が子包囲網が…と怯える俺だった。
そんなパーティーの翌日、ヨルドのミニ鉄道の隣に新しく出来た駅に、でっかいクマの形をしたゴーレム機関車が停車している。
『やっぱりクマにしたんだ…』
と、デカい熊型の先頭車両を眺める俺…
そして、これから乗客を乗せての初の試験運行となるのだが、車掌にはなんと、我が拠点のマスコットである喋るクマのゴロリ君が、
「皆様、ほんじつ車掌を勤めますゴロリなんだなぁ…」
と、注意事項などの説明をしている…
ゴロリ君は喋り方こそクマ五郎譲りでポワポワしているがクマ美に似て好奇心旺盛のしっかり者で、しかも、ウチの兄弟達とお勉強していたから読み書き計算もドンとこいなインテリクマさんだ。
今も、
「切符を拝見するんだなぁ」
と、車掌さんをしている。
皇帝陛下をはじめ各国の王様を乗せた列車は、ゴロゴロと音をたてながら、まだ名前の無い街に向かう…
馬車なら2日ほど掛かるがノンストップで馬車より早い列車は約半日で到着し乗客を驚かせた。
既に新しい街も完成間近になっており、本日は此方で1泊して翌朝にヨルドに帰る予定だ。
既に完成している迎賓館のパーティー会場で、皇帝陛下から新たな街の名前のが発表されるのだが、実は俺にも知らされて無いのでドキドキしている。
到着してから皆に街を案内していたのだが、皇帝陛下はギリギリまで「うーん?」と名前を考えていた様子だった…
そして、パーティーの時間となり、皇帝陛下はグラスを片手に壇上に立ってパーティー会場を見回した後に、
「ここにいる全員が、この街を見て驚いていると思う…余も、何から驚けば良いか解らぬ程だ。
この街の…いや、この旧ヨーグモス王国の新しい王になるポルタに街の名前を頼まれておるが、頭を捻るが、特徴が有りすぎて絞れぬ…
教育に力を入れるエリアに産業に力を入れるエリア…知恵の神や、技術の神、どちらかにあやかる名前では双方の神に角がたつ…
そこで、ポルタの信仰する女神の一人の名前にあやかり街の名前をつける事にした。
ついでに旧ヨーグモスのままでは格好がつかないので、国名も贈らせてもらう。」
と言うと会場がワァーっとわき立つ…皇帝陛下はグラスを掲げ、
「国の名は〈ファミリア〉都の名前は〈バアル〉だ!新たな国と新たな都に幸有れ!!」
と告げた。
「幸有れ!」
との乾杯の合図で始まったパーティーで、良い名前がつけれた!とご満悦な皇帝陛下は、
「ポルタよ、これであと3つは街を作らないと角が立つのぅ」
と、笑っている…
『やられた…また何か企んでる…!?』
と思うが、しかし、俺は、
「あー、それは困りました…折角結婚できたのに
子供がまた遠退くかも…」
と、いうと、皇帝陛下は
「それは、いかん!先ずは世継だ。
街は後で良いから、早く世継を作ってくれ…ただし、帝都まで列車は繋げてくれ!」
と欲張りな事を言っている。
そんな会話をしていると、カーベイル国王が、
「ポルタ君…いや、ファミリア国王ポルタ殿、この度は、結婚式に列車の完成に街の名付け…
誠におめでとうございます。
祝い事は別々にして、何度もパーティーを開いてくれてもポルタ殿のパーティーならば飽きる事が無いのに、こんなにまとめられると少し勿体ない気分になるぞ。」
と笑っていた。
俺が、
「すみません、カーベイル様…いっぺんに三人の嫁と結婚するイメージを薄めたくてギュッっとまとめてしまいました…
それと、ヨルドの街はいつ頃フェルド王国に返還致しましょう?」
と聞くと、カーベイル様は慌てて、
「いやいやポルタ君、ヨルドは君の働きに感謝して譲った土地だよ。
返されたら悲しいよ…もし、どうしても何かしてくれるのならば、列車をフェルドナの街までお願いするよ。
本当は、いつまでもポルタ君と呼べる仲が良いのだけれど…ワガママは言えないからね…これからも隣国としてよろしく。」
と握手を求められ俺は、その手を握りながら、
「カーベイル様は、貴族社会での俺のお父さんですから、いつまでもポルタでお願いしますね。」
と言うと、とても喜んでいた。
皇帝陛下が羨ましそうに見ていたが…
『おめぇは、違う!断じて父親ではない!!』
と断言出来る俺が心の中で吠えていた。
そんな会話をしていると、アルトワ国王がやって来て、
「ポルタ王の商会まで列車を行き来させるならば土地は任せて欲しい。」
と提案してくれた。
他の王国からも「ウチも」「ウチも」と…しばらくはヨルドの街と蟻達は列車特需で大変になりそうだ…
丸投げで…行ける…よね?
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