第142話 列車計画と未来予想
ヨルド帰り、一晩頑張って…って、違うんだからね!
列車どうしようかなぁ~って、頑張って考えたって意味なんだからね!!
べ、別にイチャイチャを一晩中頑張ったって、言っては…
まぁ、この世界に新たなモノが生まれる為に絞り出した結果、
『純粋な蒸気機関じゃなくても良いんじゃない?』
という結論に至った。
つまり、手こぎトロッコを作れば何かしらの魔法や魔道具を駆使して、もっと簡単な物が作れないと以前書いた再現出来そうな知恵のメモをアイテムボックスから引っ張りだして、
新たに記録と検索のスキルを駆使して前世と、帝都の図書館で目に焼き付けた知識を総動員して考え出したのが、
ふと、銀鉱山のゴーレム討伐依頼の時のゴーレム君の事を思い出して、
『ゴーレム機関車だ!』
と閃いた俺だったのだ。
野生のゴーレムより性能やパワーは落ちるが錬金術師がゴーレムコアを使い作り出す人造魔物で、魔石をエネルギーに簡単な作業をこなすというものである。
あとは鉄ヲタ程の知識が有ればよかたのだろうが…
知っているSLの知識をまとめて、書き上げたイメージ図を手に、ゴング爺さんの工房を訪ねると、
ゴング爺さんは朝早くから弟子達と馬車の制作や
装備品の作成に励んでいた。
俺が、
「ゴング爺さん!新しいモノ作って欲しいんだけどぉ~」
と、工房の入り口から声をかけると、トンテンカンと鳴っていた作業の音がピタリ止み、次の瞬間、
「ドドドドッ!」
っと物凄い勢いで、ゴング爺さんと弟子が雪崩の様に玄関に押し寄せてきたのだ。
ゴング爺さんが、
「この時を待っておったぞ!
さぁ、早く、ワシに知識を授けてくれ知恵の神の使徒様!!」
と騒ぐ…
『…そんな呼ばれ方もしてたよね…忘れてた…』
と、少し懐かしむ俺が、
「今度は街と街を結ぶ定期輸送手段というのか…」
と、言いながら紙束をアイテムボックスから取り出していると、爺さんは、
「なんじゃ…馬車の注文かのぅ…」
と、あからさまにテンションを下げるが、ドサリとメモの束をテーブルに広げた瞬間にゴング爺さんも弟子達も目の色を変える。
徐々にテンションが上がる爺さんと弟子に一つ一つ説明をすると
「ほう」・「なるほど」・「まさかぁ…」
等と言いながら話を聞いた後で、ゴング爺さんは弟子を連れて工房の奥に消えて、
「ゴンゴン、カンカン」
と何かを作り始めた。
『なんか、前にもこんなこと有ったな…』
と考えていると、
「こんな感じか?…どれ…えっ!…やだ…嘘…スッゴい!」
と爺さんの色めき立つ声がする。
『何が凄いのやら?…』
そして、暫くゴソゴソしたかと思うと工房の奥から、
「師ぃぃぃ匠ぉぉぉぉぉ!」
と、『どこの東方不敗の弟子だよ!?』みたいな叫び声と共に弟子二人が乗った、馬車の部品を利用した手押しトロッコが走って来た。
レールが無いので、暴走気味のトロッコは入り口を突き破り外へと飛び出していった。
唖然としてトロッコを見送った俺が振り向くとゴング爺さんと残りの弟子が土下座をしており、
「是非とも我らに列車を作らせてください!」
と、お願いしているが…
「まず、弟子の二人を助けに行ってあげて…」
と指示した。
そして、先ほどのトロッコを資料にゴング・マット・ベルトの爺さん職人組と
新たにゴング爺さんに拉致られて来た、錬金術師のコーナー爺さんは
「旨い酒が有るから」
とガイナッツから最近呼び寄せられて酒作りを手伝っていたらしい。
それとアリスを入れたメンバーが列車計画チームとして列車とゴーレム機関と線路をつくる事になる。
まずは少し小さい物をヨルドの街からファミリー牧場までぐるりと巡るアトラクション程度のものから試作して貰う事にした。
ゴング爺さんが、
「時間がかかるかも知れんが任せてくれ」
と、やる気満々で胸をドンと叩いている。
俺は、
「なら、安心だね…よろしく」
と告げて、再びオーツの街へと向かった。
オーツの街に転移して城に移動すると、シルバ副騎士団長がニヤニヤしながら、
「ポルタ様、もっとユックリでも良かったのに…」
と、言ってきて、他の騎士団も、うん、うんと頷く…
『…何だか皆の気遣いが返って…辛い…もう、とっとと終わらせて帰ろう…
帰って、自宅でユックリ暮らす…って…俺の本拠地何処になるんだ?
ヨルド伯爵だが、三年後にはこの土地の領主になる予定だし…こっちが本拠地になるのかな?』
などと、自分の帰る場所が解らなくなってきた俺は、
『…もう、考えるの面倒臭くなってきたから、
王様とか辞退して議員さんに国の運営を任せてしまおうかな…?
でもそれには、学校を作って…って、これは当面ユックリ出来ないパターンだな…
一旦大人しく王様をやって、国を立て直すのが先だな…』
とグルグル考えたあげく、
『…はい、もう、滅茶苦茶凄い国にしてやりますよ!…やればいいんでしょ!!』
という結論へと着地するしかなかったのだった。
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