第74話 拠点の新エリア


恥ずかしい勘違いはあったが無事にライラさんが我が家の一員となた。


設計当初は召喚されていない間は厩舎で寝起きする予定だったガタ郎達は思いの外大きくなった母屋で過ごしたりして居る為に大きな厩舎と放牧地がほぼ未使用だった。


勿体ないと思ってた所に牧場を買って酪農をするのが夢なライラさんとの再会…まさしくナイスタイミングな出会いだと、ライラさんに拠点の牧場エリアをおまかせすることにしたのだ。


牧場には、ミルキーカウという群れで子育てをする牛魔物を近くの農村からオス一頭とメス三頭を購入しライラさんにテイムしてもらい我が家の牧場スペースで飼育してもらう。


普通なら、仔牛が生まれるまでミルクは出ないだろうが彼らは魔物…特殊な性質がある。


群れの誰がが出産したりして子供を見た瞬間に母性が溢れだして、群れの出産可能なメスはもれなくミルクをだして『誰の』ではなく『皆の』子供として仔牛を育てる。


ひどい時には他の種族の子供や人間の子供を見てもその性質が発動する場合があるらしい。


ならばと、ウチの可愛い子供組を見れば一撃だと思って子供達をおっきいのから、ちっさいのまで紹介したが不発に終わってしまった…


ライラさんと、


「最初の仔牛が出来るまではミルクはお預けですね…」


と諦めてガッカリしていたらクマ五郎がセミ千代を抱えて、


〈どうしたんだなぁ?〉


と、落ち込んでしまっている俺を心配してトテトテと歩いてきた。


四本腕の熊に抱き抱えられた熊っぽいセミを見た途端、メスのミルキーカウ達の乳飲み子センサーがセミ千代をロックオンしてメス達からミルクが溢れだす。


『よく解らんが、母性スイッチが入ったんだから仕方ない…でかしたセミ千代!』


という子とがあり、おかげで無事に牧場エリアが始動する事が出来た。


当面、新しい時間停止のマジックバッグが手に入るまでは、母屋の食糧保管用のマジックバッグに絞ったミルクを入れて、週に一回街に売りに行って替わりに食糧を買い込んでくる定期便を出す事になった。


先の事も考えてライラさんに馬魔物も購入しテイムしてもらったのだ。


それはトラベルホースという種類でタフで1日走っても大丈夫な飼いやすい性格の馬らしい。


ライラさんもテイマーのレベルは2らしく、俺と一緒で従魔の枠は10頭、仔牛が生まれる事を想定して枠に余裕を持って、牛4と馬1でのスタートとしてもらうことにした。


子供組もお手伝いするし我が家の収入源が〈蜂蜜〉・〈ミルク〉・〈特許〉・〈冒険〉とだいぶ安定してきた…


蜂蜜とミルク…あと卵と小麦でも生産できれば、お菓子工房もイケるかもしれない…お貴族様のお茶会のお菓子…あそこにはまだ稼げる余地があるはずだ。


まぁ、先の話だが…


しかし、最初の目的で残すは裏山の購入だけだ。


かなり大きな裏山を丸ごと買うには大金貨三百枚近く必要となる。


まぁ、買わなくても占拠すれば良いっちゃ良いのだが、最近牧場周辺の森の虫魔物の密度が濃くなった気がする…ヤバイ…兎に角バラけて住んで頂ける場所を作らなければ…マリーや、ハニー達も張り切ってコロニーを増やしているし…


『まぁ、そちらは蜂蜜の生産量が上がるから良いのだけれど…』


もう、ひたすら頑張るしかないのだ…


なぜなら、森に集まる非正規の虫魔物さんの濃度を薄めるよりも重要な事が…なんと、裏山の山頂付近には、温泉が有るらしい!だから兎に角買いたいのだ!!


金を稼ぐなら、Bランク冒険者になれば、やっと一端の冒険者で副業が無くても大金貨百枚なんてすぐ稼げる様になるらしい…

夢の狩人の皆さんからの情報であるので少し不安ではあるが、確かにあの人達は秋の終わりから春先まで働かずに酒盛りしかしていないが普通以上の生活をしているし…妙な説得力がある。


副業が好調な俺はがBランク冒険者になればほぼ無敵なはず…生まれて初めて尊敬できる母さんに楽をさせてあげたいのだ。


とりあえず、馬とマジックバッグがあれば、街まで買い出しとミルク販売は可能だからアゼルとメリザを連れてバラスダンジョンに潜ろう…

ミスリルが大量に手に入れば、二人の装備を固めれるし、俺の防具をミスリルにランクアップ出来るかも知れない…


二人のCランク昇格はそれらの装備が整ってからでいいだろう。


まずは、旅用のキャンピング馬車の完成まではダンジョンアタックの繰り返だな…

と、その前にダンジョンショップで水魔法を…買えるよね…残金で…


最悪メリザに強めの水魔法があれば二人でゴーレム二体も倒せるだろう…うん、きっと大丈夫だ…と思う…


という事で家の事をノーラ母さんに任せてアゼルとメリザの二人を連れてクレストの街に向かいクマ五郎馬車で出発したのだった。

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