第75話 ゴング爺さんファミリーとの再会


やっと頼んでいた馬車が完成しアゼルとメリザを連れてガイナッツ王国の王都ミルトに来ている。


アゼルとメリザの防具の新調がメインでゴング爺さんの工房に来たはずなのだが…

なんか凄いデカくて立派な加治屋が立っていて、職人さんも沢山いる…ゴング爺さんのおんぼろ工房は吸収合併をされてしまったのだろうか?


試しにソッと中を覗くと…作業中のゴング爺さんと目が合った。


すると爺さんには、


「ポルタぁぁぁ!」


と叫びながら工房の中から走って出て来て、サワサワと俺を触りまくって満足したのか、ピタリと止まり、


「そんなに育ってねぇなぁ!」


と言ってガハハッと笑う。


俺は、


「一年でそんなに変わらないよ…」


と少し呆れながら答えて工房の変り様を聞くとゴング爺さんは、


「おい、ポルタ、お前さんにも同じぐらい特許使用料が入ってるはずだろ?

弟子が増えたから工房だってデカくなるさ」


と言っている。


『確かに土地やら建物やら家族の笑顔の為やらと散々使ったぐらいゴング爺さんにも入ってるもんな…半分こだから…』


と理解した俺は工房に入り、タッグさん達にも挨拶をしてアゼルとメリザを紹介した。


そして、まずこの二人の武器と防具と俺の防具をバージョンアップの依頼をアイテムボックスの中の鉱石を出して頼むと、ゴング爺さんに、


「ポルタ、お前さん騎士団でも作る気か?

こんな量…何十個作る気だ!」


と鉱石の山を見て呆れていた。


その後、タッグさんやペアさんにビューティーさんも集まって会議を行った結果、武器の追加魔物素材やスキルなどはまた後日買うとして、


「防具の追加素材にはドラゴンとは言わないが、ワイバーンかドラグーン…何でも良いからアーマーリザードより格上の奴を調達してこい」


と、ゴング爺さんに言われて、狩りに行くことになったのだ。


そんは話をしている間に、メリザはビューティーさんにコッソリ売らずに持っていた〈ルビー〉や〈サファイア〉などの原石を渡して何かを注文していた。


多分、スキルを付与したアクセサリーをお願いしたのだろう。


出発前にバラスダンジョンで稼いだ分のお金をペアさんに渡して、ガラクタ市場でのスキルの買い付けと、武器用の追加の魔物素材の購入も依頼しする。


それからミルトの冒険者ギルドに行き、いい素材の情報やついでに討伐依頼が無いかをチェックすのだが、三人でボードを眺めて、


「うーん、うーん」


と唸っているとギルマスのクレモンズさんが、


「久しぶりだねポルタ君、何か困ってるのかい?」


と、気にして聞いてくれた。


「あっ、ギルマス、お久しぶりです。

ゴング爺さんの所で防具をお願いしたので俺達の装備に使う皮素材を取りに行きたいんですが何が良いか解らなくて…」


とクレモンズさんに相談する俺に、


「そうだね、う~ん…」


と悩んだあとクレモンズさんは、


「前に教えた竜の釜戸にはこの時期はまだレッドドラゴンが居るし、南の森の奥にはワイバーンの巣があるし、東の高原地帯には地竜がいるけど?」


と教えてくれた。


俺が、


「ギルマス、Cランク冒険者にドラゴンは無理でしょ?」


といったらクレモンズさんは、


「うん、無理っぽいね。

しかし、配下のファイアードラグーンならいけるかもしれないよ」


という…


『だけどあまり、アゼルとメリザに危ない橋は渡らせたくない…

しかし、防御力を担保するには少しでも強い魔物の素材のほうが良いし…』


などと考えていると、


〈多分ワイバーンなら羽チョンパなら出来そうでやんす。

それに、ミヤ子が最近出番が少なくて拗ねているでやんすから殲滅戦に呼んでやって欲しいでやんすよ〉


とガタ郎が影の中から報告してくれた。


空中戦ならクマ五郎とマサヒロのコンビも使えるし、セミ千代やコブンは…何ができるんだ?

蜂蜜担当のマリーとハニーを拠点防衛に残して、一度総動員してもいいかな?


俺が、色々と悩んでいるとアゼルとメリザは、


「どれから行く?」


と、全部行く気でいる…


『コイツら早死にしないか心配だよ…』


俺は、生き急ぎそうな兄妹に、


「はい、とりあえずワイバーン一択です。

CランクはおろかDランク冒険者はドラゴンなんかに関わっちゃ早死にしますので却下です。

ワイバーンでも二人には危ないので従魔を大量投入しますので、良いですね!」


と二人にいうと、


「えー」


っとゴネていたが、


「今の装備では死にに行くだけです。

ノーラ母さん達が泣きますよ!いいんですか!?」


と諭したら了解してくれた。


ヤバイなこの二人…目を離したら何するか解らんぞ…自由行動で冒険させるのは、まだ先だな…

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