第105話 祭り囃子が聴こえる…


会議が終わり何故か皇帝陛下のご指名で、俺はまだ会議室に残っている…


現在部屋に居るのは、


〈皇帝陛下〉

〈アルトワ国王〉

〈ガイナッツ国王〉

〈フェルド国王〉


と俺の五人である。


『…何の集り…?』


と、よく分からないメンバーに俺が首を傾げていると皇帝陛下が、


「ポルタよ、そなたはどうする?」


と聞く…


『なにを、どうするの?』


と、ますます解らない俺は、


「何をです?」


と、考えても解らないので観念して聞くと皇帝陛下は、


「何処の所属となるかだ?」


と、さも当たり前かの様に答える…


俺が、


「所属?」


と聞き返すと皇帝陛下は、


「そなたの功績も大きくなり、今回の魔族との件がどのような形にしろ、先陣をきり交渉にあたると宣言したのだ。

そなたに後々、領地や爵位を与える場合の所属先を決めねばならない…

まぁ、帝国直属の所属になれば今日のメイドの中から好きな者と縁談をとりつけてやろう。

すべて、花嫁修行に宮殿でメイドをしている貴族の娘達だ…」


と自慢気に話す…


『はい、アウト、こいつは駄目だ…』


と、本日一番…というか元から嫌いだった皇帝陛下の俺の中での株価は今の発言により紙切れと化したのだった。


『はい、はい…ここに残ったメンバーは俺の所属先候補ね…』


理解した俺は、


「私は現在、アルトワ王国に住んでおります。

ロックウェル伯爵様にも大変良くして頂き恩義があります。

そして、ガイナッツ王国には、我が商会の収入源の、特許の登録の際に大変世話になった鍛治工房があります。

さらに、フェルド王国には、間接的とはいえ既に領地もありカーベイル様はお話の解るお人です。

困りました…甲乙着けがたい…

しかし、帝国には全く恩義も何も、何なら期待感すらない!!

色仕掛けを仕込む暇があったら、先ほどの無駄な会議が要らないぐらいの案が出せたでしょ!?」


と俺が呆れて怒ると、頑張って我慢していたらしいカーベイル様が、


「アルフ!いい加減にしないか!!

お前は昔から、見栄っ張りで、調子に乗りやすい癖がある!

国の一大事と呼び出した若者を自分の派閥に取り込む為に色仕掛けを…会議でもろくな意見も出さずに…」


と、怒っている。


皇帝陛下は、


「イルよ、そうは言うが、あれぐらいの情報では、何も解らないから決めようがないではないか…」


と少し拗ねる。


しかし、カーベイル様の怒りはおさまらない。


「解らないなら何故調べない?

まだ帝国に魔王軍が来てないから焦って無いのか?

違うぞ!対話の意思を示した時点で、もう相手との関係は始まっている。

お前はいつも初めで間違える!

困ってから考えるから取り返しが着かなくなるし、困ってから無理やり事を進めるから人が離れる…

心当たりが有るだろうアルフ!」


と皇帝陛下を叱っている。


『流石は同級生、もっと言って下さい』


と、俺は心の中で応援して、皇帝陛下には、


『や~い、や~い!なっさけない皇帝だなぁ!!』


と散々ヤジを飛ばしてやった…勿論心の中だけで…


シュンとなる皇帝陛下が、


「イルよ、今回の件…余はどこで間違えた?…」


と聞くとカーベイル様は、


「そもそも、マリアーナの件からだ…こじれてから悩んで、運良く現れた少年を道具の様に使い、投獄、生け贄、晒し者と…その者の功績も称えず、労いの言葉も無く…大帝国の皇帝の所業とは思えない…娘の事が落ち着いてホッとしたのは解るが、弛んどる!!」


とガツンとかましてくれた。


『もう、カーベイル様が皇帝で良いじゃん!』


などと俺が考えているのは秘密である。


そして、カーベイル様は続けて、


「アルフよ…そなたにはキツイ罰を受けてもらう、

いつも気楽に考えて、周りが困るまで物事を放置して、お前の行動が遅れる度に流れる涙…失われる命がある。

いつでも他者を敬い生きている幸せや平和の有りがたさを知らなければならない…」


と言いながら立ち上がり皇帝の肩をポンと叩く、皇帝陛下はカーベイル様の言葉がハートにブッ刺さったようで、


「あい、解った…如何なる罰も受けよう…」


と決意した顔で答える…


するとカーベイル様がニコニコしながら俺に、


「よーし、本人もこう言ってるしポルタ殿、例のアレを思う存分ヤってやれ!」


という…


『あー、そういえばパーティーの時にカサカサ祭りの事を話したな…』


と思いだした俺だった。


アルトワ国王のお爺ちゃんはポカンとしているし、ガイナッツ国王は少しこれから起こる事に心当たりがあるようで青ざめている…


『そういえばボルト騎士団長経由でカサカサ祭りの構想は伝たわってたな…』


と思いだしたのだが、よくよく考えれば何故もっと早くヤらなかったのか…なんでこんや奴に我慢をしていたのか今になり悔やまれた。


「解りました…皇帝陛下…先に命に関わる罰では有りませんとだけ伝えておきます。

場所は…どうしましょう?

俺が、入れられた牢屋にでも入って貰いましょうか…」


と、俺が言うと皇帝陛下が、


「子供の時に、父上から良くやられたお仕置きだ…

本当に牢に入るだけで良いのだな?」


と聞くので俺が、


「はい、、牢屋に入って一夜を明かすだけです」


と答えたのだった。


それを聞いたガイナッツ国王は、想像していた事が怒ると知り声を出さずに『マジか…』と言っているが…


『マジである』


カーベイル様もイタズラっ子の目になっている。


アルトワ国王様は…


『 巻き込んでごめんね…』


でも…


はい、ここに第二回、お仕置きカサカサ祭りの開催を宣言します。


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