第127話 ユックリ出来ない毎日
さて、街の拡張やらバタバタと有ったが、
『やっとユックリ出来るか?』
と思ったが、我がヨルドには大問題が一つ残っている…
そう、手足をイナゴに食われた隠密騎士団メンバーが二名いるのだ。
メイドさんやシシリーさんなど人質を庇っての負傷…なんとしても治してやりたい!
エクストラポーションを皇帝陛下にお願いして譲って貰おうとしたのだが、宮殿に有るのは、いざ!という時のフルポーションと、国宝のエリクサーだけらしい…
『エクストラポーションも常備しといてよ…』
と思わなくもないが、冒険者なんていう危なっかしい仕事をしている人間が世の中には沢山いるので頑張れば手がだせるエクストラポーションは、常に需要がありなかなか出回らないみたいだ…
オークション等で年に何本か扱われるが、冬越しクランがダンジョンごもりをしたあとだから半年以上の時間があるし出てくる保証もない…
それでは、手足を無くした部下が気の毒だ。
皇帝陛下に、
『だったらフルポーションを分けてくれませんか?』
と頼んだら、
「王族にしか渡せないから余の養子になってくれる?」
とか、面倒臭い事を言ってきたのでパスした。
もう、ケチンボの皇帝陛下に頼むよりは、カーベイル様を頼ろうと、騎士団を連れてフェルドナのお城に行くと、
「一本だけなら常備が有る」
と言って、俺に頑張ったご褒美と陞爵祝いや婚約祝いとして気前良くプレゼントしてくれた。
やはり頼るならカーベイル様だ…
『皇帝を引きずり降ろす際はお声がけを…』
と心で思いながらヨルド戻り、一人だけでもとエクストラポーションを出すが二人とも、
「二人共でなければこのままで居ます。」
と言ってきかない…
確かに、自分だけ治って各国のオークションでエクストラポーションが出回るシーズンを待つのは気が引けるか…
と理解した俺は
「もう、こうなりゃ自力でゲットだ!」
と、エリクサーも出る上級ダンジョンにチャレンジしてやろうとしたら、ウチの知恵袋サントスさんに、
「領主が上級ダンジョンに潜って良い訳は無い!」
と、ウンコチビるほど叱られた。
…確かに、危ない戦争に送り出して無事に帰ってきた矢先…『勘弁してくれ』と、なるわなぁ…
と、なんだかんだ有って、結局、エクストラポーションは各国の冒険者ギルドに依頼をだす事になった。
翌日、ヨルドの街の冒険者ギルドに行って、カウンターでエクストラポーション一本の依頼をお願いしていると、
「困り事かい?」
と夢の狩人のメンバーが声をかけてきた。
「何でいるの?」
と驚く俺に、
「酒と飯にやられて、移住してきた。」
と、話してくれた。
そしてエクストラポーションの話しをすると、
「その依頼、俺たちに指名依頼で出さないか?」
と言ってくれて、
『何処の冒険者かわからない人に払うより、知っている冒険者に大金は払いたい』
と決めた俺は、
「引き受けてくれますか?」
と相談すると、
「鋼の肉体と、暁の魔導書とクランを組んでダンジョンに潜ってやるよ!」
と、快く引き受けてくれた。
…あの二組も同じ理由で拠点を移したそうだ。
しかし、この事を知ってしまった以上、近々ダサいマントのギルドマスターに酒でも届けておこう…エイムズさん困ってるだろうな…上級冒険者3パーティーをいっぺんに失ったのだから…
と、心の中だけで詫びておいたのだった。
さぁ、頼もしい冒険者にエクストラポーションの依頼も出せたし、
「のんびりするかぁ!」
と屋敷に帰ると、
執事のテムズさんに、
「婚礼の準備を始めませんと、ご主人様は伯爵になられた上に、もう二十歳なのですから」
と、言われた。
〈二十歳かぁ…こちらの世界では〈もう〉なんだな結婚…〉
シシリーさんと帝都に長期旅行はしたが、ろくにデートもしていない気がする…
でも、今は魔族のお城もバタバタしているだろうし…
「デートでも行かない?」
って雰囲気でもないんだよねぇ~。
でも、とりあえずどう頑張ってもユックリは絶対出来ない事が判明した。
諦めて働く事にするが婚礼うんぬんの前にウチの騎士団の装備をワンランク上げておきたい。
御披露目パーティーの時のレッドドラゴンの肉以外があるし、せめて、潜入する隠密騎士団の装備は、手足を食われてしまわないように最上級の物にしてやりたい…素材を集めて装備を整えるか!?
と、思いつき…叱られた後で言いにくいが、サントスさんに相談すると、
「騎士団をゾロゾロ引き連れて行くのならば許可します」
と、少し呆れ顔で言ってくれた。
そこから騎士団と兵士団ゴング爺さん達を集めて装備についての会議が開かれた。
各団により要望が異なり軽くて機動力が有るのを好んだり、
なんならワイバーン自体にも面や鞍に付与の付いた防御力の高い物が用意できないか?
などと今回あまり出番がなかった兵士団からは、
「騎馬隊や弓隊や重装隊を発足したい!」
との意見が出た。
ならばと、兵士団から騎士団に一部繰り上げて新たな騎馬部隊や重曹歩兵部隊を作り、新たに街の警備の為の兵士団員を募る事になった…。
人が増えたし、魔王国の警備の助っ人に行く場合もあるから兵を増やさなきゃな…
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