第13話 ダンジョンショップでお買い物
俺は現在、熊の分けまえを持ってウキウキでダンジョンショップに来ている。
先輩の忠告を聞いて武器を整える予定だ。
大金貨一枚も有れば武器屋のかなり良い武器が買えるかもしれない…
しかし、ダンジョン武器ならば、何か特別な強味の有る武器が有るだろう…
『お金足りればだが…』
まぁ、高過ぎて買えなければダンジョン産の武器を諦めて武器屋に改めて一般の武器を買い物に行けば良いので冷やかし半分ではある。
そんな感じでダンジョンショップの武器コーナーをまわると、ポイズンダガーだのパラライズウィップなど凄い効果付きの武器が並ぶ…
その中でも業火の大剣という馬鹿デカい剣が棚に飾って有ったのだが、
『なんか凄そうだが俺にはデカ過ぎる…』
そう、お値段大金貨五枚と俺には値段がデカ過ぎるのだ…
『まぁ、俺的にはショートソードぐらいの長さの武器をメインにしたいが…』
と引き続き商品を見てまわるが、
『お値段以上の効果が有るのだろうが、異常なお値段の物ばかりだ…』
と痛感して、
「こりゃ駄目だな…」
と諦めて帰ろうとした時にスキルスクロールの時の店員さんが、
「お客様、時間停止付きのウエストポーチですか?」
と、俺を見かけて声をかけてくれた。
俺が、
「スキルの時はどうも…ウエストポーチも欲しいけど、今回は武器を全滅させたから何か良いダンジョン武器がないかな?と来ては見ましたが…値段がねぇ…」
と答えると職員さんは、
「どれでも小金貨三枚セールの棚はご覧になられましたか?」
と聞いてくる店員さんに、
「ご覧になっていませんよ…」
と答えると、店員さんはニコニコしながら、
「では、こちらに」
と、俺を誘導してくれた。
売場の端に樽に無造作に入れられた剣や槍やハンマーなんかもある。
「これは?」
と俺が聞くと店員さんは、
「ダンジョン武器の買い取りで、人気や性能で優秀な物はメインの売場に並べて、それ以外は町の武器屋に払い下げるのですが、
武器屋からも、そんなに毎回は困るといわれて、一時保管をしている武器などですが…流石に倉庫を圧迫するので上の指示で捨て値で売っていまして…」
と説明してくれた。
俺が、
「なら買い取らなければ良いんじゃ?」
と疑問を投げ掛けると店員さんは、
「手数料で儲けるシステムなので、他所に行かれると損ですし、この設定でもギリギリ赤字にはなりませんから…」
と説明してくれた。
俺は、
「でもセール品って…」
と渋ると、店員さんは商売モードになり、
「人気が薄かったり、華やかなスキルがないだけで、〈耐久力上昇〉や〈切れ味持続〉など、中には特殊な固有スキルを持つ物も有るとか無いとか…
一発運試しと思って…ね。」
と店員のお兄さんがウィンクする。
正直俺には武器の良し悪しの目利きなんて出来ない…
『やっぱり武器屋で買うかな…』
などと考えていたのが顔に出ていたのか、
「ではキラーベアーに致命傷を負わせた冒険者のお墨付きを下さい。
そしたら、私が鑑定して能力をお教えします。」
と店員が言ってきた。
「えっ!もう、知ってるんですか?」
と驚くと、
「情報は武器になりますから…」
と、いやらしい笑顔になる店員さんに、
俺は、
「小金貨三枚セールに、鑑定三回を大銅貨五枚ぐらいで提供すればもっと色々な人がダンジョン武器を欲しがると思うのに…
高いのは凄い性能なのは解るけど、個性が豊かな武器だと解れば、切れ味より耐久力が欲しとか人によって欲しいものが違うからね。
答え合わせが出来ないままだと尚不安だし、
好きな3つ選んで、スキルを教えてもらって選ぶ方式とかにすれば…」
と勝手な案を出したら何故か俺は別室に連行された。
そして、ダンジョンショップのお偉いさんに囲まれてさっきの案を軽くまとめて提案することとなり、最終的に、
『1日三名の完全予約制の限定イベントにする』
参加料は小金貨三枚
沢山の武器の中から3つ選んで鑑定してもらって1つを選ぶという販売スタイル、題して〈出逢い市場 (仮) 〉…というアイデアが採用されてしまったのだ。
お偉いさんからは、
「なぜ1日三組で、3つのうち1つなのだ?」
と、聞かれて、
「同業者の買い占めや、鑑定持ちの転売を防ぐためが1つと、噂が回る前に品物が無くならない様にです。
このセールだけで稼ぐ訳ではなくて、面白いイベントとして長く続けて、ダンジョンショップに来るお客さんを増やしたり、ついでに見かけた商品を、買って貰ったりして利益をあげる目的だからです」
と説明するとお偉いさん達はお互いに相談した後に、
「採用!企画書にまとめて来週から告知して、春から始めるように、フロアの隅のスペースは一旦立ち入り禁止にして、会場を設営するように…頼んだよ主任」
といわれた店員さんは、
「頑張ります」
と頭を下げていた。
偉いさんが退室したあとで、
「有り難うございました。
やりましたよ主任です…出世ですよ。
ヤッタァー!」
とお兄さん店員は変な躍りをしている…
『ねぇ~、俺の武器は…?』
と思う俺だったのだが、結局、主任に出世した店員さんの喜びの舞をひとしきり見せられたあと、予行練習がてら出逢い市場のルールの元で片手剣を選ぶ事になったのだ。
ニヤニヤとご機嫌な店員さんと倉庫のような売場を巡り、俺としては握り易いさ等を重視して片手剣を三本選んで鑑定してもらうと、
鋼のショートソード〈耐久力〉〈切れ味〉
魔鉱鉄の片手剣 〈耐久力〉〈固有スキル・飛爪〉
鋼の片手剣 〈スピード上昇〉
の三種類だった。
店員さんにオススメを聞くと、
「魔鉱鉄はミスリル程ではないですが、魔力を流し易くて、魔力を纏わせたら初級魔法なら切ったり出来ます。
ただ、飛爪(とびづめ)は〈インパルスショット〉という、六割程度の斬撃を20メートル程飛ばさせるスキルの完全下位互換で、一メートルならば100%の斬撃を飛ばし、それから一メートル離れるたびに威力が半減するスキルです」
と教えてくれたのだが、俺としてはもう魔法が切れる能力から二番のヤツ一択だな…と、決めている。
新たな相棒が決まったのだが、店員さんが思い出したように、
「時間停止付きのマジックバッグはいかがですか?
時間停止付きのマジックポーチより大容量ですよ。
ちょっと中古品でビンテージ感がありますが…
大金貨一枚で特別にどうです?」
と聞いてくる。
肩掛け鞄タイプで、頑丈というか、無骨な鞄は、なんと〈荷馬車二台程〉と大容量で時間停止機能付き…機能だけなら大金貨五枚はいる品物らしい。
「出世のお礼に特別ですよ」
といわれたが、それではリュックタイプが不要になってしまう…
しかし店員さんは、
「下取りしますよ」
と提案してくれたので、購入をお願いして、俺の残りの全財産は、小金貨一枚と大銀貨六枚に変わった。
これで、壊れたボウガンを捨てても新しく弓も買いなおせるし、お肉ダンジョンにも行けるぞ!
あー、疲れたが良い買い物が出来た。
と、満足して宿にもどるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます