第四十五話「地下要塞制圧戦」
Side 佐伯 麗子
「し、信じられない!?」
「いったい我々は何と戦っているんだ!?」
「俺達はこんな連中と戦っていたのか!?」
トンネル内分の画像データーが送られて来て自衛官達に動揺が広がっている。
何かしらの拡張工事が行われている可能性はあったがまるで宇宙人の地球侵略の前線基地みたいになっていたのだ。
驚かない方が無理があるだろう。
士気が明らかにガクンと下がったがここまで来て引くに引けない。
さらなる増援を送り込まないといけないがその戦力も枯渇しつつある。
ここが勝負の本番だろう。
☆
Side 緋田 キンジ
現在戦闘を続行中。
後続の部隊も次々と内部に突入していく。
驚いたり、硬直したりしていたのでもう階級とか関係成しに怒鳴りつけて戦うように言う。
『この三つ目ども一体何者なんだ!? 実はバックに宇宙人でもいんのか!?』
キョウスケの言う通り、本当にバックに宇宙人がいそうでちょっと恐かったが言わないでおいた。
なんだかんだ言って俺達、第13偵察隊、第7偵察隊も相手に慣れてきたもんで撃破率が向上していっている。
ルーキーは手堅く周囲を見ながら援護し、水瀬と高倉のWACペアはコンビを組んで敵を着実に屠っている。
パメラは後方支援。
リオ、パンサーも負けじと次々と破壊していく。
第7偵察隊の宮野一尉や三木 二尉、日高 二曹も頑張っている。
『新手!?』
だがそんな優位な状況に待ったをかけるように敵の新手が現れた。
『遂に人型機動兵器のお出ましか!?』
キョウスケの言う通り。
全高は5mぐらいか。
まるで黒いゴリラのような外観の人型機動兵器だ。
右腕に四連装砲。
左腕に二門の大砲。
右肩に大きなキャノン砲、両肩にハッチ。
背中に大きなバーニアと突起物がついた何かだ。
『各機散開!! トンネルに近い連中は内部に退避!! 急げ!!』
イヤな予感がしたので俺は階級とかそう言うの無視して指示を飛ばした。
同時に敵のゴリラの背中の突起物が発射。
上空で小型ミサイルに分裂して遅い掛かってくる。
次々とミサイルが降り注いでいき――味方が爆炎の中に消えていく。
☆
ミサイルの爆風で吹き飛ばされながら俺は立ち上がる。
『あ――くそ・・・・・・生きてるのか? 実は体の半分消し飛んでるとか言う状態じゃねえよな?』
『生きてるか? 第13、第7偵察隊及び、リオ達も無事だぞ』
『佐伯一尉か・・・・・・そいつはありがたい』
『それだけの軽口叩けるんならまだ無事だな・・・・・・』
『ああ、それよりも味方で俺達以外の生存者は?』
『・・・・・・ほぼ壊滅した。装甲車、戦車の乗員の生存はほぼ絶望的だ。僅かにトンネル内部に逃げ込んだ連中だけが生き残っている』
『生き残った連中は下がらせろ。囮にしかならん』
『分かった――お前達はどうする? 戦うつもりか?』
『どの道、誰かが殿務めないとあのゴリラ一体に全滅させられちまう――クソ三つ目連中も追加で来やがった。何体いやがるんだ』
そう毒付いた瞬間に激しい砲火がゴリラや周囲の三つ目連中に降り注いだ。
『こちら第4小隊。加勢に来たぞ』
『第4小隊――今迄どこにいたんだ?』
そういやいたなと思いつつ尋ねる。
『悪い。撃ち漏らした敵の排除とかで道が混んでてな』
『そうか』
と言いつつ、ゴリラを観察する。
右肩のキャノン砲は光学兵器。
両肩のハッチの内部はミサイル。
右腕の四連装砲は実弾兵器。
左腕の二連装砲も光学兵器。
後ろの背中の突起物は分裂ミサイル。
見掛けによらず機動力があり、第4小隊の攻撃を地面を滑るように回避しながら反撃する。
だが倒せない相手じゃない。
『いけるキンジ?』
『ああ、大丈夫だ』
リオが傍に駆け寄る。
敵の数も少なくなってきた。
ここが最終ラウンドだろう。
『全力で仕掛けるぞ。目標は敵の背後の大型ミサイルと左肩のハッチだ。やれるな?』
『うん!』
ブーストを全開に噴かして仕掛ける。
後先考えない機動だ。
リオやパンサー、キョウスケもついてくる。
敵の周囲をまるでアメコミのスーパーヒーローのように飛び回り、攻撃を敵の火器やバックパック、特にミサイル周りに集中させる。
リオやパンサーが次々と的確に敵の火器に攻撃を当てていく。
キョウスケ達やルーキー、水瀬や高倉のWACペア、第7偵察隊の皆も負けちゃいない。必死に攻撃している。
ゴリラが次々と破壊されていく。
敵の射撃が飛んでくる中、俺は狙いを背後の大型ミサイルに絞った。
『あたれえええええええええええええええええええええええええ!!』
高機動戦闘中によるフルオートでの射撃。
弾が吸い込まれるように敵背後の大型ミサイルに着弾。
大爆発を起こす。
敵のゴリラが火を噴き、周囲の三つ目のパワーローダーを巻き込んでゴロゴロと墜落して壁に激突。
『まだやる気か!?』
しかしゴリラがまだ立ち上がろうとする。
俺は――まだ残っていた左肩のハッチを攻撃する。
今度は左肩が大爆発を起こした。
『あいつゾンビか何かか!? まだ起き上がろうとするぞ!?』
キョウスケが言うようにゴリラはまだ立ち上がろうとする。
『撃て撃て!!』
俺は構わずに攻撃指示を出す。
味方の一斉砲撃が手負いのゴリラに突き刺さる。
幾ら重装甲でもこれだけの火力を受ければ一溜まりもないだろう。
そしてゴリラは煙を吹き出し、スパークと小爆発を引き起こして――大爆発を引き起こす。
☆
その後は敵の掃討作戦に移行。
自衛隊員に多大な犠牲を出しながら敵の大規模拠点を確保。
敵の正体や施設の調査などは他の部隊に引き継ぎ、俺達、第13偵察隊は引き上げた。
まさかここまでの大規模戦闘になるとは思わなかった。
だがまだやる事がある。
喧騒鳴り止まない陣地に戻り、俺はヴァネッサに向かってこう言った。
「相手は何者なんだ?」
と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます