プロローグ3:一ヶ月後・突入

 Side 緋田 キンジ


 あれから一ヶ月以上が経過した。

 

 もはやゲートの事を隠し通すのは不可能だった。


 毎度毎度戦闘が激し過ぎる上に死者も毎回出てるからだ。


 PTSDなどを発症した自衛官も少なからず出た。


 あと辞職や転属願いを出す自衛官も大勢出たらしい。


 調査が進んで分かった事は向こう側の世界は核戦争でも起きたかのように荒廃していて技術レベルはとても高いと言う事だ。


 問題は技術レベルだ。


 核融合炉搭載で12・7mm弾程度(車を縦に並べて数台纏めて貫通するレベルの破壊力)なら防ぐパワードスーツ。


 軍事用と思われる戦闘用ロボットの存在。


 手持ち式のレーザー兵器などを実用化。


 ゾンビやオーク(仮称)の存在の有無。

 

 そして反応弾(創作物に出て来るクリーンな核爆弾)の実用化などだ。


 他国は火中の栗を日本に拾わせるつもりなのか静かだった。


 辛いところは日本に押しつけて美味しいところは全部かっ攫うつもりなのだろうと思った。


 そして俺やキョウスケなど、最初の戦闘の頃から自衛隊の規則破ってでも生き延びた自衛官達はマスコミ連中からは叩かれたが一部界隈や同じ自衛官からは概ね尊敬され、キョウスケと一緒に三尉から二尉に昇進。


 ゲートの向こうで隊を率いる事になった。



 向こう側の世界は荒れ果てた軍事基地だった。

 白骨化した遺体などが並んでいたそうだが既に埋葬済み。

 軍事基地の探索及び、拠点化が施設科の手で進められている。

 

 手に持った武器はこれまでの戦闘からの教訓から旧式ながら口径が大きい64式に。

 さらには12・7mm弾搭載の車両の随伴や各種重火器の携帯が絶対条件になっている。


 空は戦闘ヘリが飛び回り、地上は戦車や装甲車が走り回っている。


 隊の皆はピリピリとしていた。

 隊員はほぼ余所から掻き集められた連中で自衛隊の中では希少な女性自衛官(WAC)も混じっている。

 詳しい説明は省くが、今回の作戦が特殊すぎるせいだろう。


「早速おいでなすった!!」

 

 もはや聞き慣れた敵襲警報。

 二足歩行で手のあるのサメの化け物の群れが全力疾走して此方に向かって来ていた。


 多少の銃弾を浴びても怯みやしねえ。

 

 砲台代わりの戦車や装甲車から12・7mm弾などが火を噴くが数が多い。


 血気盛んにサメ達は空高く大ジャンプを決めて基地のバリケードを飛び越えて自衛隊達に襲い掛かる。


「攻撃開始!! 味方に当てるなよ!!」 


 この世界は地獄だと思いながら俺は攻撃命令を出した。


 とにかくこの世界の生物はタフだ。


 弾丸を雨のように浴びせないといけない。

 もしくは大口径、破壊力のある武器で攻撃しないと殺せない。


 そして判断に少しでも迷ったら待ってるのは死だ。

 

 この日も自衛官は死んだ。


 死因はサメの変位種による死亡。


 自分もこうなるのではないかと思いつつ、凄惨な光景で精神をやれている部下達に鞭打ちながら後処理をした。 


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