第四十三話「援軍」
Side とある自衛官
『また攻めてきた!!』
『素早くて狙いが!!』
『これがパワーローダーか!?』
敵の未来兵器――戦闘用パワードスーツ、パワーローダーとその専用火器の戦闘力は想定を遥かに超える物だった。
装甲車だろうが戦車だろうが、戦闘ヘリだろうが容赦なく破壊されていく。
第13偵察隊とその支援者達がいなければとっくの昔に全滅していただろう。
不謹慎かもしれないが彼達が救世主のように思えてならなかった。
☆
Side 緋田 キンジ
『このままじゃ増援が来る前に味方が全滅するぞ』
キョウスケの言う通りだ。
『この調子じゃ、突入態勢が整う頃にはこの一帯、スクラップか死体だらけになる――』
俺は周囲を見渡しながらそう言った。
『隊長どうするんですか?』
恐る恐ると言った感じでルーキーが尋ねてきた。
『無茶は承知で俺達だけでも攻勢を仕掛ける』
『偵察と言う名の決死隊だな・・・・・・許可は下りるのか?』
キョウスケの言う通りだ。
小林一佐や上の性格からしてまず降りないだろう。
『・・・・・・とにかく負傷者を下がらせて。この際だ。スクラップになった兵器は遮蔽として利用しよう』
『オーライ。現状維持か。だが俺達だけじゃ長くは保たんぞ――どうして城攻めする側が持久戦してるんだ』
これも、全く持ってキョウスケの言う通り。
普通は逆である。
だが圧倒的なテクノロジー差でそれが引っ繰り返されてるのだ。
指揮官の小林一佐も貧乏くじを引いたようなもんだ。
☆
Side 佐伯 麗子 一尉
陣地の天幕を奪還し、再びそこで小林一佐と一緒に指揮を執っている。
公安の女、Xやヴァネッサなどもあれこれ動いている。
現在は悪夢の長期戦、消耗戦。
此方の戦力は小出しの状態になっている最悪の状態だ。
このままでは幾らあいつらでも保たないだろうが、だからと言って第13偵察隊だけを放り込んでも敵の物量に押し負ける可能性がある。
最終手段として空自による爆撃、特科部隊による砲撃で粉砕する――をすると、敵が一斉に此方に雪崩れ込み、事態の収拾がつかなくなる恐れがある。
それにイヤな予感がする。
やるなら此方も攻勢を仕掛ける時がベストだろう。
『こちら第7偵察隊――宮野一尉――現地に到着。これより空挺降下を開始する』
『こちら境界駐屯地第4小隊。現地に到着次第空挺降下を開始する』
(見計らったかのようなタイミングで来てくれる)と私は心の中でほくそ笑んだ。
「了解した。第4小隊は第7偵察隊と一緒にこの陣地の守備隊を援護! この陣地の守備隊は再度態勢を整え次第、攻勢を仕掛けるぞ!」
流れはこちらに来たようだ。
小林一佐も勝負をする覚悟を決めたのか攻勢を仕掛ける事を選択する。
☆
Side 緋田 キンジ
『やれやれ。どうなる事かと思ったが――なんとかなるもんだな――』
『久しぶり。緋田二尉』
『お久しぶり宮野一尉――活躍は聞いてるよ』
お互いパワーローダー越しで軽く再会の挨拶を交わす。
輸送ヘリから次々とパワーローダーが降下してくる。
報告に会った第4小隊達だろう。
豪勢な援軍である。
そんな時に上から指示が来て――
『指示が来た。俺達で先行して部隊の突破口を開けだってさ』
『こちらも同じ指示だ――行こう』
『ああ。階級はそちらが上だ。以前みたいに指示を頼む』
『分かった』
俺達は第7偵察隊と一緒に敵陣地目掛けて掛け出した。
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