幕間:隊員との雑談
*前回のお話終了直後のお話です。
Side 緋田 キンジ
―ルーキーの場合―
『改まってどうしたんですか?』
『あまり話す機会が無かったもんでな。ここらで個人面談しておこうと思って』
まあ状況が状況なんでお互いパワーローダーを身に纏ったまんまだが。
『まあ確かにあっちでは忙しかったですもんね』
本当にルーキーの言う通りだ。
『悪いな。もっと早くやっとけば良かったよ』
『ははは』
『で、ルーキー。この部隊はどうだ?』
そろそろ本題に入る。
『正直貧乏くじ引きまくってるような部隊ですけど、今は転属しようとは考えてませんね』
『どうしてだ?』
俺は疑問に思った。
『もう花形のエース部隊みたいですしね、自分達』
『まあ確かにそうみたいだな・・・・・・』
『危険な仕事が多くてこれからも沢山恐い思いするんだろうけど、隊長達を放ってはおけないですから』
『言うようになったなルーキー。ルーキーの呼び名は卒業かな?』
『いえ、けっこうその呼び名気に入っているんでルーキーのまんまでお願いします』
『分かったよ、ルーキー』
☆
―水瀬 キョウカ 二曹の場合―
『こうしてじっくり話をするのは初めてか?』
『本当にどうしたんですか突然?』
『なあに。暇つぶしみたいなもんさ。それにリオと一緒にいると人目がな・・・・・・』
『あ、自覚あったんですね』
うっさいわ(汗
『あの世界行きを志願した理由もこの部隊にとどまる理由もやっぱ強い女性になりたいからか?』
『ええそうね。よく変わってるって言われるわ』
『今の今までそのスタンス貫き通せてりゃ十分立派だよ』
『でも本音を言えばもっと強く――リオやパンサーみたいになりたい』
『ああ』
あの二人は別格だからな。
今でも勝てるイメージが湧かない。
もう一つの世界行きを志願した男性隊員だけでなく、WAC(女性隊員)達からはアイドル通り越して今じゃスター扱いされてるんだっけか。
『あの二人に何度か戦いを挑んだ事があるけど勝てなかった。それだけじゃない。あの世界の人達の操縦技術に追いつくにはまだまだだと思い知らされたら』
『凄い熱意だな・・・・・・』
心の中で産まれる性別間違えたんじゃないかと思ってしまう。
男顔負けとはこう言う事か。
『だから私は最後まで付き合いますよ。隊長』
『はあ・・・・・・とんでもない奴が隊員になったもんだ』
☆
―高倉 ヒトミ 二曹の場合―
もう一人のWAC、高倉 ヒトミに声をかけた。
『こんな時に個人面談ですか?』
『強引でもこう言う時にでもやらないと時間を作れないと思ってな』
『まあ確かに色々と忙しかったですし、自由行動の時は皆それぞれ好き勝手にやってましたからね』
理解力がある女性で助かる。
『確か――自衛隊に憧れて――って、言ってたけど、もう現状自衛隊の範疇から外れてるぞ。その辺はどうなんだ』
『確かに自衛隊は武装した災害救助隊みたいなイメージがあってそのイメージで自衛隊に入りましたが、同時に覚悟はしていました・・・・・・まああの世界に行ってその覚悟の脆さを突きつけられたりもしましたが』
『大丈夫か?』
『大丈夫です。私は後悔していません。自衛官としての本当の使命を果たす時が私達の代になった。ただそれだけだっただけです』
『立派だな』
素直にそう思った。
『本音を言うと恐いですが――それでも私は、自衛隊や市民に尊敬される自衛官になられたのか、ちょっと不安です』
『大丈夫だ、俺が保証する。もう立派に自衛官よりも自衛官しているよ。あれだけの激戦を潜り抜けたんだ。自信を持て』
と、嘘偽りなく伝える。
『はい。これからも自衛官としての勤めを果たします』
『その高潔さは買うが殉職は許可しないからな』
『了解しました。隊長こそ、なんか死ぬイメージは湧きませんけどリオさんをあまり心配させちゃダメですよ?』
『了解――』
高倉の言う事ももっともだ。
返す言葉もみつからない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます