第十二話「ドラゴンクロウ」

 Side ルーナ・キャスケット


 場所は見渡す限りの平原。


 相手はアジア連でもザイラム軍でもなかった。


 見た事もない未知の勢力――にしては野蛮人と言うか暴力的すぎると言うかそんな感じでした。


 しかも見た事もない陸上戦艦まであります。


『アイツらは間違いないな――あの世界の連中だ』


「知ってるんですか?」


 と緋田 キンジさんに尋ねる。


『ああ。世紀末世界の連中だ。だがリビルドアーミーでもヴァイパーズでもない。一体何物なんだ……』


 緋田さん達の知る世界の出身だが知らない勢力?


『だが放っておいていい連中じゃないぜ。放置しておけば周辺にどんな被害が出るか――』


 今度は宗像さんがそう言った。

 危険な連中と判断したらしい。 


『たく、あの世界は悪党が大勢いるな』


 それに続いて緋田さんが愚痴りながら攻撃を開始した。


『まあ俺達が旅した範囲でもまだ知らない所はあったって話だろう。問題はこいつらがどうやってここに来たかだ。世紀末世界とのゲートが開いてましたなんてなったらそれこそ問題だぞ』


 確かに宗像さんの言う通りだ。

 その辺の出自を明らかにしないとこの空路は使えない。


『それにしちゃ妙だ。もともとヴァイパーズはリビルドアーミーの支援で強大化したってのに――もしかしてまだリビルドアーミーみたいな組織でもいんのか?』


『まあ、それもこれもこいつらを倒してからだな』


 と言いつつ緋田さんと宗像さんの二人は息の合った連携で次々と敵を倒していく。

 空中を、地面を滑るように移動し、相手に的を絞らせず、陸上戦艦や敵のパワーローダーの反撃が当たらない。


 控えめに言って見事な機動だ。


 私も負けてられない。


 機動力ではエクスキャリバーが上なのだ。

 スピードで相手を翻弄して着実に敵を減らしていく。


『攻撃が当たらねえ!?』


『なんなんだこいつら!?』


『もしかして自衛隊って言う連中じゃ――』


『ヴァイパーズやリビルドアーミーを滅ぼした悪魔だって言うのかよ!?』


 敵の動揺は明らかだった。


 と言うか悪魔呼ばわりって……


『俺達悪魔呼ばわりされてるぜ』


 宗像さんの言葉に緋田さんは箔がついたみたいでいいじゃねえか』と返す。

 どうやらまんざらでもないようだ。


『て言うかこいつらもしかして13の死神部隊じゃ!?』


『なんでそいつらがこんなところに!?』


『知るか!! 撃て撃て!!』


 などと混乱が拍車にかけている。

 まるで此方が悪党みたいだが放置しておくワケにもいかないので殲滅する。 



 パワーローダーは全て爆散し、陸上戦艦も爆発炎上中。

 ドラゴンクロウで生き延びたのは極僅かだった。 


 改めて第13偵察隊の力を思い知った戦いだったが気になる事がある。


「こいつら話を聞く感じゲートから迷い込んだ感じだ」


「じゃあ世紀末世界とこの世界とが繋がってるって事になるのか……報告追加だなこりゃ」

 

 とんでもない事態になった。

 だが迂闊に通信が使えない状況である。

 どうすれば――

  

『隊を二つに分けてこの事を報せに戻るグループと任務を続行するグループとで別れたらいいんじゃないのか?』


 宗像さんが提案する。

 危険だがそれがいいかも知れない。


『一旦戻るグループはバードを使いましょう。ある程度パワーローダーも詰め込めますし』


 と、ヴァネッサさんが提案してきた。


『分かった――んじゃあ』


 そして緋田さんや佐伯さんが部隊分けを発表する。

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