一時の平穏
第三十三話「新たなる日々」
Side 緋田 キンジ
リビルドアーミーとの戦いの規模から見れば少ないが、犠牲は出た。
空中戦艦が直接乗り込んで核融合炉のパワードスーツがビームライフルなどの未来兵器で武装して殺しに来たのだ。
犠牲が出ないほうがおかしい。
そんなワケで遺体処理と戦死者の確認、基地の復旧作業を行う。
こんな状況でも――いや、こんな状況だからこそ襲撃は来る。
俺はフェンサーではなく、俺達第13偵察隊は緑色のカラーにしたドランを身に纏って出撃する。
キョウスケ達も同じだ。
何時も使っているパワーローダーはメンテナンス中である。
リオやパンサーもそうであり、ドランを使用している。
基地内にはまだ空中戦艦が不時着しており、基地機能は未だ万全とは程遠い。
相手は最近ナリを潜めていたヴァイパーズだった。
『こいつらこんな時にきやがって!!』
と、キョウスケが愚痴るが、
『こんな時だからこそ来るんだよ!!』
俺はそう返した。
本当にイヤなときはイヤなことが連続して起きる。
だが――
『ジエイタイの皆さんは休んでな』
『ここは俺達に任せろ!!』
そう言ってこの世界の人々が立ち上がる。
『リビルドアーミーとやりあったんだ!! 今更テメェらヴァイパーズ如きに恐れるか、ボケが!!』
『戦艦でも用意して出直してこいや!!』
と、強気にヴァイパーズへ射撃を加える。
なんつーか凄い強気だな、皆さん。
疲れとかないの君達?
☆
Side 五藤 春夫
「襲撃は何とか退けてはいるが――この戦艦は直せるのかね?」
私は空中戦艦の艦内を歩き回りながら言った。
「今は何とも――暫くは解析で手一杯のようです。幸いな事にデーターが残されており、修理のための資材は積んでいたようですからそれを使えば一週間以内にはどかすぐらいには持って行けます」
と、佐伯一尉が言う。
「そうか・・・・・・苦労をかけるな」
「いえ」
今回の戦いで多くの殉職者を出した。
近いうちにその責任を問われるだろう。
その前にやれるだけの事はやっておきたい。
☆
Side ???
=ヴァイパーズの拠点の一つ=
たく、こいつらはうじゃうじゃ沸いて来やがるな。
リビルドアーミー程じゃねえがテメェらにも恨みがある奴は大勢いるんでな。
特に今は時期が悪い。
ジエイタイが弱って上手く漁夫の利を啜ろうたぁ人生舐めるのも大概にしろや。
「まただ!?」
「一体何処に敵が――」
『何故だ!? 何故敵の姿が見えない!?』
こいつらは生きるために人の命を啜って生きている害虫だ。
一匹でも逃して情けを掛けたら悲劇が起きる。
だからここで皆殺しにする。
『敵は白兵戦装備だ!?』
『撃ちまくって炙り出せ!!』
そう言う手は何度も経験してんだよ!!
一気に近付いて纏めて二体のパワーローダーを葬り去る。
☆
(片付いたか・・・・・・戦利品は他の連中にくれてやるか・・・・・・)
残っているのは残骸と死体だけだ。
前金も報酬もジエイタイから十分貰ってるしな。
今のところは死体漁りする必要もないしそんな暇もない。
ヴァイパーズだけじゃなく野盗連中も活発化している。
そのうち他の地域のヴァイパーズや別のグループ、野盗連中も雪崩れ込んでくる。
時間稼ぎが必要だ。
☆
Side シップタウンの代表者・マイア
「そうですか・・・・・・リビルドアーミーの空中戦艦までもを・・・・・・」
その報せを聞いた時は最初は信じられなかった。
今ではシップタウンやその周辺の地域ではジエイタイの話題で持ちきりだ。
それだけでなく、今尚野盗やヴァイパーズ相手に戦い続けていると。
まるで物語の中の英雄譚のようだ。
場の流れもあるだろうが――彼達程、この世界に貢献してくれた人々は後にも先にも現れないだろう。
ジエイタイは復興とリビルドアーミーやその他の横暴を効かせる反抗の象徴と化している。
だからこそ冷静になって、シップタウンの代表者としてこの状況を見極めなければならない。
指導者が衝動に駆られて判断をしてはいけない。
どちらにせよ、戦力の増強は急務だ。
ジエイタイとリビルドアーミーの激突を報せを効いて野盗やヴァイパーズ達が活気づいている現状尚更だろう。
最終的にリビルドアーミーとジエイタイ、どちらに付くかになる。
まだ先送りは効くが近いうちに決断しなければならない。
☆
Side ヴァネッサ
いや~まさかリビルドアーミーの空中戦艦を撃破するなんて凄いですね、ジエイタイの人達。
それだけでなく周囲の人々を味方につけるなんて、人徳がなせる技なんでしょうかね?
これでリビルドアーミーは慎重にならざるおえませんね。
反抗勢力が活気づきますし暫くは大人しくするでしょう。
それはそうとアインブラッドタイプのパワーローダーまで撃破するとは・・・・・・
いやはや第13偵察隊とリオさん達がここまで戦果を挙げるなんて想定外でした。
正直アインブラッドを出して来た時は焦りましたが・・・・・・
これはジエイタイの人達にもアインブラッドタイプが必要な時が来ますね。
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