第三十五話「学園決戦その3」
Side 緋田 キンジ
補給作業中。
同時にフォーメーションの組み直し中。
更には戦況の確認。
現在戦況は最悪の状態から脱したが、まだゼレーナと帝国軍はやる気満々だ。
特にゼレーナは此方の事情など知った事かと暴れ回っていて、帝国軍はそれを傍観している。
ゼレーナと消耗したところを一気に仕掛けるか。
それとも同時に潰すタイミングで仕掛けるか。
その二択だろうな。
学園内部の周辺では子供や大人などが入り混じって慌しく動き回っている。
上の方は指揮系統の統一化などでクソ忙しい状況だろう。
そんな状況下だが出来る事をやるしかない。
ゼレーナと激戦中の傍ら帝国軍と味方で散発的に戦闘が行われていた。
俺達は第13偵察隊は補給完了が済み次第、ゼレーナを叩くために出撃する。
☆
帝国軍の作戦はシンプルだ。
物量を活かしての真っ向勝負に出たのである。
此方の作戦はゼレーナと対処する部隊と帝国軍と対処する部隊に別れての防衛線である。
しかしゼレーナとの決着がつく前に進行を再開するとは思わなかった。
ゼレーナと決着つくまでノンビリすると思ったんだがな。
まあそのゼレーナも日本軍やAlice部隊によってかなり損耗している。
それを考えると判断は間違ってはいないのか。
(だからって仕事が楽になるワケじゃないけどな!!)
ファンタジーな世界観な街並みなのにここだけSF映画のような絵面だ。
戦車や戦闘機、戦闘ヘリ。
人型機動兵器。
パワーローダーやマジックメイル。
そして逃げ遅れた帝国兵やヴァイパーズにリビルドアーミー。
もうこの状況で敵も味方もないので放置しておくことにした。
こちらも自衛隊や反乱軍の戦力、そしてどっからか湧き出て来た世紀末世界の人々――さらに新体制になったリビルドアーミーや騎士団と呼ばれる自分とはあまり関りがなかった人々が補佐に回っている。(騎士団は主に第7偵察隊の宮野一尉達が中心になって関わっていた)
こうなったらもう数の暴力で瞬く間にゼレーナが数を減らしていく。
☆
Side フィア・バハムス
ゼレーナの方はもう問題ない。
問題は眼前に展開している帝国軍の戦力だ。
空中戦艦も3将も残っている。
学園の防衛設備も限界に近い以上、此方も打って出るしかない。
☆
Side 火のマグナス
『数は優位なれど、我が方が劣勢!!』
『降伏、戦線離脱する部隊も出ています!!』
『ええい!! 何をしている!? 敵は少数だぞ!?』
数は此方が上だ。
だが士気の面では低い。
こうして現実を突きつけられると今更ながらフィア皇子が正しかったのかと思いもしてしまう。
だがもう遅い。
『反逆者を討つ!!』
俺は俺の道を貫き倒す。
そこに正義も悪もない。
☆
Side 土のグレイ
戦況は芳しくない。
このままでは負けるだろう。
だがこのまま退いては皇帝陛下は納得しまい。
「ワシのマジックメイル――ダイナスはどうなってる?」
整備士に尋ねる。
「ハッ!! ダイナスはまだ整備は不完全ながらもう一戦ぐらいならいけますが――よろしいのですか?」
「構わん、今は時間が惜しいのだ」
ワシは出撃準備に入った。
☆
Side 風のフェイン
先に戦ったあの子、異世界の少女を思い出す。
強かった。
実力じゃない。
心の在り方が。
帝国は男尊女卑社会だ。
そんな社会で女性の私が将軍の地位に就けたのは運が良かったのもあるし、女性勢力を少しでも黙らせるための演出でもあった。
そんな事は分かっている。
アルク、フィア、リーナ達、反乱軍の皇族にそちら側について欲しいと頼まれた事はある。
だが私は帝国の女性として罪を犯し過ぎた。
出世して帝国を変えると言う目的のために。
気が付けば私もまた滅び去る帝国の一人になっていたのだ。
それを理解してほしい。
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