第三十四話「学園決戦その2」

 Side 緋田 キンジ


『このパターン!! ゼレーナだ!!』


 上空にいる飛行艇、アルバトロスから佐伯 麗子から連絡が来る。


 ゼレーナ。

 並行世界に存在する筈の人類の天敵。

 戦場の臭いに惹かれたのかこの場所にやって来たようだ。


 反乱軍だろうが帝国軍だろうが無差別に攻撃をしていく。

 戦力も戦闘機やらヘリコプターやら人型機動兵器やら様々。

 今回もSF物に出てきそうな宇宙船みたいなのが群れのリーダー格らしい。 


 しかもゼレーナの中にはマジックメイルやもう一つの地球や俺達の世界のパワーローダーの姿まであった。

 この分だとアインブラッドタイプまで複製されていると観て間違いないだろう。

 

『どうするジイさん? 撤退するか?』


 俺は3将の一人、土のグレイに提案する。


『お主らはどうするつもりだ?』


『あいつらと一戦交える』


『見ず知らずの土地で死ぬつもりか?』


『悪いがリオを残して死ぬつもりはないんでな』


『一旦我々は後退する。他の3将にも後退を呼びかけよう』


『感謝する』


 そして土の爺さん達は後退していった。

 上空の3将も退いてくれたようだ。


『このタイミングでゼレーナとは運が良いのか悪いのか』


 入れ替わりにキョウスケがやって来た。


『最悪だな。統制が取れてない帝国軍やリビルドアーミー、ヴァイパーズは錯乱状態だ。これじゃ迂闊に近寄れない』


『いっそ帝国軍や世紀末の連中が全滅するのを待つか?』


『その頃には廃墟通り越してここら一帯焦土だがな』


 どうしたもんかと思う。


『味方の増援だ!!』


 ここで佐伯 麗子から通信が入る。


『味方? 何処の部隊だ?』


『もう一つの地球、日本軍からの部隊だ!!』


 同時にゼレーナの部隊の側面から攻撃が開始される。


『聞こえますか緋田一尉!』


『その声は石崎大尉!?』


 こんな僅かな期間で異世界の奥深くにまで来ていたのかと驚愕する。


『はい、ゼレーナの方は我々とAliceの部隊とで押さえます! その隙にこの戦いを終わらせてください!』


『って言われても手が足りないんだよな――』


 ここは威勢よく任せろと言う場面なんだが実際問題手が足りないのだ。

 などと思っていたらマジックメイルの大軍が各方面から。


『我々は反乱軍の援軍として参った!!』


『なに?』


 耳を疑った。

 反乱軍の援軍と言わなかった?


『帝国にこの国を行く末を任せる事はできない!!』


『侵略のための侵略にこれ以上民草を苦しめるような真似はできん!!』


『攻撃開始!!』


 次々とマジックメイル達が。

 飛行船が戦線に突入していく。


『呆けている暇はないぞ!! 敵部隊の一部が陣形を整えて再突撃してくる!!』


 と、佐伯 麗子から聞きたくなかった現実が聞こえてくる。

 キョウスケも『まだやる気か敵さん』と愚痴っていた。


『普通なら撤退だろこれ』


『まあしゃあないと思って戦うしかねえだろ』


『此方も増援だ――』


 また佐伯 麗子から通信が入る。

 俺は『どこの増援?』と返す。


『自衛隊だ。第7偵察隊も一緒だぞ』

 

 それを聞いてハッとなった。

 自衛隊。

 そして第7偵察隊と言う事は宮野一尉だ。


 遠方から様々な型の輸送機。

 アルバトロス型の飛行艇に乗ってそこからアインブラッドタイプと一緒に降下してくる。


 パーソナルマークは第7偵察隊の物だ。

 どうやら宮野一尉はギャリアンからアインブラッドタイプに乗り換えたらしい。

 他の隊員もアインブラッドタイプなどの新型だ。

 まあ彼の功績を考えれば遅すぎたぐらいだが。


『第7偵察隊はこれより支援に向かう!!』


『『『『『『『『『了解』』』』』』』』』


 威勢よく進路上の敵を蹴散らしていく第7偵察隊。

 敵がゼレーナだろうが帝国兵だろうが世紀末の連中だろうが蹴散らしていく。


『他にも各戦線にあの世紀末世界の連中も混じっている。敵の最後の攻勢を凌げばこの戦い、勝ちだ』


『OK、やってやろうじゃねえか』


 ヴァイパーズやリビルドアーミーまでいるのだ。

 同じ世界の連中も迷い込んでいても特に不思議な話ではないだろう。

 後は最後の攻勢を凌げばこの戦いは勝ちだ。

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