第六十四話「これからについて」
Side 緋田 キンジ
旧・ヴァイパーズの本拠地。
ブリーフィングルームの一つ。
ヴァネッサ。
俺やキョウスケに第13偵察隊の面々。
及びリオやパメラ、パンサー。
そして佐伯 麗子。
上記の面々が居る。
情勢が落ち着いている今、独立部隊として何を為すべきかを語るためだ。
本当は宮野たち第7偵察隊の面々も居て欲しかったが、彼達はヴァイパーズの壊滅作戦の終了から一段落してから別行動になっているのでここにはいない。
「リビルドアーミーはスグには動けませんが、遠からずウチに再び動き出すのは頭に置いてください」
前置きするようにヴァネッサが言った。
「問題のフォボスですが奴の居所は予測の段階ですが――可能性が高い場所はあります」
「なんだと!?」
佐伯 麗子の反応は全員の気持ちを代弁しているものだった。
「と言うかもう消去法でそこしかないと言うのが我々の見解です。ここから遥か南の方角。そこにある無人機が大量に徘徊している荒野。ロストエリアと呼ばれている場所です」
「ロストエリアって――グレイヴフィールドが可愛く思える程の危険地帯じゃない――」
ヴァネッサの解説を補足するようにパメラが言う。
「私達は幾度も調査を行いました。リビルドアーミーも空中戦艦で足を踏み入れましたがそれでも突破は出来ませんでした」
「つまり今の俺達じゃ手出し出来ないって事か」
キョウスケの返答に「はい」とヴァネッサは簡潔に返した。
「てことは、リビルドアーミーをどうするべきかになりますよね?」
ルーキーが恐る恐る言うが――
「どうするもこうするも戦うしかないだろ。空中戦艦差し向けられたり、核撃ち込まれそうになったりしたんだ。和平はまずありえない。休戦条約も信用できない」
キョウスケの意見は概ね正しい。
状況は三つ巴だ。
「戦力増強だけじゃなく、リビルドアーミーを倒すのでもなく、私は味方を増やすべきだと思います」
ここでWACコンビの高倉 ヒトミが言った。
「私もその意見に賛成よ。それにこの世界はロストフィールドに辿り着くのも手間そうだし、そこまでのルートを把握しておくのも重要だと思うわ」
WACコンビの水瀬 キョウカも最もなことを言う。
「で、どうする? 隊長さん?」
そしてキョウスケが俺に尋ねる。
「この周囲で味方になってくれそうな場所は?」
と、俺はヴァネッサに質問した。
「やはり騎士団の方々でしょうか?」
騎士団。
確かこの世界の自警団だったか。
思い出したかのように佐伯 麗子が
「確か第7偵察隊にそのメンバー一緒に合流していたはずだ。まあ失礼な事をしなければ門前払いはされんだろう」
と言って俺は「そういやそんな話聞いたことあるな」と思い出した。
「いっそ第7偵察隊に任せるか? 他の候補は?」
「戦力はともかく、一緒に戦うとなるとやはり気持ち的な障害が大きいですね。リビルドアーミーと戦っているレジスタンスはフォボス相手になるとどうなるか――と言う感じですし」
「それでも何か候補があれば――少しでも可能性があればそれに賭けたい」
相手が相手だ。
少しでも勝率は挙げておきたい。
それにフォボスはヴァネッサの世界や俺達の世界にも手を出している。
この世界だけが無関係ではいられなくなるように思うし、危険性だけでも伝えておかないとと思った。
「分かりました――今一度整理してピックアップしておきましょう」
と言ってヴァネッサは立ち去った。
入れ替わりに今度は佐伯 麗子が口を開いた。
「こんな状況だが、昔から急がば回れと言うだろう? いっそ北や東の方に手を出してみるか?」
と、提案してきた。
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