第六十五話「リビルドアーミーのランシス」
Side 緋田 キンジ
旧・ヴァイパーズ基地の方は他の部隊に任せて第13偵察隊は独自に行動を開始。
表向きはヴァイパーズやリビルドアーミーとの一連との騒動で棚上げになっていた周辺地域の偵察。
行動方針は味方集め、情報収集と言う事になった。
正直言うと何から手を付ければいいのやらと言う感じではあるが何もしないよりかはマシだと思い、行動を開始した。
佐伯 麗子も一旦元の自衛隊基地に戻ることになった。
そうして新たな旅立ちの矢先――晴天の平野をパメラ所有と偵察隊所有のトレーラーを中心に車両の列を作って進んでいる時に奴達が現れた。
大型の飛行艇・マザーバードと一緒に現れたのはリビルドアーミーである。
と言うかこの世界で飛行戦力を持ってるのは限られているので考えるまでもない。
『初めましてだなジエイタイの諸君!! 私はランシス!! 貴様達を倒す者だ!!』
俺は(なんか面倒そうな奴が来たな~)などと思いながらアインブラッド・ガンブラストで出る。
見た目ヒロイックな白と青色の飛行ユニットを搭載したパワーローダーたちも一緒だ。
その中で全身が真っ青でフライトユニットを積んでいる機体から大声を張り上げて突撃してくる。
アレが声を大にして名乗ったランシスと言う隊長機だろうか――とても速い。
単純なスピードならリオのゲイル・リヴァイヴやパンサーのジェネⅢに匹敵するだろう。
中身は別物と見た。
『このジェスト(*リビルドアーミーのパワーローダー)は私専用にカスタマイズされたのだ! ただのジェストとは思うなよ!』
そう言いつつ隊長自ら切り込んで俺達を翻弄する。
『早すぎて狙いがつけられねえ!!』
キョウスケのパワーローダー、バレル・リヴァイヴは中~遠距離用の砲撃型だ。
『こいつら――今迄のリビルド―アーミーとは違う!?』
WACコンビの水瀬 キョウカはそう評しながら迎撃する。
敵はフォーメーションを組んで距離をとり、手堅く攻めてくる。
フォボスの連中とは違った意味で厄介だ。
『ジエイタイ――中々攻め難い! 噂通りの連中か!』
『なんなんだこいつは!?』
それにしてもランシスと言う男、テンションが高い。
『私には私の意地があるのだよ! リビルドシティやリビルドアーミーのためにも負けられんのだ!』
『一人で勝手に盛り上がってるんじゃねえ!? 大体リビルドアーミーなんか文明人気取りのチンピラ集団だろう!?』
『ええい、人が気にしている事を的確につきおって!』
『あ、気にしてたんだ……』
本当に何なんだこいつは。
だが手強い敵には変わりない。
ここで倒しておいた方がベストか?
『敵の戦力は大体把握した! 次は負けん! 総員撤退!』
『あっ――』
そう言って次々と部下達が大型飛行艇のマザーバードに乗り込み、そして最後に隊長であるランシスが乗り込んでその場を去った。
なんつーかとても騒がしくて嵐のような奴だが、戦闘力といい、引き際といい、手強い相手であることには変わらなかった。
『ごめんキンジ。あまり倒せなかった』
『私も今回は全く活躍できなかったわ』
リオ、パンサーの順にそう言う。
この二人でもそうなのだから相手は一筋縄ではいかないようだ。
『リビルドアーミー……正直これまで甘く見すぎていたかもな』
気を引き締めなおして俺は任務を続行するのであった。
佐伯 麗子に言われた通り、グレイヴフィールドを時計回りになぞるように進む事にした。
目的地は正確には決まってない。
フォボスやリビルドアーミーの事が不安ではあるが、気にしすぎてもどうにもならない。
俺達は進むことにした。
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