パンサーの物語
Side パンサー
私は何処で産まれたのかどうか分からない。
名無しの女の子。
様々な場所を渡り歩いていくウチに――家族と呼べる場所はあった。
だがその家族も無残に壊されるのなんてのは日常茶飯事。
パンサーと言うのは崩壊したグループ名だ。
そのグループが崩壊したその日から私はパンサーを名乗る事になった。
☆
私は思うに腕が立って、運も良かったのだろう。
人にも恵まれた。
でなければ体を売る事を真剣に考えていたかもしれない。
幸か不幸か男好みの体をしているらしいし。
何時しか私は様々なグループを転々として傭兵稼業を続けていた。
女一人でやるのは当然苦労した。
特に男子所帯だと、自分の体――特に大きな胸が災いしてトラブルの種になって、私は男と言うのを学んだ。
自然と女性所帯と一緒に仕事をやるようになって、行きついた先がリオ達だった。
リオとパメラは元々有名なコンビであり、何度か競い合うように仕事をした事もある。
腕試しにパワーローダー同士で勝負をした事もあった。
自分はパワーローダーの操作技術には自信がある方だがリオは私よりも上だった。
それからリオを意識するようになったと思う。
それからチョイチョイ組むようになり――
そしてあの事件が起きた。
☆
周囲をパワーローダーに囲まれる。
相手は商売敵たち。
傭兵と野盗の家業を両立してやっているようなチンピラが相手だ。
偽の依頼を掴まされて私とリオ、パメラは囲まれてしまった。
『私達を嵌めるなんていい度胸じゃん』
『パンサー、やれる?』
『勿論だよ』
そして私とリオは競い合うように敵を倒していった。
圧倒的に不利な状況だったが敵は想像以上に素人だらけで仲間同士の射撃武器で同士討ちする始末だ。
半数も減らしていくと逃げて行った。
誇り高い死よりも無様でもいいから生き述べればいい。
そう言う思考が普通なのだ。
ましてや相手はチンピラ紛いの傭兵である。
根性なんて期待する方が馬鹿なのだ。
☆
この事件以降から本格的に行動を共にするようになり、そしてシップタウンでの依頼から自衛隊の人達に出会う。
自衛隊の人達は本当に不思議な人達だった。
立派な軍事組織のわりに武装は貧弱。
なのにとても気前がいい。
リビルドアーミー襲来の時なんかも自分達よりも私達の事を心配するような精神性だった。
まあだからこそ、リビルドアーミーの支配地域を変えられたのだと思う。
この第13偵察隊に居続けるのもそう言うのだろう。
もしも自衛隊が、ただ物を配って威張り散らすだけの奴だったら私だけでなく、パメラやリオも早々に見切りをつけていただろう。
この世界で生き抜くには強いだけではダメなのだ。
人を見る目も大切なのだ。
そして私にとって自衛隊の人達は――少なくともこの世界にいる自衛隊達は見る目が適った人達だった。
この人達の誰かとなら結婚してもいいかな、なんて考えている。
これは私に限った話ではなく、他の女性達もそう言う考えを持つ者は多くいた。
そう言う点ではリオやパメラがとても羨ましかった。
私も巡り合えるかな。
本気で愛せる相手。
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