第七話「ディメンションクロス」

 Side 緋田 キンジ


 ディメイションクロスのトップ、ミーティアがまさか綺麗な美女。

 それもエルフ耳の女性とは思わなかった。

 

「驚かれましたか?」


「まあ色々と。異世界に行ってもエルフの方はお目に掛かれなかったですからね」


「報告はある程度聞いております。中々複雑な経緯を歩んできた世界の方なのですね」


 とミーティアは施設内部に案内してくれた。

 俺達も案内される。



 大学の講義同みたいな場所でとりあえずこの世界、ユナイティアの事についての説明をより詳しく受ける事になった。

 

 様々な世界が混じり合い、統合した多元世界。

 

 様々な勢力が闊歩しているさながら戦国時代のような様相を呈しているのだとか。

 我が日本はその状況に見事に巻き込まれたようだ。


 少なくともアジア連やザイラム軍との二勢力と戦う事になるだろう。

 

「アジア連もザイラム軍も元はこの世界の住民ではありません。いわゆる来訪者なのです」


 とミーティア司令はそう言って詳しい解説に入った。


「アジア連は地球の極東アジアの国家の集合体、ザイラム軍は詳細はまだ掴めてませんが、好戦的な軍事組織である事は間違いないようです」


「アジア連はともかく、ザイラム軍とは遅かれ早かれぶつかるって事か」


 キョウスケは皆の気持ちを代弁するかのように言った。

 今迄のパターンだと大体そんな感じだった。

 今回もそんな感じなんだろうなとも思う。 

 

「私達の立場を明確にしておこう。アジア連とはどうしようもないが、今のところザイラム軍ともやり合うつもりはない――まあそれも時間の問題だとは思うがな」


 と、佐伯 麗子三佐が外交官のような事を言っている。

 まあ彼女の立場上無理もないだろう。


「だから出来る限りの同盟は結んでおきたい」


 と、麗子は言うと謎の女Xも「私も同じ意見です」と賛成した。


「少ない情報でも構いません。アジア連とザイラム軍の情報を出来る限り開示してほしいです。上の連中の尻を蹴り飛ばさないといけないので――代わりに此方が今迄経験した出来事や勢力などについての事を開示します」


 謎の女Xは続けざまにそう提案した。

 

 ミーティア司令は「分かりました。此方も出来る限り協力します」と快諾してくれた。


 と、こんな感じで話はトントン拍子で進んでいき、ディメンションクロスの本部で泊っていく事になった。



「いいのか? リオと一緒にいなくて?」


「そっちこそパメラと一緒じゃなくていいのか?」


 俺はキョウスケと一緒に軽く周辺のノンビリ観光としゃれ込んでいた。

 一定金額を収められた電子マネーを配布されている。

 すっかり夜になり、外は復旧作業で騒がしい。


「パメラは整備を終えてエクスキャリバーやザイラム軍のゼッターに興味津々だ」


 パメラらしいと言えばらしいか。


「うちのリオはエクスキャリバーの装着車に囲まれてるよ」


「パンサーは?」


「パンサーはリオと交じってここの女性陣に囲まれている」


「そうか――」


 そう言ってキョウスケは空を見上げる。


「俺達、随分と遠いところまで来ちまったな」


「どう言う意味だ?」


「あの田舎の駐屯地でノンビリしていた頃がたまに恋しくなる時があってよ」


「とか言っといてなんだかんだで付き合い良すぎるよな――コンビ解消するタイミングなら幾らでもあったのに。それこそこれまでの功績考えれば元の駐屯地でパメラと一緒に新兵相手に威張り倒す事だって出来たんじゃないのか?」


 と、冗談交じりに言うが


「いいなそれも。まあそんな贅沢が許される状況でもないからな」


 真剣に返された。


「まあ確かに、気が付いたら物騒な異世界のゲートがある日突然、家の隣に出現しましたみたいな状況だからな。それを考えると自衛隊に居続けた方がいいのか?」


「そう言うこった」


「当分コンビ解消は無しか……」


 それがいい事なのか悪い事なのかは分からないが、まだまだキョウスケとの腐れ縁は続きそうだ。

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